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【医師解説】加齢関連疾患に対する老化細胞除去ワクチンの可能性

これまでのsenolytics(老化細胞除去治療)は、アポトーシス(細胞の自己崩壊)経路をターゲットとするため、正常細胞にも存在し、特異性が低くなり、多くの副作用の懸念がありました。
しかし、老化した血管内細胞の表面に特異的に発現する老化抗原であるGPNMBをターゲットとしたワクチンが開発されています。

まず、老化細胞に特異的に発現する老化抗原を同定するため、老化したヒトの血管内皮細胞の遺伝子情報が解析されました。
その中で、すでにヒトの老化と関連が示唆されていたGPNMBはヒトの老化した血管内皮細胞で著しく増加するだけでなく、動脈硬化モデルマウスや高齢マウスの血管や内臓脂肪組織、動脈硬化疾患のある高齢患者の血管でも発現が増加することがわかりました。

次に、GPNMB陽性の老化細胞を薬剤によって選択的に除去できる遺伝子改変モデルマウスが作成され、肥満食を与えた後、薬剤によってGPNMB陽性の老化細胞を選択的に除去する実験を行ったところ、肥満に伴う糖代謝異常や動脈硬化の改善が見られました。

そこで、このGPNMB陽性の老化細胞を選択的に除去する老化細胞除去ワクチンが、加齢関連疾患の改善に役立つ可能性があると考えられています。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範


【参考文献】
1)Hayflick L, Moorhead PS. The serial cultivation of human diploid cell strainsExp Cell Res. 1961; 25: 585-621.
2)Suda M, et alSenolytic vaccination improves normal and pathological age-related phenotypes and increases lifespan in progeroid mice.Nature Aging. 2021; 1: 1117-1126
3)『老化細胞除去で健康寿命延伸を目指す』順天堂大学大学院医学研究科循環器内科教授 南野 徹:ANTI-AGING BUSINESS No5 2022-12:22-25


・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。

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