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映画「三度目の殺人」

ぶっ飛び級の面白さで、めっちゃ大好きな作品でした。

クソッタレ人生におさらばポンポンしたいけど、クソッタレ人生を生きて行くしかない残酷さが描かれてて辛い。真実とは?正義とは?社会通念とか全部取っ払って、自分が守りたいモノとは。映画が進めば進むほど、綺麗じゃない素敵じゃない世界が浮かび上がってくる。罪なき人間が理不尽に罰を受け、罪深き人間が罰を受けずのうのうと生きている。こんな世界を肯定出来る人間がいるのだろうか。本当に裁かれなくてはいけない人間は、誰が裁いてくれるのか。考えれば考えるほど、心が綺麗な人間から弾き飛ばされる世界だと思うし、生き残るには心を汚してくしかないと思った。

主人公で弁護士役の福山雅治がめっちゃカッコいい。主人公特有の途中で投げ出したり、理解不能な行動を取ったりしなくてめっちゃ良かった。弁護士側の吉田鋼太郎・満島真之介も最高だし、検察側の市川実日子も良い。そして役所広司の演技がエグい。「すばらしき世界」みたいでもあるし、「CURE」っぽさもあって、不穏な空気に包みこまれる。広瀬すずも流石だった。蒔田彩珠も出番は少ないけど、圧巻の演技で素晴らしい。他のキャストも凄い良くて、誰もがベストパフォーマンスを出してるように思える。


福山雅治と役所広司が面会するシーンが緊張感あって、ハラハラドキドキした。2人だけの演技でここまで魅力的になるのエグいし、繊細な手の動きだったり、柔和な話し方だったり、静かな心理戦というか、本当に最高。二転三転も展開が変わって、それによって登場人物像も変わって行って、誰が正しくて誰が悪いのか全く分からなくなって、実際にその答えは謎のまま終わる。サスペンスではあるけど、本当の犯人を見つけるのが目的じゃない。人は人を裁けるのか。司法制度におかしな点は無いのか。


映画館で観たかったなと思った。是枝裕和監督すごいな。重厚感ある作品で、分かりやすいカタルシスを感じさせてくれないし、モヤモヤしたままエンドロールが流れるし、最高です。是枝裕和監督の映画をもっと見ないといけないと思った。大好きな映画が増えました。

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