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出来の良い宗教アニメ

こんチワワ。

気がついたら2月に入っていました。今年卒業生だというのに未だに袴を予約しておらず、同級生からバカのレッテルを貼られている犬鳴です。

映画感想⑰『えんとつ町のプペル』

最近Twitterを見ているとよく流れてくる3単語「プペル」、「モルカー」、「マホト」。

ここに救いはないのか。

中でも、『えんとつ町のプペル』。こいつぁ熱い。何って、信者の熱。

西野亮廣原作・脚本の映画『えんとつ町のプペル』。今、西野のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」に所属しているメンバー達の中で、「○プペ目」と何回プペルを見たかのマウント合戦が行われているようだ。最近30プペルを達成した人がいるとかいないとか。

マルチ商法的なやり方に搾取され、80プペルすることになってしまった人もいるらしい。

西野亮廣と言えば、お笑いコンビ・キングコングのツッコミ担当だ。近年では、芸人よりオンラインサロン内の活動の方が多い。度々炎上事件も起こすお騒がせな人だ。

オンラインサロンで何をやっているか、外部からの伝達情報だけでも何となく分かる。とにかく意識だけは高い人達が集まって仲良しこよししている状態だ。
私はこれに対して批判をしたいわけではないが、見ていてあまり気持ちの良いものでもないと思っている。この辺の理由は、「80プペルとカモられる若者」で検索してでてきたnoteを読んでほしい。

と言うか、皆もうその辺の話題は全部貪ってたりするのか。

非常に極端な言い方をするとすれば、「西野亮廣エンタメ研究所」はカルト宗教じみている。

とにかく、そういう激化する西野の胡散臭さと、プペルによって露わになる信者の痛々しさが相まって、『えんとつ町のプペル』は多くの人から(若干悪い意味で)注目されている。


ところで、私はアニメ映画が好きだ。特に子ども向けの映画。
単調なストーリーと理解しやすい笑いや感動。それを生み出すには、単純で古典的な技法を使わなければならない。そのため、アニメ映画は一歩間違えれば最悪の出来になってしまう。
子どもが見る分にはそれでも良いと思うが、大人が見るにはかなりギャンブル性のあるジャンルだ。クソ映画と名高い映画には、アニメーション作品もかなり含まれている。

そういう、映画オタク的観点から『えんとつ町のプぺル』は純粋に見たい作品だった。

そもそも、私はまず見てから叩くタイプのオタクなので、ギャーギャー騒ぐためには見るという選択肢しか残されていない。


結論から言わせていただくと、出来自体は非常に良い。

STUDIO 4℃のアニメーション技術は素晴らしく、画面映えする美しい世界が広がっている。煙突の煙で覆われ、薄汚れた繁華街のような街の描写と星空の絢爛さには目を奪われる。
キャラクターデザインも悪くない。
「可愛い」とまではいかないまでの素朴さが純粋にいい味を出している。(オレンジ色のコウモリだけはマジで可愛かった)

また、声優陣も悪くない。
主人公ルビッチを演じる芦田愛菜を筆頭に、窪田正孝や小池栄子、オリエンタルラジオ藤森慎吾等錚々たるメンバーで構成されている。
芦田愛菜はもちろん、実力派俳優の窪田正孝の声優の上手さには目を見張る程であった。
ゴミ人間プペルのあの切なげな声を、まさかあのイケメン俳優が出せるなんて思ってもいなかった。

さらには、挿入歌もバッチリ決まってる。
全体を通して3,4曲ほどの曲が使われているが、どれも作品の雰囲気に合っている。
近年の新海誠作品のように、1つのアーティストが全てを歌っている訳ではなく、様々なアーティストが使われている。
秋山黄色が好きだったので、彼の声を劇場聴けて普通に嬉しかった。

ストーリーは、安直で正直盛り上がりに欠ける部分はあるが、子供向けアニメ映画だと考えたら妥当なレベルだ。
使い古された古典的な感動が多いぐらいで別に荒っぽさは無い。
退屈な人は退屈だろうが、叩くレベルのつまらなさはないと思う。

そう、出来自体はかなり良い。
出来自体は。

問題は西野亮廣オンラインサロンの胡散臭くさにある。
私はこの映画を見た時、ある言葉が頭の中をガっと駆け巡った。
「プロパガンダ」だ。

タイトルにもある通り、私はこの映画を純粋なアニメ映画としては見てない。
というか、見れない。
宗教アニメとして見ている。

まず、「プロパガンダアニメ映画」について少し話をさせてほしい。
私の映画感想『総統の顔』や『ラテン・アメリカへの旅』でも軽く触れてるのでそれを見てからだと少し理解しやすいかもしれない。あぁ、いや、まぁ、見なくても別にいいか。

時は第二次世界大戦。
アニメーションの技術は発展し、現代でもお馴染みの海外アニメが沢山作られていた。例えばウッディウッドペッカーにミッキーマウス、バッグス・バニーもそうだ。ポパイもこの時期である。

アニメーションの技術が発達すると同時に、各国のお偉いさん方はアニメの重要性に気づき始める。
アニメーションを見るのは子供だ。そして、その子供を見るのは親だ。必然的に親は子供と一緒にアニメーションを見るようになる。

国は、そこに目をつけた。
多くの国が、国民の士気を上げるため、アニメーションにプロパガンダを組み込んだのだ。

日本の例をお話しよう。
『桃太郎 海の神兵』
桃太郎という昔話のキャラクターを主人公に、特攻隊を描いた話である。(ちなみに最近Amazonプライムで見れるようになったらしい)
主人公「桃太郎」には、日本国民の魂が落とし込まれている。スピリチュアル的な話ではない。
日本人らしい、国民性をキャラクターに反映させているのだ。
例えば、日本人らしいと言えば、恩の精神。優しさ。忍耐力。
そういった精神的負荷をキャラクターに加え、まるで観客に自分たちが映画の中で一緒に戦っているかのような錯覚を覚えさせる。
そうして、戦争に対する士気を一気に鼓舞するのだ。

アニメーションと実写の違いは、背景を動かせるか、人間離れした動きや表情をさせられるか。の2つである。
アニメーションの中で背景が動けば、見ている側は世界観へ入り込みやすくなる。人間離れした大きな動きや表情をキャラクターがすれば、それだけ心情や作品の背景を理解しやすくなる。
感情移入しやすくなるのだ。
よって、アニメーションというツールはプロパガンダに適役として、第二次世界大戦期多くの国で使用されてきたのだった。

『えんとつ町のプペル』に話を戻そう。
『プペル』にはこういった精神を落とし込んだ描写が多々見受けられる。

例えば、ルビッチが星を見たいと夢を語るシーン。えんとつ町では外に出ることは禁止されているし、夢を語ることは批判され笑われる。星を見るために、高所恐怖症ながらも煙突に登り続けるルビッチを町の人達は徹底的に叩く。

これは、西野とそのサロンメンバー、そしてそれをアンチする外部の人々の構造に非常に酷似している。
西野亮廣は言う。「夢を諦めるな」と。
オンラインサロンのメンバーは、何者かになりたくて必死に西野についていく。
だが、彼らは部外者から「詐欺」や「養分」と言った言葉で否定されていく。

映画の中で、かなりの頻度で「現実を見ろ」だとか「夢を諦めない」だとかのセリフが飛び回る。
それはもう馬鹿の一つ覚えのようにポンポン発射される。
ルビッチとプペル、そして2人を匿う周辺の人々。これらのキャラクターには西野とオンラインサロンメンバーの精神が落とし込まれている。
そして、ルビッチ達を追う異端審問所にはアンチの精神が。

最終的に、ルビッチは諦めずにプペルと星を探しに行く。そして見つける。
これはもう西野亮廣そのものの人生を描いている。

アンチされても夢を諦めずに追いかけた俺、そして成功した俺!
俺俺俺俺!
俺ってすごいでしょ?
臭がプンプンする。

くっせェ、くっせェ、くっせェわ
教祖の魂胆丸見えです🎶


非常に臭い。
ゴミ人間プペルとどっちが臭いか、自分で対決しろ。

これは非常に素晴らしい西野賛美のプロパガンダ映画だ。

ここまで「俺はアンチに負けず夢を叶えました。信じれば叶います」の精神を見せつけられるとは、これは信者の士気を上げるために作られた映画にしか見えない。

西野教の信者から見ると「やっぱり西野さんはすごい!」に着地するし、知らない人が見ても「へ〜西野って良いもの作るんだ」に落ち着いてしまう。

エンドロールの最後が監督の名前じゃなくて西野の名前で終わるのも臭い。
人間は後に見たものの方が記憶に残りやすいからな。

後、1つ言いたいが、西野が「ディズニーを超える!」と言った点。
現段階では無理に等しい。

何故なら、プペルに使われてる感動の技法や正義と悪の対立描写は今のディズニーが1番嫌ってるものだからだ。
表現がステレオタイプすぎる。
こういうステレオタイプな感動は今のディズニーが1番避けてるし、寧ろそれをネタにして自虐とディスを描いてる。

西野お前最近のディズニー見てね〜だろ。

このままだと永遠にウォルトのケツ追っかけ星人になっちまうぞ。

Yo Yo……俺はMCネーム「見てから叩くタイプのオタク」……。
まさか戦時中以外の映画で、こんなにも出来がいいプロパガンダを見れるなて夢にも思わなかった。

オウム真理教だってアニメーションOVAを作った。
幸福の科学だって実写映画を作って世に発信し続けている。
それらと『えんとつ町のプペル』は同じ位置にいる。
どう足掻いたって宗教アニメ映画のジャンルに位置付けされるのだ。


ちなみに、信者たちの間で「プペる」と称して、何回もプペルを見に行くことがステータスとされていますが、私は別に1回でいいかなと思いました。2回も見るメリットがないからです。

ですが、私には「プペる人達」を悪く言う資格がありません。

何故なら私も『テネット』を7回も見た人間だから。

人のこと、言えね〜〜〜〜〜〜!!!!

つか「プペる」って単語、「テネる」のパクリじゃん…………!!!はぁ〜〜〜〜〜〜〜?????????????
マジで嫌なんですけど………………。^^;

は?は?は?は?は?は?
私のシネマイレージレポート、マジのヤバい人じゃん。

つらたん。

(;;)



終わり

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