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90.設定は厳しく日常はゆるやかに

未来職安

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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェアでお買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

Amazonの書評見ると柞刈湯葉作品はわりと賛否両論です。なぜかわかりますか? それは彼がすでに一流の文学者だからです。同人活動ではなく完全に商業ラインに作品を載せて戦うタイプの作家なんですよ。商業デビューした瞬間から完成されていた彼は、完成しているのにまだ進化するサイヤ人もしくはジオングみたいな生ける伝説です。リビングレジェンドにクソリプ送れる機会を噛みしめています。さて本作は横浜駅SFよりも繊細で、跳んだり跳ねたりが大好きなオコチャマにはおすすめしませんが、ぼくや「よう先輩」みたいな傾斜120度の限界オタク(傾斜に意味はありません)にとって完璧にストライクゾーンの名作です。読み終わってからふと思うんですよ、この作家は脳の中に仮想世界をどれだけの解像度で構築してるんだろうな、ああ、ゆばってるなあ、って。

2年前に書いた書評だがいまでも同感である。押しも押されもしない推し作家、柞刈湯葉は当代の希望の星だ。「科学の物語」をきちんと書ける作家。


(2021.3.5 90冊目)

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