『1コイン通院サービス』開始します!

高齢者のワクチン接種が進んだこともあり、8月から募集活動を再開しました。地元のかかりつけ医まで1組(4名)の高齢者が最初の参加者です。2名が毎月、残り2名が2ヵ月に1回の通院で交互に乗ってもらうことで、毎回3人乗車で運行します。料金は一人片道500円。『1コイン通院サービス』と名付けて10月25日(月)からスタートします!

募集活動を通じて何点か気付きがありましたので以下に整理します。

遠くの専門医より近くのかかりつけ医

当初は市内中心部の専門医に通院したい高齢者が多いのではないか、と想定していました。ところが近くのかかりつけ医までの通院ニーズが圧倒的に高いことが分かりました。
私の地元では駅を中心に半径2kmの中に集落が点在しています。かかりつけ医は駅裏にあり、各集落からは数百m~3kmほどの道路距離があります。高齢者にとって徒歩や自転車で通院するには辛い距離です。結局、車で送ってもらう高齢者が多いのです。
専門医よりかかりつけ医の方が通院頻度が高いので本サービスのニーズも高い、という結果になったようです。

地域内均一料金に対する切実な思い

私が今回声掛けした地域は比較的かかりつけ医に近いエリアだったので、

(タクシー運賃+手数料)÷ 乗車人数 = 片道400円/人

と当初は安めに料金設定しました。一人片道400円を全員に説明した後で、参加者の1名に「今後入会する人は距離に応じて料金が500円とか600円になりますよ」と説明したら、「それはおかしい。均一料金にすべきだ!」と強く反発されました。同じ地域の住民なのだから公平に同じ料金にすべき、という意見です。

一人片道400円で全域をカバーするとさすがに赤字になりそうなので500円にさせてほしい、と言ったところ「全く問題ない」との回答。他の3人にも事情を説明したところ500円への値上げがすんなり通りました。日頃、値段には厳しい高齢者がすんなりOKしたことは意外でしたが、それだけ
 「地域の皆が安心して利用できる通院手段がほしい!」
という切実な思いを感じました。

本当の課題は「煩わしさ!」

参加者4人の内2人は3世代同居家族です。孫も含めて運転免許を持っているので、普通に考えれば家族の誰かが送ってくれるだろう、と思います。ところが皆仕事を持っていて忙しいので、お婆さんの通院のために仕事を休むことができないのです。

そこで近所のお母さんに頼むことになります。頼んだらお礼をしなければいけません。この地域では何か頼んだら500円の謝礼を渡すことが暗黙の了解になっています。ところが500円を渡そうとしたら「いつもお世話になっているから・・・」と受け取ってくれません。お婆さんとしてはこのままにしておく訳にはいきません。お金がダメならお菓子でも渡そう、と考えます。孫に頼んでお菓子を買ってきてもらって渡そう。ただ、あまり高い物だとかえって気を使わせるので何がいいか・・・等等

こんなことを毎回考えているそうです。この「煩わしさ」がお婆さんのストレスになっているのです。

今回の参加者の中に、1年前にお爺さんを亡くしたお婆さんがいます。インタビューの途中「お爺さんが生きていた時はお爺さんが全部してくれたのに・・・」と涙ぐんでいました。
「通院手段を提供すること」これは表面的なことで、「この煩わしさから高齢者を開放すること」が当社の本当の役割なのかもしれません。

最後に

前述のお話、ビジネス面から見ると潜在的顧客が意外と多いかもしれない、ということです。これまで本サービスの想定顧客は一人暮らしの高齢者か親子二人暮らし(子は独身)の2パターンだと思っていました。高齢者の本当の課題が前述の「煩わしさ」だとすると家族構成は関係ありません。高齢者がいればどんな家族構成でも起こり得ます。もう少し顧客層を広く捉えて活動する必要がありそうです。

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