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相乗りタクシーで高齢者の通院問題を解決できるか!?

新潟県新発田市というまちでタクシー運転手をしています。タクシー運転手になって2ヶ月が経ち思うところを書いてみます。

タクシー業界の苦境

コロナ禍の中やはりお客様は少ないです。16時間勤務して乗客が10人に満たない日もあります。待機時間が長くなりとても非効率。

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いっそのこと休暇を増やせば、とも思いますが休めばその分売上が減って経営がさらに厳しくなる。結局、少ないお客様を市内の3社で奪い合う構図になっています。

会社としては営業力強化や運転手のサービス向上で顧客を増やしたい意向ですが、他社も同じことを考えるので奪い合いの構図から抜け出せないでいます。

この状況をなんとかしたい!

高齢の移動弱者の現実

次は利用者側の視点で述べます。飲食客、観光客、ビジネス客が激減している中で高齢者のタクシー利用は安定しています。

高齢のお客様からは「いつもありがとね!」と声を掛けてもらうことが度々あります。こちらがお礼をいう立場なのに、といつも恐縮しています。同時に高齢者にとってタクシーは無くてはならない移動手段なんだということをあらためて感じます。

高齢者のタクシー利用について気付いたことがあります。市街地住民に比べて周辺地区住民の利用がかなり少ないのです。
8月9月の2ヶ月間で私が送迎した乗客の記録を集計してみました(通院客のみ)。高齢者1万人当たり換算で、市街地29.2人:周辺地区3.3人です。約1/9です。
周辺地区からの乗車は運賃が高くなるので利用者が限定されるのだと思います。

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相乗りタクシーという解決策

ここからは私の仮説です。
”周辺地区の高齢者も本当はもっとタクシーを利用したいのではないか”
私が住んでいる地域も周辺地区です。市街地から約10km、タクシーで片道4千円、往復8千円程度かかります。
近所に運転免許を持っていない一人暮らしのおばあさんがいます。80歳を超えた親戚のおじいさんに通院の送り迎えをしてもらっています。
ドアtoドアの移動手段が車しかないのです。
運賃が市街地並み(片道千円程度)に安くなれば周辺地区からのタクシー利用がもっと増えるのではないか。複数人が乗り合わせて運賃を割り勘で支払う相乗りタクシーが解決策になるのではないか、と考えています。

例えば、近所の仲良し4人が一緒に市街地までタクシーに乗って割り勘で運賃を支払う、これも相乗りタクシーです。しかし、近所の仲良しだけでは希望の日時で複数人集めることが難しく交通インフラとして機能しません。そこで、

・対象エリアを一定の纏まりのある地区(小学校区や行政区など)に広げる。
・乗車目的を通院とし行先を市街地の病院に限定する。
・通院する曜日と時間を固定する。
・その曜日、時間で通院する高齢者の申込を受け付けて、それをまとめてタクシー会社に依頼する。

そうすれば乗り合わせる人が複数人になり割り勘で運賃を安くすることが可能になります。

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相乗りタクシーの課題

相乗りタクシーを実現するには課題があります。タクシーは
”1回の運送につき1つの運送契約が結ばれること”
という法的制約があります。例えば4人で乗車して運賃4千円を割り勘にして一人当たり千円を支払うとします。ここで千円づつ個別に運転手に支払うことはダメなのです。乗客の内の一人が運賃を取り纏めて総額4千円を運転手に支払わなければなりません。これが”1つの運送契約”という意味です。
つまり、現行法の元で相乗りタクシーを実現しようとすると、他の乗客から運賃を徴収して運転手に支払う取り纏め役が必要になります。また、タクシー会社への依頼も1本にまとめる必要があるため、申込を受付ける窓口も必要になります。
この体制と運用プロセスをどう実現するかが課題となるのです。

まとめ

通院に苦労している周辺地区高齢者と集客に苦労しているタクシー業界を結び付ける相乗りタクシーの仕組みができれば両方ハッピーになれる!
実現に向けて課題はありますが、チャレンジしてみる価値はありそうです。

※今後、地方の社会課題についてタクシー運転手目線で投稿したいと思いますので、よろしくお願いします。

#地方 , #社会課題 , #高齢者 , #移動弱者 , #高齢者の通院問題 , #相乗りタクシー

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