見出し画像

#7 日本は『水』輸入大国~世界の水を大切に~

こんにちは、GTです。
今回は日本が輸入している『水』に関する記事です。

タイトルを見て、「日本って海外から水を輸入してたの?」と疑問に思った人も多いのではないでしょうか。
ここでの『水』の輸入とはどういうことなのか、それによりどこにどのような影響を与えているのか、私たちができることは何か、ということについて書いていきたいと思います。


日本の『水』輸入の意味合い

バーチャルウォーターという考え方

まずは冒頭に書いた疑問に答えていきます。
日本は水を輸入しているのか?という問いに対しての答えは「NO」です。より正しく言えば、水を直接的には輸入していない、ということになります。
ではなぜ日本は『水』輸入大国なのかというと、輸入する食糧を生産するために大量の水が使われていることから、食糧の形で水を輸入していると考えることができるためです。

この考え方をバーチャルウォーターや仮想水と言ったりします。
バーチャルウォーターで考えると、食料自給率が低い日本は海外から『水』を大量に輸入しているとも言えるのです。

バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものであり、ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏がはじめて紹介した概念です。(中略)つまり、日本は海外から食料を輸入することによって、その生産に必要な分だけ自国の水を使わないで済んでいるのです。言い換えれば、食料の輸入は、形を変えて水を輸入していることと考えることができます。

(出典)環境省HP「virtual water~世界の水が私たちを支えています~」https://www.env.go.jp/water/virtual_water/

国債NGOであるWaterAidが発行している「世界水の日報告書2019」によれば、日本はアメリカについで世界第二位のバーチャルウォーターの輸入国となっています。

食糧生産に必要な水

水は家庭や工場など様々な用途で使われていますが、水の使用量が最も多い用途が農業です。
つまり食べ物を作るために使われる水が最も多いのです。

具体的にいくつかの食品を例にして水が使われている量が下の図に掲載されています。
コーヒーを飲む方も多くいらっしゃると思いますが、1Lにも満たない1杯のコーヒーを飲むために100L以上の水が必要となっています。
そしてその水は日本ではなく、コーヒー豆の生産地の水が使われています。

(出典)NHKクリエイティブ・ライブラリー

ちなみに、バーチャルウォーターは野菜よりも肉の方が圧倒的に多いです。理由は水を使って育てた野菜を家畜が食べることに加えて、家畜が飲む水の量がプラスされるからでしょう。
具体的に野菜と肉でどれだけバーチャルウォーターが違うのかいくつか例を書いておきます。環境省のサイトでいろいろな食べ物のバーチャルウォーターを計算できるようになっているので、興味がある方は併せてご覧ください。

  • 野菜

    • にんじん 1本:41L

    • たまねぎ 1個:38L

    • キャベツ 1玉:82L

    • 鶏肉 100g:450L

    • 豚肉 100g:590L

    • 牛肉 100g:2,060L

水を大量に使うことによる影響

ここまで食糧生産で水が多く使われることを書いてきましたが、水が多く使われることがなぜ問題なのかというと、場所によっては水がなくなる可能性があるからです。

地球は「水の惑星」とも言われていますが、その大部分は海水で、実際に使える淡水の量は全体の1%もありません。
そして水は偏在していて、日本は水が豊富ですが、水が不足している国・地域が少なからずあります。

農業のために地下水が使われることも多いですが、降った雨が地下水に戻るまでには長い年月がかかるため、水を多く使うことで地下水が枯渇してしまうということにもなるのです。
ちなみに話はややずれますが、地下水を使いすぎていることで地軸の傾きが変わったんじゃないか、という報道まで出たりしています。

水は希少でしかも偏在しているので、貴重な資源と言えます。
20世紀は石油の世紀と言われましたが、21世紀は水の世紀と言われていて、水不足による紛争が起きる可能性も指摘されたりしています。

こうして書いてきたように、水をできるだけ使わないようにすることは、水を確保して持続的に生活や食糧生産をしていくためだったり、水をめぐる争いを避けるために重要なことなのです。

私たちができること

では、日本だけでなく世界で持続的に水を使えるようにするために私たちができることを考えていきたいと思います。

これまで書いてきたように、農業のために水が多く使われていて、日本は食糧の輸入を通じて世界中の水を使っています。
なので、輸入する食糧を如何に無駄なく必要な量にするかということが重要になってきます。

なので、私たちができることとしては、食品ロスをできるだけ少なくすることです。
スーパーで食品を買い込みすぎて使いきれずに捨ててしまった、会合の食事をビュッフェ形式でオーダーしたがほとんど食べられずに残ってしまった、といった具合で食品ロスを身の回りで経験された方も少なくないでしょう。
なので、食品は必要な量だけを買う、過剰にならない程度にオーダーするということを気を付けていくことが私たちができることの第一歩だと思います。

他にもできることとしては、海外の水を使わないために輸入品ではなく国産品を買う、必要な水の量が多い肉ではなく比較的少ない野菜を食べる、ということも挙げられるでしょう。
ただ、国産の方が値段が高かったり、やっぱり肉を食べたい人もいるでしょう。この辺のことはあまり苦がなくできる人はやってもらうといいと思いますが、無理をしてまでやる必要はありません。
地球環境を持続可能にするためのサステナビリティの取組は、その取組自体が持続可能であることが重要です。
頑張って始めたはいいものの、疲れてしまって元通りの生活に戻り食品ロスも減らなかった、となっては意味がありません。

普段の食生活でなるべく無駄を減らす、無理ない範囲で国産の食品を選んだり野菜を多めにするなど、できるところから始めていってできるだけ長く継続して取り組んでもらえたらと思います。

ではでは、また次回お会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?