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マジックマッシュルームによる神秘体験 1 序章
1990年代半ば、まだ僕が学生でひよこだった頃の話。
あの頃はとにかく夏だったと思う。セカンド・サマー・オブ・ラブなどと呼ぶ人もいた。そして僕にとっても人生の初夏だった。
僕は医学生だった。そして若くもありちょっぴり自意識過剰だった。自分が特別でありたいと思っていたし、そのためには面白くて深い経験をしたいと思っていた。そして人間の脳や心の成り立ちに強い興味を持っていた。
その時に手にとったのが「マリファナX」という本だった。マリファナは法律で禁止されているが、依存性も少なく悪いことじゃない、などということが書かれた大麻合法化運動の本だった。上の世代のヒッピーの先輩方が書いた教科書のような本だった。
その本の最後の章に、とある南の離島にマジックマッシュルームが自生しているということが書かれていた。その頃はマジックマッシュルームはあまり知られておらず、法律でも禁止されていなかった。
見たこともない魔法のきのこ、食べるとキレイな幻覚を見て、不思議の国のアリスさながら、体が伸びたり縮んだり、はたまた世界の真実に気付いたりするらしい。
僕はまだ見ぬサイケデリック世界に憧れを抱いたのだった。
つづく
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