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20200521 No16 パンデミックの中でのポリオ:勉強になった

本日は表紙に掲載している研修に参加した。TrainingまたはSensitizationといい、州保健省や国際機関が地元の保健行政スタッフや医療者に向けて、ある特定のテーマにて開催される。今回は、サーベイランスについてだ。

パンデミック対策の疫学調査(Contact Tracing)以外では、役回りがないのでオブザーバー参加となったが、非常に勉強になった。箇条書きとなるが、学びや気づきを記しておきたい。

COVID19対策において:
・今までは州の対策チームで実施していた活動を、徐々に自治体レベルの既存の保健行政およびサーベイランス機能に移行させていく方向。今回は、その序の口の導入であった。 
→ 日本では保健所が各地自治体のフロントラインにて対応していたが、そこまでの技能と体力がないナイジェリアの自治体保健行政は、COVID19対応に今までほとんど関与していない。

・この移行は望ましいと思う。ポリオ根絶のために構築されてきたAFP(急性弛緩性麻痺)サーベイランス、他のアウトブレイク(ラッサ熱)対応体制と、一定レベルのシステムは自治体にある。そこに、新しい病原体としてCOVID19についての教育と研修を、各レベルで行いながら、移行していく。
→州の対策チームは、保健省、NCDC、国際機関の混在チームであるが、増加する症例数に対して人手が足りてきていない。なので、既にマンパワーが確保されている自治体の保健行政の力を借りるのは正しい。

・既に活動している対策チームに、保健行政の担当官が加わり、OJTにて仕事を学ぶなどが良い気がする。その経験を、担当官が持ち帰り、自治体にて拡散させる。

ポリオ対策において:
・首都では、COVID19の影響が考えられる1-4月であっても、AFPサーベイランスの指標に悪化は認められず、一部改善をも認められた。それには、2つの要因があると。1)COVID19対応に州および国際機関のマンパワーがとられる中、自治体および医療機関のスタッフが頑張った。2)COVID19サーベイランスの中にも、ポリオもうまく融合できた。
→2)の具体的には、Active Case Searchという、疑い症例をコミュニティーおよび医療機関に能動的に探しにいく活動だ。COVID19と並行して、AFPについても検索するように求められた。

・COVID19がナイジェリアにて流行する前に行われた、ポリオワクチンの一斉接種キャンペーンにて、サーベイランスが弱い地域では徹底気にActive Case Searchをするようにした。
→戸別訪問にてワクチン接種をチームで行うのが一斉接種であるが、そこに新たなにサーベイランスに特化したメンバーを加えた。そして、全ての家にて急性弛緩性麻痺の疑いがないかを、聞き取り調査したとのこと。これは、北部の赴任地でも使うべき手法だと思った。

ややマニアックな雑記となったが、教訓としては、いかの2つをあげる。
・既存の仕組みの活用:新興感染症が起きても、既存対応システムに移行していくステップは大事。また、システムの構築・人材教育も、未来を見据えて、Creativeに行われるべきだ。
・複数の地域を見ることは参考になる:北部だけでなく、首都の保健行政の現状を知ることで、自分が北部で展開する作戦や提案も変わってくる。国事務所レベルで活動するようになったら、複数地域を訪れて、そこから現場感と知見を統合したい。

Day 12 忍耐力・Grit → 今朝起床時、非常に疲れを感じた。この難局を耐え抜くという誓いのため、この言葉を。

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