見出し画像

リン/P:墓場の鬼火の原料です

原子番号15の元素。
ギリシア語で、phos「光」+phoros「運ぶもの」=「phosphoros」に由来する。

リンといえば、そう、墓場の鬼火の素。
これは、土葬された人の骨の中から拡散した白リンが、空気の酸素に触れて青白い光を放つ化学現象であり、実は、怪奇現象ではない、と思いたい。

リンは、1669年に錬金術師のHenning Brandによって発見されたとされている。
彼は、人の尿成分を用いて、銀から金に変換しようとしていたそうだ。
錬金術の夢は尽きない…。
人体では、体重の約1%を占めるカルシウムの次に多いミネラルである。

リンの役割

リンは、その約80%が、骨や歯の構成成分となっている。約15%が筋肉などの軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在している。

カルシウムだけでなく、リンは骨や歯の正常な発達に不可欠な成分で、カルシウムとともにハイドロキシアパタイトとして骨や歯を構成している。

また、リン脂質として、細胞の膜を形成する。
細胞の脳と言われる、細胞膜。この細胞膜を通して、外部の情報をインプットして遺伝子に伝えるので、これが機能していることは細胞にとって超重要なのだ。

さらには、重要なDNAやRNAなどの核酸、生命のエネルギーそのものである高エネルギーリン酸化合物(アデノシン三リン酸:ATP)の原材料として、さまざまな代謝に関与している。
そのほか、体液の酸とアルカリのバランスや浸透圧の調節、心臓や腎臓の機能の維持、神経伝達などにも関与しており、その働きは多岐にわたる。

リンの欠乏

リンは、多くの食材に含まれる上に、加工食品のリン酸塩系の添加物として多く含まれているので、欠乏よりも過剰の方が懸念されている。
リンの欠乏症状としては、脱力感、筋力低下、溶血などの症状などがある。


リンの弊害

リン酸は、加工食品に極めて一般的に含まれる添加物・リン酸塩として口に入ることが多い。リンは魚類、乳製品、大豆、肉類など一般的な食品に広く含まれている成分ながら、添加物としてのリン酸の取りすぎが問題である。
パン・加工肉・練り製品・お菓子類・冷凍食品などあらゆるものに含まれている。

表示は、「リン酸塩」「リン酸〜」などだけではなく、「pH調整剤」「乳化剤」「膨張剤」「イーストフード」の中にもオールインクルードで含まれている可能性もあるし、練り製品に含まれる「魚肉」には、含まれていても表示免除されるカラクリがあるので、注意したい。

これは、その他の大切なミネラルも排除する。
リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を妨げ、カルシウムの摂り過ぎはリンの吸収を妨げる。
そのためカルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされているものの、加工食品の摂取が多い場合にはリン過剰気味になるので注意したい。


リンを含む食材

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日のリンの目安量を18歳以上の男性で1,000㎎、女性800㎎としている。
耐容上限量は18歳以上男女ともに3,000㎎。
小魚類、米ぬかや胚芽、卵黄、乳製品、豆類などに多く含まれている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?