冬の関西 ひとりでに(2/4)
前回のつづき、2日目。
2時間寝坊した。
今日のモーニングは諦めて、お昼ご飯に気合いを入れると誓いシャワーを浴びる。私鉄の南海線に初乗車。天下茶屋まで7分ほど乗り込む。ホームに着いてから10数分待つことになった。隣のホームに早めに出て早めに着く急行があったが、どう見ても指定席代のかかりそうな列車だったので安牌に鈍行で時間を潰した。
一度駅の西側に出て天下茶屋の公園にある灰皿で一服をした。公園に簡易的な灰皿が置いてあるなんてさすが大阪だなと思ったが、その行き帰りで10人ぐらい闊歩タバコしている殿方を見たのであんまり意味ないのでは……と思った。
まあでも清掃の観点から見たらなかなか効率的だと思う。
それからは釜ヶ崎を昨日より長めにぐるぐると巡った。
昨日も思ったが、不法駐輪の自転車がありえないほど置いてあった。その中には電動モーターの外されたレンタサイクルが置いてあり少し引いた。
有名な三角公園は広々としていて、雨の影響もあるのか公園内は閑散としていた。正直クソビビりながら写真を撮っては歩いてを繰り返す。昨日見た移動式の江古田ディズニーランドみたいな自転車があって、持ち主のいない間にパシャリ。簡易版エレクトリカルパレードみたいな感じだった。
そこら中でおっさんがしゃがみこんでた。
有名な労働福祉センター辺りは実際にホームレスが寝ていたし外なのに物量の多さが凄かった。角を曲がる度に全員喫煙者だし、全員170ぐらいのおじいちゃんしかいなかった。もし自分がその立場であるとしたら、とよく考える癖があるのだが、一日はとてつもなく長いだろうなと思う。働いている日も働いていない日もどちらにせよ。
途中、電動車椅子に乗ったおじいちゃんがワイルドスピードさながら、まあまあのスピードで曲がりながら歩きタバコをしていて、感服した。街の通り沿いには保育園か託児所らしき場所があり、子供の笑い声が聞こえてビビった。南海線の高架下を挟んだ先には小中一貫の学校がある。プールらしき施設のところだけ有り得ない高さに壁がそびえ立っていた。夏には東京フレンドパークの壁に張り付くやつみたいな感じで不審者でも出るのだろうか。一時間ほど彷徨いていたが、昼間からみんな酒を飲みながら談笑してた。皆いい笑顔していた。
そのまま、進路を東の方に移し飛田新地の方へ向かう。
11時過ぎに行けばお店も空いてないだろうし通りの写真でも撮れるだろうと思い向かったが、この時間から空いてるお店も通りに数軒ほど見受けられた。確かにルックスは可愛いし、おっぱいもでかかった。圧倒されながら逃げ込むように通りの端ごとに設置されている喫煙所で休憩をした。そうすると、煙草を吸ってたら同年代らしき短髪でスポーツマンな若い男性に話しかけられた。
「ここら辺に住んでる方ですか?」と話しかけられ、おすすめとかありますかと聞かれたが、自身も初めてだったため、何も分からないことを伝え、出身や旅の行程など四方山話に花を咲かせた。彼は飛田新地を目的に来た横浜在住の男性で、安心感のある顔つきの奥にギラつく何かが見え隠れする男だった。自分は夕方ぐらいにもしかしたらまた向かうかもしれないとだけ伝え、別れた。いい人だった。
その後、天王寺の方まで歩き、新世界の手前にあるかすうどんのお店に入店、唐揚げ付きのかすうどん定食を頼んだが、かすうどんだけでもお腹いっぱいになってしまった。
食べ終えてすぐ、お店の外の喫煙所でタバコを吸ってたら傘を忘れてるの教えて届けてくれた。人情一発。
通天閣を冷やかしつつ、サークルの同期に入ってみるのを頼まれていた国際劇場へ足を運んだ。1.2階が一般的な映画を上映しており、地下はポルノ映画をメインに上映する3階建ての建物。両方のスクリーンへ入るにはそれぞれで入場券が必要になるため、合計で1300円ほど払い中へ入っていった。学生割引を使ってんのは俺だけだった。
入った途端、変な熱気と蒸し暑さに包まれる。明らかに空気が変わったのを肌で感じた。とりあえずぐるっと回ってみるかと歩きつつ、途中入場可の地上側の劇場の中に入ってみると、まばらではあるが2~30人程度の男性がそこかしこにいた。トイレに入ってみたが、臭すぎて圧倒されてしまった。
女装したおっさんが3~4人いて、何度かすれ違ったりしたが、それ以外は普通のおっちゃんが大多数でこれまた皆170cm無いぐらいのおじいちゃんが沢山居た。1階は意外と普通におっさんが多いだけだなとその時は思った。
意を決して地下に向かうと流石に空気が違った。
上映前の時間ということもあり、座席の後ろ側にある小さな広場みたいなところで談笑をしたり、久々の再会をして挨拶をする人々が居たりと、さながらファイトクラブのような雰囲気だった。
逃げるかのように喫煙所に入っていく。写真を撮るまではそこにいそいそと準備をしている大柄な男性がいた。終始にこやかな表情をしていた。喫煙所で2本タバコを吸っていると気付いたら上映時間になっていた。喫煙所の先は暗闇に包まれ、奥の方で裸体の男女が目交う姿を見た。ポルノ映画は何の脈略もなくセックスシーン始まるのかと思いつつ、正直、喫煙所から出たくないなと昼のニュースを見ながら辟易していた。
地下に入ってから終始足がすくんでいる。さっきまで座席の後ろで屯ってたおっさん達はどこへ行ったんだ?地下には2箇所喫煙所があり、もう一つの方へ向かうと数名の男性が備え付けのテレビを見ていた。入口の近くに居た男性はDVDプレイヤーを持ち込んでポルノを見ていた。わざわざ家で出来るのに学校まで行って自習する優等生みたいだった。逃げるかのように地上に登り、2階にも行ってみた。スクリーンを囲んで右側の座席に向かうと思いっきり嬲りあう2人の影がスクリーンの光で僅かながらに見えた。暗くてもわかるもんなんだなと思いながらそこを後にした。
近くの座席に座っていた女装したおっさんはツムツムのようなスマホゲームしていた。下界に降り立ち、一度休憩しにホテルまで前日同様20分ほど歩いて帰った。
途中、マリオカートの集団が横を通り過ぎた。その集団は自分の宿の方面に揃って進んで曲がっていった時は終わったと思った。
2時間ほど休憩して、ふと昼間にあった横浜の男を思い出した。アイツはもうペコちゃん飴貰ってスッキリしたところなのかなと思いつつ、もう一つ近くにある新地にでも行ってみるかと勇んだ。その新地は松山新地といい、飛田新地は20分16000円程かかるのが、30分で同じ値段と幾許かリーズナブル。意を決して難波から電車で15分ほどの松山新地へ向かう。最寄りに着いた頃には雨は本降りへと変わっていた。気持ちの持ちようによっては土砂降りと言える雨の中、テクテク商店街を通り抜けいざ探訪へ。
だか、昼間に見た飛田新地の女性のレベルの高さを知ってしまっている分、傘越しに遠目で見ても気持ちは落ち込んでしまっていた。結構、時間帯もよくなかったのか女性の方が留守にしているお店も多かった。「靴もびちょびちょだし、なんか胸踊らんし帰るか……」となり、帰りがけに鬱血のアンパンマン(毒マフィンの親戚)を3体発見した後に帰りの電車に乗り込んだ。
18時過ぎの帰宅ラッシュにぶつかる。大阪は乗り降りで肩どついてもええんかコラ、と息巻いたが普通に後ろからどつかれてもどつき返す体力が残っていなかった。千葉のフィジカルモンスター敗北。
日本橋駅で降りてから商店街を抜けて帰宅、ついでにダイソーで靴の乾燥剤も買った。
普通の商店街の割には訪日観光客が多くて驚いた。
気を取り直してまた難波の方へ行き、お好み焼きを食べにびちゃびちゃの靴を履きこみ向かった。
お目当てのお店が満席で入れず、もう一個食べ放題でなかなか安かった(1700円ぐらい)お店を見つけるも撃沈。
時間制だからあと何分位で空きますか?と訊ねたが、ご予約などがありますので……と言われなくなく退店。
その後、(昨日煙草吸ったところの横にあった)居酒屋へ入店、カウンターへ案内された。
店内では端の方でお店の関係者が一人で飲みに来ていて、厨房2人と談笑していた。客と言える客は自分一人である。
その後、また関係者とその連れ4人組が入店してある程度賑やかな店内になった。それまで隣の会話は丸聞こえだった。2日目にして初めてちゃんとしたコテコテの関西弁を間近で聞けた。結婚してなかったけど、子供はいて19歳で産んだらしく、今後婚約予定の彼氏とは付き合って3年になるという。それを厨房で聞いていたユウジくんも3歳の子供置いて逃げ出したらしい。
串カツ8本とお好み焼きドリンク2杯で3200円ってどういうつもりじゃコラ、と思いつつもなかなか良い空間だったので感謝を伝え退店。
ホテルへの帰り道、今後の予算との照らし合わせをしながら予算の使いすぎに焦った。
道中、酒用自販機があり、クリアアサヒのロング缶が190円と安かったので購入した。明日からは酒飲まなくていいや。
帰宅後、共有浴場に入り(初めて同じタイミングで風呂に入ってる人がいた、しかし俺が髪を洗っている間には出ていってしまった)、共有の冷蔵庫に冷やしたクリアアサヒを飲みYouTubeを見ながらダラダラ過ごした。
フロントに奈良の観光雑誌があって、お部屋でゆっくり読んでねって書いてあったため部屋で読んだが、次の日に行こうとしている天理市のことは触れられてなかった。
そこから調べ物したり連絡を取ったりしていたらまた、2~3時間ぐらい夜更かししてしまった。明日の朝には靴が乾いてるといいなあ。
つづく。
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