相乗りタクシー解禁で問われる高齢者のデジタル対応
前回、地方における高齢者の相乗りタクシー活用について私見を書きました。
電話で受け付けて現金で決済する方式を説明したので、誤解があったかもしれません。本当は受付から決済までスマホで完結したいというのが本音です。
政府もスマホアプリを活用した相乗りタクシーを解禁する方針です。
問題は利用者がスマホに不慣れな高齢者だということです。
高齢者支援の現状
高齢者が単独でスマホを使えるようになることは稀です。周りの支援がどうしても必要です。高齢者にどうやってスマホを使ってもらうかを議論する前に、高齢者に対する支援のあり方について考えてみたいと思います。
例えば、通院手段が無くて困っている高齢者がいる、とします。これまでであれば運転できる人(親族、親戚等)が都合を付けて送迎してあげる。あるいは地域内で助け合い組織を立ち上げて送迎してあげる(有償あるいは無償で)という支援策が一般的だと思います。
しかし、送迎する人自身が高齢者で数年後には自分が高齢のために送迎できなくなるケースが発生しています。実際に当市赤谷地区では10年前に立ち上げたボランティア送迎という地域サービスが運転手の高齢化で維持できなくなったという事例があります。
高齢者が引き起こす交通事故が社会問題化している中で、交通弱者を地域の方々が送迎するというリアルなサポート方法は継続性の観点から無理があるのではないか、というのが私の考えです。
(全国には自家用有償運送等で継続的な送迎サービスを行っている地域があります。上記はそれらの活動を否定する意図はありません)
高齢者支援のさらなる課題
加えて、
・少子高齢化の加速により、支援を受ける世代に比べて支援する世代の人口が減る
・定年延長により、支援する世代の支援時間が減る
この様な人口構成の変化、社会的要因によって高齢者を地域内の方々で送迎するというリアルな支援がますます困難になっていきます。親族や親戚、地域の助け合いだけでは、高齢者の通院をサポート出来なくなるのです。ではどうするか!?
支援の仕方をリアルからデジタルにシフトする
菅政権の政策でも挙げられている通りデジタル化の流れは今後一層加速します。私は高齢者に対する支援もデジタルに大きくシフトするタイミングではないか、と考えています。
高齢者支援をリアル支援とデジタル支援に分けて、リアル支援は専門家に任せ周りはデジタル支援を手厚くするのです。通院を例に説明します。
リアルな支援(車による送迎)は専門家であるタクシーに任せます。親族や親戚、隣人はデジタル化の支援を行います、例えば
・クレジットカードの手配
・スマホの手配/初期設定
・アプリのインストール/設定
・必要最低限の操作法説明
・各種申し込み操作の代行 など
です。このような支援であれば遠隔地に住む親族、親戚でも工夫次第で支援可能です。
周りがこのようなお膳立てをしてあげることで、相乗りタクシーの申し込みと決済がスマホでできるようになり、高齢者もデジタル化の恩恵を受けることができるのです。
介護や災害支援等、リアルな支援が必須の領域は当然あります。しかし、こと車の運転に関してはタクシーに任せた方が安心です。周りはデジタル対応の支援を手厚くすることで高齢者がデジタル化の流れに取り残されないようにすることが大事だと思います。
まとめ
今後、高齢者支援のあり方をデジタルにシフトしていく。そうであれば高齢者にはなるべく早めにスマホを持ち歩いてもらうように仕向けたいものです。
私は76歳の母親に2年前からiPhoneを渡しています。しかし利用アプリはいまだに天気アプリだけです。しかも固定電話の横が定位置となっていて携帯電話の役割すら果たしていません。どうしたら持ち歩いてくれるか現在試案中です。
皆さんも両親や身近な高齢者にスマホデビューを勧めてみてはいかがでしょうか。「めんどくさい」「分からない」「詐欺にあう」など色々な抵抗にあうと思いますが、将来必ず役に立つ時が来ると思います。
その時は以外とすぐ来るかもしれませんよ。
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