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「相乗り通院サービス」の超えなければならない壁

12月21日(木)、当社の「相乗り通院サービス」が新潟日報に掲載されました。

紙面上では好意的な表現で紹介されているので、順調に事業が拡大しているような印象を受けますが、実態はそうではありません。申込者、タクシー会社、地域住民の方々、それぞれの”心理的な壁”を乗り越えることに苦労しています。ここでそれらを紹介することによって、当社の取り組み対する理解者を増やし、将来的な課題解決の素地になればと思います。


申込者の心理

本サービスは、同じ病院に相乗りタクシーで通院したい高齢者を募集するプロセスからスタートします。市内の病院はどこも混雑しているので、同じ病院に同じ方面から通院している高齢者はそれなりの人数いるはずです。なのですが、この段階で申し込む人はごく少数です。
高齢者にヒアリングすると

  • 夫が免許返納するまであと半年あるから

  • 親戚があと1年くらいは送迎できると言っている

つまり、「いずれは利用したいけど、今はまだ送ってくれる人がいるから」ということでした。”相乗り”は相乗り相手がいてはじめて成立します。半年後、1年後に申し込んでもその時に相乗り相手がいなければ本サービスを利用することはできません。
当社としては

  • 通院手段が無くなった時に申し込む

のではなく

  • 近い将来そうなることが分かっている高齢者の方々に、同じタイミングで申し込んでもらう

工夫が必要だと考えています。

タクシー会社の心理

タクシー会社に送迎を依頼しても、断られるケースが増えています。理由は運転手不足です。運転手不足のため「相乗り通院サービス」の送迎依頼に全て対応できるかどうか分からない、ということでした。深刻な運転手不足から依頼を断らざるをえないタクシー会社側の心理は理解できます。

ただ、”相乗り”は地域全体でみれば運送を効率化する手段でもあります。運転手が不足しているのであれば、むしろ”相乗り”を推進することで運送効率を高め、運転手不足による問題を緩和できるのではないかと考えます。

この点についてタクシー業界との協議はまだまだ不十分です。今後解決すべき課題だと考えています。

地域住民の心理

新発田市内には、予約型乗合いタクシー、コミュニティバス、市街地循環バスという公共交通があります。それらに加えてタクシーがあります。この中で予約型乗合いタクシーは、名称が似ているためか「相乗り通院サービス」と競合するのでは、と誤解されている方が多いように思います。

https://www.city.shibata.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/020/836/nakaura.r5.11.pdf

相乗り通院サービスが拡大する ≒ 予約型乗合いタクシーが無くなる

という思考から「相乗り通院サービスは積極的に応援できない」という住民心理にぶつかることが度々あります。
新潟日報の取材対象となった利用者の立場で、各通院手段を比較すると以下のようになります。

1)既存の公共交通を利用する方法

高齢のため停留所まで歩けない = 使えない

2)個人でタクシーを手配する方法

経済的負担が大きすぎる = 使いたくない

3)相乗り通院サービスを利用する方法

手頃な料金でドアtoドアの通院ができる = 使いたい

停留所まで歩けない高齢者のための安価な移動手段として考案したのが「相乗り通院サービス」です。予約型乗合いタクシーの機能を補完するものであって、決して競合相手ではありません。

公共交通でカバーしきれない高齢者のための一つの選択肢として「相乗り通院サービス」があることを、地域住民の皆様に理解していただく努力が必要だと考えています。

最後に

今回、”心理的な壁”として3者を挙げさせていただきましたが、決して攻めている訳ではありません。「相乗り通院サービス」はこれまでに無い全く新しいサービスです。理解されない部分があるのは当然です。”壁”があるのであればそれを乗り越える努力をするのは当社自身です。

いつの日か全ての関係者が協力し合い、通院問題が解決される日を目指して努力し続けます。

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