Vulfpeck(ヴォルフペック)のレコードを買ってみよう!
KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、37回目の連載になる。では、講義をはじめよう。
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今回は、「Vulfpeck(ヴォルフペック)のレコードを買ってみよう!」ということで、
私が実際に、Vulfpeck公式がアナウンスしている方法で、海外のサイトから直接買ってみたという「購入レポート」である。
最初に、結論から申し上げておきたい。
Vulfpeckのレコードは、日本からでも簡単に買うことができる。
必要なものも、けして多くない。クレジットカードがあれば、ほぼ大丈夫。
だが、もっとも重要で、なくてはならないものは、
「半年待つことができる忍耐力」だ。
Vulfpeckのレコードって?
Vulfpeckのレコードは、海外サイトのクラウドファンディングに参加することで買うことができる。
どういうこと?なんでレコード店で売ってないの?
という当然の疑問が出てくるため、まず、Vulfpeckのアルバムを取り巻く状況から解説していきたい。
Vulfpeckのアルバムは、CDとレコードで販売されている。このうち、CDは日本のP-VINEレコードが企画販売しているもので、基本的には日本でしか流通していない。つまり、CDは国内盤しか存在せず、海外盤は存在しない。
日本で単純にアルバムを所有したければ、このCDが簡単で、値段的にも安価である。誰でもいつでも手に入れられるという点で、このCDの恩恵は大きい。
そしてそれとは別に、レコードが発売されている。これらのレコードは逆に海外盤しか存在せず、国内版というものはない。
なぜか?それは、このレコードこそが、Jackのレーベル、Vulf Recordsによって作られたレコードだからである。
これこそが正真正銘――Jackが自ら、最初から最後まで企画した、ファンにとって非常に重要なアイテムとなっているのだ。
そして、それを買う手段は、海外サイトのクラウドファンディングのみ。というわけである。
ちなみに、このクラウドファンディングというのがJackにとっては重要で、このやり方を踏むことによって、Jackは万が一、レコードが売れなかった場合の過剰在庫を一切持つ必要がなくなる。早い話が、このやり方は「受注生産」なのだ。
通常、アルバムの販売というのはどれだけプレス(生産)して、どれだけ売れて、どれだけ残ったのか、というのが問題になってくる。
しかしこれが受注生産になれば、Jackはそういった悩みや金銭的なリスクからすべて解放される。
そして、「受注生産」であることは、ファンにとってそのグッズの価値を高めてくれる。特にこのVulfpeckのレコードの場合は、受注期間――つまり、レコード発売開始から1ヵ月間を過ぎると買えなくなってしまうため、なおさら価値が高まっていると言えるだろう。
こんな感じで届く
それでは、まず先に、実際に注文して届いたらどんな感じなのか、というのをご覧いただきたい。
今回は、先日注文していた「Vulf Vault 004: Dart」が届いた時の様子だ。
注文は海外のクラウドファンディングであるため、しばらく待っていると、ある日突然、国際郵便が届く。
ではさっそく、開封していこう。
ダンボールは厚手で、かなり丈夫であるため、国際郵便でも中のジャケットにはもちろんキズひとつ付いていない。
それでは、中身をきちんと確認してみよう。
これとは別に、ジャケットを保護する透明のビニールカバーが付いてくる。これは必ず同じカバーが付いてくるわけではなく、過去数回購入したが、すべて微妙に違うカバーが付いてきた。このあたりは、プレス・発送を担当しているクラウドファンディング「QRATES」の仕事だろう。
余談だが、海外の段ボールは放置しておくと大変なことになる、という話も聴く。開封したら、早めに処分したほうがいいかもしれない。
さて、このレコードだが、さっきから話している通り、クラウドファンディングではもう買うことができない。ファンにとっては非常に、貴重なアイテムだ。
私も数枚Vulfpeckのレコードを所有しているが、率直に言って、もっと買っておくべきだった。特にMSGライブのレコードを持っていないのは痛恨の極みである。当時はまだ、自分の中でクラウドファンディングで買うことに対する精神的ハードルが高かったのだ。
誰かが私と同じ轍を踏まないために…今日の講義はそのためにある。
購入の流れ
では、実際に購入するための方法を紹介しよう。
先に記しておきたいが、値段はレコード代金(30ドルくらい)に加えて、海外からの送料(20ドルちょっと)がかかる。つまり、合計で1枚あたり7000円はみておいたほうがいいかと思われる。
それでは、購入の手順を紹介しよう。
①まずクラウドファンディングの販売ページにアクセス
これは、販売が開始されたら(新曲の動画が公開されたら)、公式サイトや、動画の概要欄などにリンクが貼られるようになっているので簡単だ。
この記事から行きたい場合は、👇のリンクを使っていただきたい。
②「QRATES」のアカウントを作る
画面右上の「LOG IN」をクリック、アカウントがあればログイン。なければアカウント作成へと移る。
その場合は「Create an account」をクリック、ユーザーネームやパスワードを入力するだけでアカウントは作成できる。
③購入手続きを行う
購入は、販売ページ右側の「Back Now」から行う。
すると、購入者情報(Billing information)と、お届け先情報(Shipping information)を入力する画面へと移る。
氏名や電話番号は簡単に入力できると思うが、この住所を入力するところが、個人的に一番ハードルが高かった。今回は日本から買って日本に届ける場合の解説を行う。
記入する内容を順に説明していこう。日本とは上下が逆になっている。経験的には、日本の郵便局に住所が伝わればなんとか届くように感じた。
Company:国 Japanを選択
Postal Code:郵便番号 普通に〇〇〇ー〇〇〇〇で大丈夫
Prefecture/States:都道府県 東京ならTokyo-to、Tokyoでも届く
City:市区町村 大田区ならOota-ku、那覇市ならNaha-shi もちろんshiをcityにしても大丈夫
Street Address:それ以降&番地 さくら台 1-2-345 みたいな部分
Building (optional):建物&部屋番号 アパート名や部屋番号など
Company:会社で購入する場合にはこちらに社名を記入
以上だ。ちなみに、日本語で入力した住所を英語に変換してくれるサイトもあるので、こちらを利用してもいいだろう。
購入者情報(Billing information)が終わったら、お届け先情報(Shipping information)を入力。
同じであれば同じ内容を入力、異なる場合は再度、必要な箇所に必要な情報を入力してほしい。
④支払い情報の入力
支払いに使えるのは、
・VISA / MasterCard / American Expressのクレジットカード
・Paypal
のどちらかだ。これらの支払い方法があれば、あとは終了である。
希望する方法を選んで、
右下の「SECURE PAYMENT」をクリック。
カードの情報の入力か、Paypalの支払い手続きが完了したら、
⑤注文完了!
これにして終了となる。
これで終了だ!
やった!ついに僕は買えたんだ!!!
――といいたいところなのだが、
実は最後に、とんでもない工程が待っているのである。
それが、
⑥約半年間、待ち続ける
そうなのである。このクラウドファンディングサービスからのレコードは、購入後すぐに届いたりはしない。
過去に購入したVulfpeckのレコードを調べてみたところ、だいたい、どれも購入から到着まで半年、長いものはもう少し経っていた。
これに関しては、全世界のファンが首を長くして待っているため、届いたらファンはSNSでその画像をアップする。それを確認して、
「ああ、そろそろウチにも来るかもな」
と思ってからさらに1ヵ月くらい待つ、というのが恒例行事になっているのである。
ファンの忍耐力が試されていると言えなくもないが、だがその分、届いたときの喜びはひとしおだ。
大事にとっておくも良し、壁に飾るもよし、プレイヤーに乗せて聴きまくるもよし。
たとえ、プレイヤーを持っていなかったとしても、このレコードには所有するだけの価値があるのだ。
以上が、Vulfpeckのレコード購入レポートである。
これはJackが公式サイトから案内しているクラウドファンディングでの購入方法だが、日本のレコードショップでも少量ではあるが、購入することはできる。これらはおそらく、ショップ側が私達と同様にクラウドファンディングでレコードを購入し、それを在庫として販売しているのだと思われる。
後からどうしても欲しくなった場合、こちらに入荷するのを待つと良いかもしれない。入荷時期や値段に関しては、先ほどのクラウドファンディングでの購入とほぼ変わらない。SNSでチェックしていると入荷情報が出てくるので、それを待ってもいいだろう。
最後にひとつ。実は今回紹介したクラウドファンディングのサイト「QRATES」は、日本発祥のサービスなのである。
ここでは「オンデマンド・レコード製造販売」のサービスと紹介されている。利用者からすればクラウドファンディングなのだが、中を見ればQRATESがレコード販売/製造/発送までを一気に引き受けているため、確かにそういった説明のほうが納得できるような気もする。
最近ではカセットテープのクラウドファンディングも始めたようで、こうしたサービスは、世界中に存在する(Vulfpeckのような)大手レーベルと契約しないアーティストの助けになるだろう。
そしてJackが日本発祥のサービスをメインの販売方法として使ってくれているというだけで、ファンとしてはちょっと嬉しくなってしまう。
◆著者◆
Dr.ファンクシッテルー
宇宙からやってきたファンク研究家、音楽ライター。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。
◇既刊情報◇
バンド公認のVulfpeck解説書籍
「サステナブル・ファンク・バンド」
(完全無料)
ファンク誕生以前から現在までの
約80年を解説した歴史書
「ファンクの歴史(上・中・下)」
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