#7 降水確率80%
運動方程式シリーズ第4弾、未来予測編です。
ついにシリーズ最終回でございます。
今回は、完全に未来を予測できないというお話。
少々長くなりそうなので、目次です↓
運動方程式と未来の予測
このサブタイトルで、「はぁ?」となった方もいるでしょう。
そもそも、運動方程式とはこういうもの↓
ma=F
質量mの物体に力Fを加えると、物体は加速度aで運動するってやつです。
少し入り組んだ言い方をすると、ある時刻tにおける位置xと運動量p(=質量m×速度v)、そしてその物体に加わる力Fが分かったら、物体がいつどこにあるかが分かる、といったところでしょうか。
…。
雑に言ってしまえば、未来予知みたいなものです。
「この物体はこう動くらしいよ」といった感覚です。
運命は決まっている?
「ラプラスの悪魔」という言葉を聞いたことはありますか?
フランスの数学者、ラプラスが提唱したそうです。運動方程式の解釈を少し広げたようなもので、ざっくりとした定義はこれ↓
ある時刻における全ての粒子の位置と運動量を瞬時に把握できる、過去も未来も全知全能な知性
もっとわかりやすく言うならば、「分子とか電子とか、そういう小さなものまで全てがどのように動くかが分かっていれば、運命は全て決まっている」
先程の運動方程式から未来を予測できるよ、という話をふまえると、行き着く発想ではありますが…
そんなバカな。
ちなみに、ラプラスの悪魔は量子力学という分野が生まれてからは、あっさり否定されてしまいます。
不確定性原理とゆらぎ
分子や電子くらいに小さなものは、位置と運動量を同時に測定することが不可能とされています。
実際には、位置も運動量もある程度の揺らぎを持っているため、もはや位置も運動量も厳密に知る必要がないのです。
ここでいう揺らぎとは、ある値からのばらつき、つまり標準偏差のようなものです。
このように位置と運動量が揺らいでいるという特性を不確定性原理といいます。
(どれくらいばらつくのかとか、細かい式が気になる方は「ハイゼンベルグの不確定性原理」「小澤の不等式」でググってください)
で、何を言いたいのか
現状が揺らいでいるならば、未来も揺らいでいる。位置と運動量がある程度ばらついているのだったら、きっと未来もある程度ばらついている。
つまり、確定した未来はない、ということ。
そこそこの予測はできたとしても、全ての要素がその予測に的中するとは限らない。
降水確率は80%です。夜は傘があると便利です→結局使わない
列車は通常通りの運行です→隣駅で信号トラブル
誰もがきっとこういう場面に遭遇したことがあるはずです
「一年後の日本や世界はどうなっていますか?」「自分はどうなっていると思いますか?」
たとえこんな質問をされたところで、わからないとしか言いようがない。
予想と近いかも知れないし、もしかしたら外れ値を引いてとんでもない状況になっているかも知れない。
株式市場とかと同じですね。
予測を裏切られたとしても、こんなものだと割り切ってしまうのも悪くない。
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