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失敗薬を生かすRoivant Sciencesの戦略

Roivant Sciencesは独特のビジネスモデルを持つ製薬企業です。同社は他の製薬会社が臨床試験に失敗した新薬候補を分析し、有望なものを譲り受けます。データ分析などの新たな手法によって、もともとの適用とは異なる新たな効能を見つけ出し製品化することを目指します。ソフトバンク・ビジョン・ファンドは2017年にRoivantに11億ドルの投資をしました。

創業者 Vivek Ramaswamy

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ハーバード大学で生物学を学び生物学の学士号を取得(最終的にはイェール大学でJ.D.を取得しました)。そして、ダニエル・ゴールド率いるQVT Financial というヘッジファンドに就職します。当時22歳でした。

QVTに在籍中、Vivekは2014年までファンドのバイオテクノロジー部分の管理を担当していました。その後、VivekはQVTを退社し、グラクソスミスクラインからRVT-101(intepirdine)と呼ばれる第2相医薬品候補をわずか500万ドルで購入し、Axovant Neurology Solutions (NYSE:AXON)という会社を設立したのです。

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RVT-101は、グラクソスミスクラインのPhase 2の段階にあったアルツハイマー病の治療薬ですが、他の多くのアルツハイマー病治療薬と同様に、十分な効果が期待できず、棚上げされていました。しかし、Vivekは、RVT-101という1つの薬の候補とし、2015年、IPOで株式公開に成功します。新規株式公開でAxovantの予想を上回る3億1500万ドルを調達し、その価値はほぼ2倍になりました。Axovantは約14億ドルと評価され、株式は99%上昇し、29.90ドルで最初の取引日を終えた。しかしながら、結局このRVT-101の臨床試験は失敗に終わり、開発は中止されます。ただ、このビジネスモデルは他の治療薬に応用され、その後次々と拡大をしていきます。


Myovant

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Myovantでは、子宮筋腫や前立腺癌に使われる薬relugolixを開発しています。これまでの臨床試験でrelugolixは有効な結果を報告しています。relugolixはGnRH受容体拮抗薬であり、下垂体に作用して女性ではエストロゲンを、男性ではテストステロンを低下させます。Myovantはこの薬を武田薬品から買い取りました。この薬はすでにPhase 3試験を終了させています。

エストラジオールと酢酸ノルエチンドロンを併用したrelugolixは、疼痛という主要評価項目に対し、プラセボ群30.4%に対し、75.2%の患者において月経痛または月経困難症の軽減が認められました(p<0.0001)。非月経時の骨盤痛については66.0%対42.6%の差がありました(p < 0.0001)。このエンドポイントでこの試験に参加したときの平均痛みスコアが10点満点で7.2点(強い痛み)であったのに対し、24週間または6ヶ月の治療後の痛みは1.7点と軽度の範囲内でした。

市場は十分に大きく、米国外の売上高は1億5000万ドル、世界的な売上高は16億ドルと見積もっています。Myovant社の元々のライセンス先である武田薬品はアジア地域の支配権を維持しています。

米国での発売については、子宮筋腫や子宮内膜症の患者の大半を治療する30000人以上の婦人科医をカバーするために、200人のMRを雇用する予定です。また、大日本住友製薬は30億ドル(約3200億円)出資し、Roivantと戦略的提携に合意し、その中にはMyovantが含まれます。これにより第日本住友の販路を用い、販売が行えることになります。

独特の企業統治モデル

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このようにRoivantを中核企業として、子会社1つ1つが、他の製薬企業から失敗とされたり、異なる効能が示唆されるような薬を買い取り、場合によりIPOで資金調達をし、臨床試験を成功させていくのがビジネスモデルです。もともとの開発企業と、ロイヤリティなどの取り決めをしたうえで、利益を分かち合う、という提案をします。多くの製薬企業が、いままで費やした努力が無駄にならずに患者を救う可能性があるという考えに、共感してしまいます。

公開のデータベースから、特許を見て、臨床試験の進行具合をチェックします。その後、作用機序、エンドポイントなどと照らし合わせ市場規模もチェックします。この方法で、候補となる薬を選定していきます。

Datavant

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また子会社には人工知能(AI)を利用して臨床試験の進行を改善することを目指す、Datavantといった会社もあります。製薬企業は多数の試験を行い、多くのデータを集めますが、それらのデータはシェアされることがないため、多くの臨床試験のコストが無駄になっています。しかしながら、そのようなデータをシェアするモデルを構築できれば、開発のスピードを上げることができ、臨床試験の成功率も上げることができるでしょう。これは製薬企業にとっても、患者さんにとってもハッピーな話です。

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