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いってらっしゃい、おやすみなさい。 ちば

私と相方はいつも夜にネタ合わせをする。
私の家は到底人を招くレベルの部屋ではないもんで
いつも相方の家に転がり込んでネタ合わせをする
彼の家にあるyogiboはいつしか私の定位置になっていて
私がそこに座っていたという軌跡を残して微かに凹んでいる。

電車の始発の時間が
私達のネタ合わせの終わりの合図で、
「お疲れ様、ありがとうね」と互いにお礼の言葉を言って別れるお決まりのやり取りがある。

マスカラやコンタクトレンズなどお構いなしで瞼を擦りながら駅まで向かう。
すっと息を吸い込むと朝の冷たい空気が肺いっぱいに広がり気持ちがいい。

数分ほど歩いて駅に到着すると先程までの緩やかな時間は流れず、足早に歩くスーツ姿のサラリーマン達をちらほら見かける。
皆それぞれ向かう場所があってそこに向かって一直線に歩いている、それとは対をなし派手なカラーパンツと半袖の白Tシャツを着ている私は帰路に着く。

スーツ姿の人とすれ違う時
“あ、私は本当に芸人を目指しているんだ”と実感する。自分の志す方向をハッキリ指し示す瞬間はこの時である。

睡眠もまともにとらず頭がぼーっとしている為か私と一般社会が乖離している、
そんな感覚に陥る。
地元の友人は次々に結婚をし、
親になり、家庭を築いている。

私は自分のやりたいことを押し通した人間で
母親という立場を諦めるべき人間だなと
少しナイーブな気持ちにもなる。

そんな気持ちをぐっと飲み込み電車に乗る、
始発電車は比較的空いており、私は決まって端の席に座る。
そこから私の頭の中はあることで埋め尽くされるのだ。


化粧落としたい。保湿したい。コンタクトうざい。
ご飯食べたい、ご飯食べたい、ご飯食べたい。


そんな時は

めちゃくちゃ松屋の朝定食を食べる

それはもうめちゃくちゃ

めちゃくちゃ食べる

朝ごはんの概念を壊すほど米を盛る

生卵なんか割っちゃう

それを米にかけちゃう

ちっちゃい牛肉の小鉢も米にかけちゃうとね、

全てがどうでも良くなる。

乖離とか、

知らん

松屋の朝定食を目の前にしたら

人は平等に無力。

満腹で家に帰って珈琲を飲みながら

ネタを書き直す。

明日は朝マックにトライしようかな。

ちば

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