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【保存版】Withコロナ時代に自分のキャリアに武器をつくる「ラーニング・ストラテジーMAP」をつくってみた。

オックスフォード大学のマイケルオズボーン教授が「2030年に仕事で必要となるスキル」に掲げた「戦略的学習力」。それは、変化が激しい時代に自ら必要な知識を学び変わるための力。とはいえ、どの分野をどう学べばいいの?という人も多いと思うのでMBAでの学びや最近トレンドの学習領域を「ラーニングストラテジーMAP」としてまとめてみた。


【はじめに:こんな時代に、何をどう学ぶべきか?】

まずそもそもであるが、現在ほど変化が激しい時代はない。テクノロジーの発展によって、VUCAの時代などと呼ばれているが、 今回のWithコロナでますます変化は激しくなってきている。

VUCA(ブーカ)とは、Volatility(不安定さ)、Uncertainty(不確定さ)、Complexity(複雑さ)、Ambiguity(曖昧さ)の略

誰もが先が見えないと感じる時代において、それぞれのキャリアにおいて自分の武器をつくりたいと考える人は多いだろう。そこで現代における「学び」について課題をまとめてみたい。大きくは下記の3つに集約されると思う。

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現代の学びについての3つの課題

How:学び方自体がわからない。
What:何を学べが良いかがわからない
Why:学びの領域同士の関連性がわかりづらい。


まず「How:学び方がわからない」についての課題は多くの方が抱えているだろう。英語、中国語、プログラミング、ブロックチェーン、ファイナンス、コーチング、デザイン思考、アート思考、その他専門スキルなど、現代社会では多くのことを学べ、と焦らされてしまう時代である。


戦略的学習力(Learning Strategies)から始めよう

AI時代が到来し「人間の雇用が奪われるのでは?」という論争を巻き起こしたマイケル・オズボーン博士。「10年後に『売れるスキル』『廃れるスキル』」というタイトルのインタビュー記事に出てくるのは「2030年に必要とされるスキル・ベスト30」でありその第1位が「戦略的学習力(Learning Strategies)」である。

戦略的学習能力に関して、下記のオズボーン教授が語った内容を引用したい。

平たく言えば、新しいことを学ぶためのスキルです。「戦略的学習力」の高い人は、新しい知識を学ぶのが得意だということになります。「効率の良いノートの取り方を知っている」などは「戦略的学習力」の一例ですし、「専門家が知り合いにいる」というのも、有効なストラテジーといえるでしょう。言い換えれば、「新しいことを学ぶのにシステマチックなアプローチをとるスキル」ということです。ーマイケル・オズボーン、NewsPicks Magazine より

変化の激しい時代に、効率良く学ぶこと自体が大事と言うことは納得できたかと思うが、ではそもそも、より効率よく学ぶためにはどのようなステップを取れば良いのだろうか。

効果的な学習6つのプロセスを頭にいれる

上記の書籍によると、下記のようなプロセスがあるという。

効果的な学習6つのプロセス

1:価値を見出す(Value)
2:目標を決める(Target)
3:能力を伸ばす(Develop)
4:発展させる(Extend)
5:関係づける(Relate)
6:再考する(Rethink)

つまり1−3のステップは基本の専門能力について価値を見出し、磨くこと。まず学ぶべき領域に対して、価値を見出し、目標をたて、その能力を伸ばす。

続いて4ー5のステップでは、近接領域に能力を発展させ、関係受づけることを学んでいく段階。

最後の6のステップは、再考すると言う視点であり、またもう一度俯瞰し、また1の新たに価値を見出すステップに戻っていくきっかけとなる。このように6つの学習プロセスを回していくことこそ重要なのだ。

まずは「学び方」のポイントについてはニュアンスは掴めたかと思う。とはいえ、まだ疑問が残る。それは効率的な学び方がわかったとして、私たちは何(What)を学べば良いのだろうか。そしてその学びはなぜ(Why)学ぶべきなのかを考えるという大きな課題が残っているからだ。

・What:何を学べが良いかがわからない
・Why:学びの領域同士の関連性がわかりづらい。

では具体的に価値を見出すためにも、どんな学習領域が世の中に存在していて、今どの領域を学ぶことが価値に繋がりそうなのかがわかる地図はないのだろうか。早速リサーチしてみたが、「学習指導要領」等あくまでも学術的な資料か、逆にマーケティングやファイナンスなど特定領域に特化した専門領域の手引きしか見当たらなかった。(もしご存知の方がいれば教えて欲しい)そこで社会人が経営など会社の大きな役割を把握し、それぞれの関係性がわかる「学びの地図」を手に入れたいと思った。

そこで「無いなら作ろう」と言うことで、自分なりにまとめてみることにした。ちなみに私自身の経験としては広告代理店で10数年間働き、マレーシアで約2年間MBA(経営学修士)を取得、現在はスタートアップのフェズに転職。経営管理・経営企画などを経て、現在はオランダからフルリモートでクリエイティブ・ディレクターと広報を兼務している。また現在はコーチングスクールのZaPASSで学び、コーチとしても活動している。大企業側の働き方とスタートアップの働き方の違いを肌で感じ、一人のビジネスマンとして学んだ理論と実践を行っているところだ。

とはいえ正直、このラーニングマップをまとめる資格が私にあるかと問われると正直わからない。もちろん自分より優秀な経験や学歴を有された方はたくさんいる。少なくとも過去の自分のような学生や若手社会人に対しては、この発信はヒントにはなるかもしれない。そこで、私自身の中だけに留めておくよりも、自分が学び実践の中で経験したことをシェアしたいと思った。私自身の学びが次の誰かの「かなえる、きっかけ」になれば嬉しい。


【ラーニング・ストラテジーMAPとは?】

ラーニング・ストラテジーMAPとは、戦略的学習の6つのステップに基づき、ビジネスの要素と学習領域の関連性をビジュアル化した学びの地図である。その地図をもとに自身のキャリアを振り返ったり、次の学べき領域を考えるためのツールである。

ちなみにこのラーニング・ストラテジーMAPの体系化にあたっては、下記の手順で私なりに工夫を加え、学ぶべき領域を分類・整理することにした。

・ビジネスにおける主要な機能を俯瞰する、経営の主要な要素と役割が掴めるマップであること(マーケティングだけ、人事領域だけに特化したようなマップではなく)→MBAでの学んだ学問を戦略MAPのコンセプトを活用して再配置(後述)
・会社の内部環境だけでなく、業務に隣接する外部環境にも目を配ること→俯瞰的なマクロ要素であるPESTEL分析の視点を採用(後述)
・CP(内部の競争力)、SP(戦略ポジショニング)の視点でこれから注目の学習領域にも身を向けられるような、今と未来に繋がるようなMAPであること

まずはロバート・S・キャプランの戦略MAP/バランスト・スコアカードのフレームワークを活用し、経営における5つの主要な視点で基本的なビジネスマンの役割と学ぶべき学習領域を整理した。

現代の経営における5つの視点を「戦略マップ」として落とし込み、「バランスト・スコアカード」という管理ツールで整理して考えていく。

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5つの視点とは、

A:ミッション・ビジョン・バリューの視点

B:学習と成長の視点

C:業務プロセスの視点

D:市場の視点

E:ファイナンスの視点

である。

例えばAの「ミッション・ビジョン・バリューの視点」を担うのは、CEOや経営管理部・社長室など、いわゆる全社戦略を描く役割や部門である。最近は、どんな世界を目指すかという世界観が重視されてきており戦略広報やCVO(チーフ・ビジョン・オフィサー)などの専門ポジションを配置する事例もある。

Bの「学習と成長の視点」を担うのは、人事・総務が担っていることが多い。組織に必要な人材を呼び込み、研修で学習と成長を後押ししていく部署である。この部分の役割を重視する会社では、CHROを立てることもある。

Cの「業務プロセスの視点」を担うのは、組織の競争力の元となる、プロダクトやサービスを作る部門だ。またサービスを改善していくカスタマーサクセスなどもここに該当する。そのためCOOが業務を生産性高く指揮したり、PM(プロダクトマネージャー)やCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)やCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)を置くこともある。

Dの「市場の視点」は、主に競合を絡めた社会でどのようなポジショニングを築きあげるかを考える視点となる。主にCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)などのもと、マーケターがブランディングを担ったり、顧客のことを誰よりも知っている営業本部長が指揮を取ることも多い。

Eの「ファイナンスの視点」はCFO(最高財務責任者)のもと、市場価値に変換していく部署や部門となる。その下には財務が管理するだけでなく、知財などを含めた法務も間接的にその役割をになっていたりする。

このように一般的な会社は「ビジョン」に基づいて戦略を立て、「学習と成長」の視点で人を採用・育成する。その育てた人材が「業務プロセスの視点」で自社の強いプロダクトやサービスを作り上げ、「市場の視点」で独自のポジショニングを確立する。その作り上げたブランディングによって、物やサービスが売れて収益が上がることで「財務の視点」で市場価値として換算される。そしてこの収益を元に、次の採用や投資が行われていくと言う循環サイクルを回している。

つまり基本的には、会社の規模にかかわらず、職業人であれば、それぞれ5つの業務領域のどこかに属していると言えるだろう。


1:価値を見出す(Value)

上記を踏まえてまず最初にすることは、自分が今いる部署が5つの役割の中のどの部分を担っているかを考えてみることだ。そして、これから就活する学生は、まずどの専門領域で活躍したいのか、を決めることが大事だと思われる。

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上記は、参考までに、私が学んだマレーシアMBAでの学習カリキュラムをあげた。早速先ほどのマップに基づき、自分が現在携わっている5つの領域に関するビジネス分野の入門書から学びはじめていこう。

また私自身、英語があまりできなかったのでマレーシア留学中に英語での講義につまづいてしまい、留学中に並行してそれぞれの学習領域についてグロービスのオンライン学習サービス「グロービス学び放題」を使って並行して勉強した。2018年当時の205講座に関しては全てコンプリートすることで、その後同じ領域で予習しておくことで英語でMBAの講義になんとかついていくことができた。このように書籍で学ぶだけでは難しい概念も、こうした動画教材を活用して学ぶのは大変オススメだ。


2:目標を決める(Target)

では自分がそのAーEの5つのどの領域を担当しているかが分かったら、今度はその分野の専門スキルについて具体的に当たっていくフェーズとなる。

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「Aのミッション」の視点で言えば、前提として現代社会の倫理・哲学について学んだり、コーポレートガバナンスの仕組みやESG投資などの潮流に触れることは有益だろう。またリーダーシップと組織論や、そもそも全社戦略にはどのようなフレームワークがあるのかを理解しておけると考えやすくなる。

「Bの学習と成長の視点」で言えば、組織変革などチェンジ・マネジメントの領域を学んだり、学習する組織やティール組織などの概念について理解を進めることも有益だ。またX・Y理論など、人事マネジメント全般についての知っておくことは有益だと思われる。

「Cの業務プロセスの視点」で言えば、QCDなどのオペレーションマネジメントやサプライチェーンマネジメント、またSIXシグマなどの統計分析手法やリサーチを学ことも有益だと思われる。またアジャイル開発、リーンスタートアップなどの手法を学び、ビルド(作って)・メジャー(測って)・ラーン(学ぶ)のサイクルを回していくなどの方法論を学んでおくのも良い。

「Dの市場の視点」で言えば、マーケティングやブランディングのフレームワーク、またグローバル経済における文化理解の背景なども学んでおけるとグッと仕事の深みが増すと思われる。

「Eのファイナンスの視点」で言えば、管理会計・税務会計、BS・CS・CFなどの財務諸表、NPVなどの企業価値の測り方も新たな視点を教えてくれる。さらには、過去のリーマンショックなどの不況が世界的にどう連鎖するのかなどのマクロ経済学の動き、需要と供給のバランスでどう市場価格が決まるか等のミクロ経済学、さらに近年注目される人間を不合理的な生き物だと捉える行動経済学などの視点も理解を深められると、この領域で働く人にとっては良いと思われる。

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そして、どの領域や学問を勉強するか決めたら、それぞれの分野の入門書的なものから学び始めていく。ガイド本を皮切りに、より深い内容の専門書へと学びを進めていけば良いだろう。そのためにも、毎月学習領域に関する本を何冊読むかなど自分らしく無理のない目標を決めておけると良いだろう。


3:能力を伸ばす(Develop)

次に行うのは、必要な職種に関連する実践と共に学習を進め、その能力を高め伸ばしていくことになる。もちろん能力を伸ばしていくには多くのトライ&エラーや時間がかかるため、なかなか一筋縄ではいかない。しかし、まずは自分の柱となる能力を見つけることが一番のステップとなるだろう。ここではまず一定期間、ひとつのことをやりきるという覚悟が大切だ。

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どの学問・どの領域においても一定のレベルに達するまでは、継続的な仕事量が求められるだろう。例えば一つのことをやり抜くためには、下記の「GRIT:やり抜く力」という書籍がとてもためになる。


4:発展させる(Extend)

実は一つの領域を学ぶ場合、例えばマーケティングであれば、STPや4Pなどいわゆる一般的なフレームワークは多くのプロフェッショナルが理解・マスターしている。そのため、初級レベルを超えた後は、その分野の専門領域のスキルだけでは差別化が難しくなってくる。そこで、ある程度自分の専門性ができてきたら、自分の業務に隣接するマクロ領域の学問やスキルを身につけると、提供できる価値に深みが増してくるだろう。

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ではどんな業務隣接分野を学べば良いのだろうか。そこでここからは同じ職業人において差をつける、業務から俯瞰したマクロ領域に関して構造的に把握してみたい。ここでは、PESTEL分析というフレームワークを用いたい。

P – Political(政治)
E – Economic(経済)
S – Social(社会)
T – Technological(技術)
E – Environmental、Ethics(環境、倫理)
L – Legal(法律)

そもそもビジネスは自社だけで完結せず、様々な外部環境の影響を受ける。そこで必ずチェックしておくべき視点を覚えやすいように頭文字で繋げたのが『PESTEL分析』だ。ちなみに「PESTLE分析」と呼ぶ人もいるし、よりシンプルにL(法律)とE(環境)を省略し「PEST分析」と呼ぶ人もいる。

この視点を、先ほどの5つの視点と関連性が近い分野に配置してみる。(ここの分野の配置は異論はあるかと思うがあくまでも自分なりの理解である)

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P – Political(政治)L – Legal(法律)

まず「ファイナンスの視点」と相性が良いのが政治と法律の分野であろう。さらに国際社会の地政学やアメリカ人・中国・アジアなどの歴史や、キリスト教・ユダヤ教、イスラム教、仏教、ヒンズー教などの主要な宗教に関しては、各国の文化思想や政治・法律とも結びついていることも多いため、より意識しておきたいポイントとなるだろう。

E – Economic(経済)E – Environmental、Ethics(環境、倫理)

続いて「学習と成長の視点」が関わる人材市場は特にバブルのように好景気なのか、不景気なのかと言う経済と、その会社がCSR視点で環境に良いのかや企業倫理などを理解しておくのは良いだろう。

S – Social(社会)
「市場の視点」であるマーケティングの対象となる顧客を知るには社会学や心理学に精通しておくと納得感が増すだろう。例えば、社会学の「沈黙の螺旋理論」などは少数意見が黙殺されていく仕組みを構造化していたりする。こうした、社会を知るという意味では、英語や中国語などその対象とする国の言葉を学べたりすると、大きな影響が出てくる。

T – Technological(技術)

そして「業務プロセスの視点」と相性が良いのが「テクノロジー思考」である。この領域にはプログラミングや、AIやブロックチェーン、VRなどこれからくる技術トレンドの理解も含まれる。特にプログラミング思考は、学校教育にも取り入れられているほどであり、今後プログラマー以外もこの視点を持つことは大変重要な要素と言えるだろう。また最近はコードを書かないノーコード という概念も出てきている。しかし最低限のテクノロジーの思考法は身につけておいて損はないだろう。(ちなみに弊社フェズでも、全社員プログラミング研修をスタートしている。スタートアップを中心に、時代の流れに合わせて組織で学んでいくことはとても良い流れだと思う)

このように自分の専門分野と、PESTEL的なマクロ領域の知識と掛け合わせることで武器を広げ発展していくことで自分らしい武器が見えてくる。

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イメージで言えば、伸ばした旗の先に、マクロ領域の自分の好きな「鯉のぼり」で彩っていくイメージだ。例えば同じマーケターと言うジャンルでも、テクノロジーに強いマーケターと、心理学に強いマーケターでは大きく活躍するイメージが違ってくる。その個性が武器となって強みを際立たせ、あなたが選ばれる理由をつくってゆくのだ。

5:関係づける(Relate)

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続いて領域を関係づけていくフェーズであるが、ここではまずSPとOCという概念を紹介したい。これは戦略論において企業の競争力をつくるものが内側の組織能力にあるのか、それとも業界内でのポジショニングにあるのかという考え方である。

OC:組織ケイパビリティ → 自社内の知識と人脈形成/コーチング思考

まずOCで言えば、自社組織内の活性化や、内発的動機づけによる競争力UPに興味がある人は、自社内の知識や人脈形成を重視した方が良いだろう。またプラスアルファの武器を身につけたい人には「コーチング思考」を学ぶことをオススメする。なぜならコーチングでは、傾聴スキルをベースに、関わる組織においてチームがどのような時にやる気を出すのかを感覚的に掴むことができるからだ。またジャーナリングなどを通じて自分を内省し、ミッション、ビジョン、バリューを見つけることもできる。実際、私自身もZaPASSのコーチング講座を受講することで、企業や個人の内面の領域で、多くの気づきを得ることができた。


SP:戦略ポジションニング → 業界知識と社外人脈/クリエイティブ思考

また業界内や顧客へのインパクトをベースに個人や自社の競争力を高めたいならば、その業界での知識や社外人脈形成にも力を入れたい。またプラスアルファの武器を得るならば「クリエイティブ思考」を身につけることも一つの手段だ。近年MBA思考などのロジカルなフレームワークだけではコモディティ化してしまうと言われている。そこでデザイン思考やアート思考など「違い」を生み出せることが、ますます重要になってきている。感性を活かし、表現していくことに対して興味がある方はこの領域の勉強と実践を積んでみるのも良いだろう。

これはイメージで言えば、マーケター×テクノロジー思考に合わせて、クリエイティブ思考やコーチング思考でさらに効果性を高めていくようなものである。これは別の言葉で言えば、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの「BTC人材」の誕生とも言える。ただしこのレベルに到達できる人は本当に少ないと思われる。


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イメージで言えば、自分が高く伸ばした旗に、色とりどりの鯉のぼりがかかっているようば状態だろう。1色の鯉のぼりよりも、圧倒的に注目を浴びる感覚がわかるだろう。

6:再考する(Rethink)

最後に、俯瞰して「再考」するフェーズである。ここまで大きくは3つの要素を掛け合わせて、「ラーニングストラテジーMAP」を作成してきた。

5つの戦略MAP視点・職業専門性(戦略MAP)
×
6つの業務隣接マクロ領域(PESTEL)
×
2つの志向性:OC(組織・内向き)かSP(ポジショニング・外向き)か

基本はこの3つの軸の掛け合わせで、自分らしいキャリアはつくれると考えられる。もちろんこの学びの旅に終わりは無い。自分を客観視するなかで、また新たに学び身につけるべき視点を学んでいけば良いのだ。

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この段階まできたら自分が築きあげてきた鯉のぼりに登り、「戦略ストラテジーマップ」を覗き直してみよう。もしかしたら、また別のところに旗をかけたくなるかもしれない。また自分が作った鯉のぼりを、まったく別の何かに作り替えても良い。様々な可能性を再考してみると、無限の可能性が見えてくる。

ラーニングストラテジーMAP:使い方と注意点

人生は有限なため、人によって深めると広げるのバランスはそれぞれである。単に地図を広げるだけなく、それぞれの領域をどれだけ深めるのかというバランスも考慮することは大事だ。単に満遍なく色を塗ってもも、社会的インパクトには繋がらない。だから単にMAPを広げる意識だけ出なく、どれくら深みを出すかについても意識してみよう。

ではここからは、いくつかのキャリアのタイプを紹介したい。なお図の中の数字は、自分が投入する時間などの投入量だ。仮に100と言うリソースがあった場合、どのように活用するかをわかりやすくまとめてみた。

キャリア戦略:サンプル1

1つの領域を専門的に極めたい人→職人タイプ

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1つ目、1点に100のリソースを突っ込む人。これはわかりやすい。根っからの職人気質で、深く一つの分野に精通していくプロである。この分野を突き詰められる人はやはり本当に一握りだが、一点突破で突き抜けられる人は本当に素晴らしい。ただし注意点としては、急な社会の変化において自分が伸ばしてきた能力が需要がなくなってくることだ。だからこそ、1点突破でいく人においてはこれからも需要が減らない分野、むしろこれから成長が望める分野を選ぶことをオススメしたい。

キャリア戦略:サンプル2

5つの領域を満遍なく学びたい人→ゼネラリストタイプ・起業家タイプ

起業家など多くの業務をこなさないといけない場合、広く浅く俯瞰するMBA思考でじっくりと身につけていくのも良いだろう。また大企業でいくつかの部署をローテーションしてきた人も、このキャリアに近いだろう。メリットとしては、全体感を理解しているため組織のバランスを取って弱いところに注力することができることだ。その点は起業家やリーダー気質の人には良い。ただし圧倒的な強みが見えづらくなってしまう点があるので、そこはスキル以外の人間的魅力を磨くなど注意しておきたいポイントだ。

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キャリア戦略:サンプル3

業務隣接マクロ領域に興味がある→俯瞰と専門性を兼ね備えた研究者タイプ

単に専門性を発揮するだけでなく、背景にある学術的裏付けなどにも興味心を持てば、特定業種の中でも独自の視点を持つことができる。例えば、テクノロジー思考にたけた人が業務プロセスを改善すれば、大きな生産性アップが期待できるだろう。このように、CTOやPM(プロダクト・マネージャー)を目指す人はテクノロジーとビジネスなど少なくとも2つ以上の領域の領域をカバーし力を発揮できる人が向いていると思う。

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キャリア戦略:サンプル4

自己探求型かアウトプット表現型かなど思考特性で選ぶ

→内面:自己のあり方を探求し組織を内側から支援するコーチタイプ

→外面:社会への届け方に創造性を発揮するクリエータータイプ

例えば人事領域の人でコーチングを学んでいる人は多い。それはやはり組織内部のこと、人の可能性に関心を持つ気質の人が多いからだと思う。

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また一方、アウトプットや表現に興味があるクリエーター気質の人は、同じくマーケティングやPRなどの領域に関心を持ちやすい特質があると感じている。このように内向きか外向きかと言う自分の思考の癖と合わせて、学ぶ領域を絞っても良いだろう。

ラーニングストラテジーMAP(堤の場合)

では最後に、私自身のラーニングストラテーMAPについてもまとめてみたい。ひとつの例として、私自身のキャリアをラーニングストラテジーMAP上で分析していきたい。

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まず電通に入って最初に入った部署は、プロモーションだった。こちらは広くマーケティングの領域における4Pのひとつである。まずはこの分野を新人時代に徹底的に学んだ。販促ツールやPOPやおまけの携帯ストラップなど泥くさい仕事でも必死に食らいつき、マーケティング領域の中でもまずはプロモーション分野の基礎を身につけることができた。

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それから運よくクリエイティブ試験を経て、念願のコピーライターへ。そこでは企画の立て方、TVCMから新聞広告、ポスター、ブランディング、クリエイティブ・ディレクションの方法論など先輩の仕事を近くで見ながら、ひたすら没案を増やしながら、なんとか必死に食らいついてきた。このクリエイティブに関する仕事が、自分の現在のキャリアストーリーにおいても一番長く肝になった分野だと思う。

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そしてその後、妻子がマレーシアに異動になったことで、私自身も休職してマレーシアMBAにチャレンジした。このMBA(経営学修士)の学びにおいては、人事、業務プロセス、市場、ファイナンスまで薄く広く学んだ。特に経営戦略の肝である「ミッション・ビジョン・バリューの視点」と戦略フレームワークについては興味を持ってくれた。そしてスタートアップのフェズに転職してからは、クリエイティブ・ディレクターの仕事と共に、社内のリブランディングプロジェクトや広報領域に挑んでいる。

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またこの春からZaPASSコーチング講座で、コーチとしてのトレーニングを並行して積んでいる。こうしたコーチングやファシリテーションの能力は、ソーシャルアクションTMJP2020や、コーチとしての活動に動きにつながった。

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そして現在フェズでは今、全社員プログラミング教育などが始まっており、私自身もまたあらためて、テクノロジー思考について勉強していきたいと思っている。

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こうしてみると私の場合、数字に換算するファイナンス領域や業務プロセス改善的でPDCAを回し続けるといった縦軸の動きはやはり少し苦手意識を感じていることがわかる。その一方で横軸の領域である、コーチングで企業や個人のミッション・ビジョン・バリューを傾聴を通じて深堀し、クリエイティブで表現を磨き込み、マーケティングで外部にアウトプットすることに興味があることが見えてくる。これは一つの自分の個性となるだろう。

一方で私の場合は、様々な分野に興味を持ってしまいやすいタイプなので、キャリアストラテジーマップ上、あまり広げすぎてしまわないように注意したいとも思った。こうしてある意味このストラテジーMAPを塗り絵のように活用することで、自分だけの武器とキャリアが見えてくるだろう。

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また最後にちょっとした宣伝だが、私が働くFEZでは先ほど紹介した「全社員プログラミング研修」などの戦略的学習に繋がるような研修をはじめ、Google, P&G、リクルートなどの優秀な方に様々な実践的なスキルを学ぶことができる。学生インターンから社会人転職まで様々な職種を募集しているため、興味あればどうぞ。

また私自身のTwitterでは今後も継続的に「ラーニングストラテジーMAP」の使い方や質問、色んな応用例についても答えていこうと思う。ぜひ皆様も自分にあった「ラーニングストラテジーMAP」を完成させてみてください。

実は今だけ、下記のつぶやきをフォロー&リツイートいただいた方に、このラーニングストラテジーMAPのフォーマット(Googleスライド版)をプレゼントします。期間限定で終了する予定なので、実際にフォーマットに自分で記入してみたい方はどうぞ。

就活やキャリアに迷っている方、自分のキャリアを棚卸ししたい方へのキャリア相談やコーチング(*現在期間限定で初回無料)なども可能ですので、まずは下記よりお気軽にDMくださいませ。

それでは、またー!

サポートいただけたら、海外リモートワークにおける取材費などに活用させていただきます。そして、皆様にさらに有益で楽しい学びをシェアさせていただければと思います。