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若手社員はあまり「あるべき姿」に惑わされない方が良い理由

キシです。今日は日本語の「べき」という表現に惑わされすぎてはいけない。というお話をします。

上司に「あるべき姿」ばかり考えさせられる人は、ぜひ読んでみてください。


育成現場で多様されるToBeとAsIs

多くの若手育成の場では、課題解決アプローチとして「ToBe」と「AsIs」を比較し、「FIT/GAP」を洗い出すことを教えられます。

この「ToBe」とはあるべき理想の姿、「AsIs」を現状の姿とされ、「FIT/GAP」はそれらの差を明確にし、その差を埋めていきましょう。という比較的わかりやすいフレームワークです。


しかし、これには少し罠があります。

それが、日本語の「べき」という表現です。


Tobeという英語を見てみると…

辞書等で調べてみると、ToBeは「やがて~になる。」とか「~されるようになる」という説明がされることが多いようです。

特に"To be +名詞"の場合は「~になる」という表現です。

私は英語の専門家でもありませんので、ニュアンスの部分を説明できるわけではありませんが、そこには「べき」などという言葉はでてきません。


英語で「べき」というと

英語で「べき」というのは色々思いつくと思います。shouldやmust、had better、need to、have to。。。

表現の強弱はありますが、日本語だと「べき」と訳すこともあるでしょう。

日本語は、多彩な表現があると言われますが、逆に曖昧(良い意味で懐が深い)なところもあるのです。


社員研修で言われるToBeは誰にとっての「べき」なのか

では、なぜ研修ではToBeを「あるべき姿」なんて訳すのでしょうか?

それは憶測を含め、以下の2つがあります。

・若手社員にわからせたい、示したいという気持ちが前に出すぎている。
・あまりにも社員にWANTSがない。

一つずつ解説します。


・若手社員にわからせたい、示したいという気持ちが前に出すぎている。

まだまだ、日本は師弟関係のようなものを重んじるところがあり、「わかっていないヤツに教えてやる」というティーチング文化が根付いています。

なので、「べき」というものがある前提で、それを目指すように指導したいのです。

この場合は若手社員のための「べき」のように見えて、都合の良い上司のための「べき」であることが多いのです。


・あまりにも社員にWANTSがない

ToBeが「(将来)~になる」という言葉だったとして、そこには「べき」のような意味の他に、「どうありたいか(WANTS)」があっても良いと思いませんか。

むしろ、そっちの方がポジティブで頑張りたいと思いますね。

しかし、若手社員からはなかなか「ありたい姿」が出てこないのです。なので、上司は「べき論」に帰着してしまうのかもしれません。


最後に

そもそもこのVUCA(変化)の時代、「べき」を追い求めることは無意味ですし、上司部下が一緒に成長するコーチングを目指すべきです。

いつまで経っても完成しない「あるべき姿」像を追い求めるのではなく、「何をしたいか」を育んで、「ありたい姿」に向かっていくことが、その人にとっても会社にとっても良いことだと思います。

もしあなたが、上司の立場であるなら「べき」「べき」言っているのではなく、「どうなりたいか考えてみて?」ってアドバイスしてあげましょう。

逆に若手社員の立場であれば「ありたい姿」から考えてみて、上司にぶつけてみましょう。


余談ですが私は、3年かけて作った「あるべき姿」に向かって、2年間改善に取り組み、結局頓挫してしまったチームを知っています。5年前に考えた「あるべきだった姿」なんて、無価値だからです。

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