現役医師による、医師の経歴から見る美容外科医の選び方のすゝめ

美容外科医は増えている


ここ10年で日本でも美容整形は一般的なものになり、以前と比べて美容整形のハードルもかなり下がっています。
それと同時に、美容外科医、美容皮膚科医となる医師の数も増えています。

厚生労働省の調査では、
前回調査時(2020年)と比較して医師数が増えた診療科は、美容外科(対前回比で132.4%)と他の保険診療の科の追随を許さぬ増加傾向となっています。
また、平均年齢も臨床研修医を除くと救急科が41.9歳と最も低く、美容外科(42歳)、集中治療科(42.8歳)となっています。このように若い医師が美容外科医となっていることがわかります。

どの美容外科医にかかればいいのかわからない


美容医療は個人のクリニックから全国展開しているクリニックまで有象無象にあり、素人目ではどこを選べばいいのか、適切な判断は難しいと思います。
しかし美容整形は安い金額ではないですし失敗するのは怖い。
医者もいっぱいいてどのクリニックに行けばいいのかさっぱりわからない。

そこで今回は、現役保険診療医である筆者が、もし美容整形をするならどんな医師にかかるかのアドバイスをしたいと思います。
かくいう私も美容整形外科医ではないので、細かい技術や技量の程度についてはわかりません。
そのため、今回はクリニックのホームページなどに記載されている医師のプロフィールから判断する美容外科医の選び方をアドバイスしたいと思います。
これを参考にすれば、少しは選ぶのが楽になるかもしれません。
※以下はあくまで個人の感想です。

なぜ美容外科医が増えているのか?美容外科医のメリット

選び方のアドバイスの前になぜ美容外科医が増えているのかについて考える必要がある。なぜ医者が美容外科医に進みたがるのか、それは保険診療との違いにある。
①当直や呼び出しがない
美容外科医は当直や休日夜間の呼び出しなどはありません。仕事はクリニックにいる間のみ。オンオフがはっきりした生活が送れます。

②給料が良い
保険診療では、一般的に初期研修修了後は後期研修医として数年働き、その後専門医として働きます。後期研修医のうちは給料が少ないことも多く、他の病院のアルバイトが主な収入となっていることも少なくありません。専門医取得後も、給料の伸び率が高いわけではなく美容外科医と比較すると給料は高くはありません。開業医となればある程度の高収入は望めますが、開業医になるのは卒業後10年以降が一般的であり、診療科によっては開業しづらい科もあります。
一方、美容外科では初期研修修了後の医師3年目でも2000万ー3000万などの年収となることもあり、売れっ子美容外科医だとさらに給与が高くなります。若いうちの高収入は魅力的ですね。

人の美しく綺麗にする、というわかりやすい結果が得られる
これは人によりますが、若くて元気な人を綺麗にして感謝されるというのはやりがいのあることかと思います。

まとめると、美容外科医はオンオフがはっきりしていて高収入でやりがいがある。興味がある人にとってはこの上ない科なのかなと思います。

どんな医師が美容外科医になるのか

美容外科医になる医師には大きく3つに分かれます。
①初期研修修了後、すぐに美容外科に進む
②形成外科や皮膚科を経た後に、美容外科となる
③他の診療科を経た後に、美容外科に転身する

①は若い医師が多く、最近はこのパターンも多くなってきています。
②は形成外科専門医や皮膚科専門医を取得した後にサブスペシャリティとして美容に進む人、初期研修修了後数年保険診療を行なって専門医を取得する前に転身する人の2パターンに分かれます。
③は初期研修修了後数年保険診療を行なって専門医を取得する前に転身する人、他の科の専門医として何年も活躍した後に転身する人がいます。専門医の後に転身する人は結構年配の人もいます。

[選び方の鉄則]ホームページの美容外科医のプロフィールを見ろ!

正直、手術が上手いかどうかは手術を受けてみないとわかりません。
ただ美容クリニックにある医師プロフィールを見るとなんとなくどんな人なのか分かるはずです。

卒業大学はあまり関係ない

卒業大学で手術のウデがはかれるわけではないので、これはあまり気にしなくていいと思います。
学歴を気にする人は卒業大学で判断すればいいと思います。
私だったら、学歴以外全く同じ医師がいたら学歴が高い人を選ぶ、くらいです。

研修病院はあまり関係ない

初期研修病院の病院を書いていることが多いですが、正直どこで研修したかなんて医者は気にしません。よほどの有名病院の場合は、少し箔がつくかもしれませんが大した違いはありません。ただ大学病院での研修は、ものすごい暇で最低限必要な知識を得ずに研修を修了する場合もあるので、注意が必要です。

兎にも角にも形成外科専門医がおすすめ

形成外科専門医の医師は、少なくとも3-4年は教育医療機関で形成外科としてのトレーニングを積み、専門医試験に受かって形成外科医として名乗れるレベルの医師です。
もちろん専門医の有無は技術を測れるものではありませんが、手術はある程度術者としての経験があれば、一定程度のところまでは到達します。(そうでない場合もありますが。)
そして傷や縫合などの基礎的な知識、技術を有していることは担保されると思います。

専門医がなくても、数年は形成外科医としての経験があるとないとでは、何かトラブルがあった場合の対応や形成外科としての基本的知識・技術が違ってくると思います。

他の科の専門医も外科系ならいいかも

元々形成外科医ではなく、他の科で専門医を取得してからさまざまな事情で美容外科医になった医師も多くいます。
外科系の専門医を持っている医師は、手術の基本は取得しているはずです。美容外科の技量や知識は分かりませんが、ある程度外科手術に関する質は担保されるのかなと思います。

医学博士は忍耐の証

医学博士とあるとすごい人に見れますが、あくまで大学院で研究をして論文を出して博士号を取得したということであり、技術を担保するものではありません。ただ、博士号を持っているということは大学で数年間研究に勤しんだ努力の証です。医学博士はあるに越したことはありませんが、そこまで重要視しなくても良いと思います。

初期研修病院での"研鑽"はハッタリ

これは初期研修上がりで即美容に進む人のプロフィールにたまに書いてあるのですが
"⚫︎▲病院麻酔科、救急科、形成外科で研鑽"
なんて書いてある場合があります。
これは特にプロフィールに書くことがない医師のハッタリです。
ただ研修医で1ヶ月もしくは数ヶ月回っただけのことで、なにもないに等しいです。無視でいいです。
こういうのが書いてある場合は、アピールポイントがないのかなーなんて思ってしまいます。

学会正会員もハッタリ、無意味

他にも
"形成外科学会正会員"

"美容外科学会正会員"
なんて書いてある場合があります。
正会員なんて、学会費をきちんと納めていれば誰でもなれます。
専門医や指導医ならまだしも正会員なんて書く方が無駄です。
学会に所属していることで、そのジャンルに関する最新の情報を手に入れている可能性はあるので入っていないよりはいいのかなと思いますが。

学生時代の留学先は無視

たまに学生時代のに海外の病院に留学したことを書いている人などがイアμす。これはホントにただ実習で数週間〜数ヶ月だけ留学していただけです。なんの意味もありません、無視してください。

院長、副院長だからって腕がいいとは限らない

大手美容クリニックだとたくさんクリニックの支店があるため多くの院長、副院長がいます。正直知り合いの医者でも、入職して数ヶ月で副院長、1−2年で院長になる人もいます。SNSの使い方がうまく売り上げが高ければ院長になれることもあるみたいです。
大手美容クリニックでも広告塔となるようなクリニック(都心の一等地)の院長などは集客も望まれるためしっかりした技術が担保された医師がいることが多いとは思いますが、それ以外は技術があるとは限りません。もちろんしっかりとした技術がある医師もいます。

BLSプロバイダーとか緩和ケア修了はハッタリ

資格欄にこのようなものを書いている人がいますが、こんなのは研修医になれば全員とります。普通の医者は書かないことがほとんどです。なぜなら講習を受けるだけで取れるし、ほとんど全員持っているから。

僕が選ぶならこんな美容外科医

まとめると
まずは、形成外科専門医を持っている人が第一選択になるかなと思います。
ハッタリを書いている人は経験が浅く自分の経歴にまだ自信がない場合も多いのかもしれません。
自分だったら選ばないかも、って感じです。

もちろん、外科手技は技術が大事なので経歴だけで判断できるものではありません。ただ右も左もわからない人にとっては少しは参考になるのかなとお思います。

あくまで個人の意見なので、相性のあった気に入った先生を選んで、自身で施術を受けたことに満足、納得するのが一番だと思います。

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