ビジネスで成果を出すためにデータサイエンティストやデータアナリストは論点思考・仮説思考をどう活かすべきか?

そもそも論点思考・仮説思考とは?

論点思考・仮説思考について書く前に、論点と仮説についても解説しておきたい。

論点とは、解くべき問いのことである。そして、仮説とは論点に対する仮の答え、である。

ざっくり言うと、ビジネスにおける問題解決のために、そもそも”解くべき問い”あるいは"問題"は何なのか?といったことを考えるのが論点思考である。

また、設定した問いに対する"仮の答えはきっとこうなのではないか?"と考え検証を行うのが仮説思考である。つまり、論点と仮説はセットで考えるものである。

とあるアイスクリーム屋さんが売上UPのために新しいメニューを増やそうかなー、と考えているとしよう。このとき、「どんなメニューを増やすべきか?」という問いに変換して物事を考えるというのがその一例だ。

コンサルティングファームでよく使われる思考法の一種であるが、データサイエンティストやアナリストにとっても有益なスキルであると思う。
データサイエンティストやアナリストがビジネスで成果を出すためにこのスキルをどう活かすことができるか?について、簡単ではあるがTipsを紹介する。
先ほど論点と仮説はセットだ、と書いたが、今回の記事では話をコンパクトにするために「論点思考」の応用にフォーカスをあてる。

データサイエンスのプロジェクトに活かすためのTips

今回は、比較的ジュニアな分析者(データサイエンティスト&データアナリスト)に向けた二つのTipsを紹介したいと思う。

Tips-1 : ビジネス上の論点を明確にする

データサイエンティストやデータアナリストがその分析のアウトプットを通じて貢献できるビジネス成果は、ビジネス上の重要な論点に向かっているかどうか?に左右される。

例えば、あるSaaSベンダーに所属する分析者がマーケティング担当者から「解約防止策を打つために、解約しやすい特徴を持ったユーザーを特定して欲しい」と言う相談を持ち込まれたとする。

様々な統計モデルや機械学習を駆使して、解約率が高くなるユーザーの特徴を詳らかにできた。
しかし、実は「どうやって解約を防ぐか?」は経営レベルではあまり重要な論点ではなかった。解約率は競合と比較しても高くなく、問題視されていなかったのだ。
結果、分析結果がビジネス施策に活かされることはなくお蔵入りしてしまった・・・。

わかりやすくするために誇張して書いたが、類似した話はビジネス現場でも目にする。

このような状況を防ぐには、持ち込まれた依頼・相談を「ビジネス上の論点」に書き換え、本当にそれはビジネス上重要な論点なのか?を再確認することが重要だ。

例えば、「解約防止策を打つために、解約しやすい特徴を持ったユーザーを特定して欲しい」という相談について再考してみよう。

問いの形式に書き直すと「解約率をいかに下げるか?」というビジネス上の論点が見えてくる。
今回の分析はこの問いを解決するためのものだ、と明確に意識すべきだ。
では、この解約率をいかに下げるか、という論点はビジネス上本当に重要なのだろうか?(あるいは、なぜ、重要なのだろうか?)
それらが曖昧なのであれば・・・

  • そもそもとしてどのようなKPIがビジネス上重要なのか?、を分析するところから始めましょう、と提案しスコープを再定義する

  • 分析に着手せず見送る、という選択肢も含めてマネージャーにエスカレーションする

といった対応をとることができる。

分析のアウトプットをビジネス成果と着実に接続するためには、その分析がどんなビジネス上の論点に向き合うもので、その論点が重要なことであると確認する癖をつけることは効果的なアプローチだ。

Tips-2 : 与えられた問いに直接答えるのではなく、論点を分解したり再構築することで解きにくい問題を前に進める

あなたはあるアイスクリーム屋さんの店長だ。幸い、アイスクリーム店は好調で店のオーナーは次の出店先を探している。あなたにデータ分析の心得があるらしいと聞いた店のオーナーはこう相談してきた。

「次に出店すべき場所の候補をデータ分析を駆使して3つ出してくれないか?。そこのエリアで物件を探してみるから」
さて、あなたは何から着手するだろうか?

データ分析という行為が好きだと、つい「どういうデータが使えそうか」「こんな分析手法が使えそうだ」「交通量のデータなんかも欲しいな」などといった分析のHowを考えたくなるものだ。

しかし、いきなりそのような思考をすべきだろうか?

出店すべき場所の候補はどこか?、という問いは、ストレートに答えるには”大きすぎる問い”ではないか?。
もっと噛み砕いてみる必要はないだろうか?

アイスクリーム屋さんが二店舗目を出す目的は売上を増やすことにある。つまり、自分たちのアイスクリームがきっと売れるであろう場所を考えなければならない。
このような場合は、そもそも問いを分解する必要がある。

例えば、そもそも我々のアイスクリーム店はどのような人に受けているのだろうか??という問いから考えるのも一手だろう。
出店先を探しているからといっていきなり人口データや人流データなどに飛びつくのではなく、そもそも自社の顧客を分析することが重要であることもある。(もちろん、自社の顧客を分析するということを具体化していった行った結果、人口データや人流データが有益だと判断できるなら、それは素晴らしいアイデアとなる。)

このようにいきなり問題を解くのではなく、”問題を”必要に応じて”分解”し、依頼者から持ち込まれた問いを少しずつ分析するというのも重要なテクニックである。

いきなり分析に入ることが難しい相談・依頼は、もっと解きやすい問いに分解できないか、考えてみてはどうだろうか。
このような問いの分解プロセスに自信がない場合は、シニアなメンバーと相談して”解き方”のプロセスを一緒に議論してみると良いだろう。

以上・・・・


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