赤ちゃんが日記 23
目が覚めたら車の中で。
どうやら2時間くらい僕は寝ていたみたいで。そして窓の外に見える景色が、家から見える景色と全然違っていたんだよ。近所のスーパーに向かう景色とも違って・・・緑色がすごくたくさん。はて?
もっと違うのは、車の前の席に座っている母がとってもはしゃいでる。父と元気にしゃべってる。いつもとなんだか様子が違うぞ。はて?
なるほど、これが「旅行」ってやつだ。行き先は「とても涼しい山の方」なんだって。これは僕もうれしいな。そろそろ「エアコン」ってやつにも疲れてきたからね。
窓から見えるのは、たくさんの木。そこには緑の葉。すごいなぁ、これが林?森?ってやつなんだね。あ、川もある。水が流れているよ。ずっと流れている。水道みたいに蛇口もなくて、ずっと流れている。すごいなぁ。
父が教えてくれたよ。遠くに見えるのは「山」って言うんだって。大きいよ。父よりも、家の屋根よりも、駅前のタワーよりも大きいよ。すごいね。初めて見るモノって、ビックリの連続だから声もでない。
「わかる?わかる?」って聞かれても・・・ごめん。きょろきょろするだけで、返事の奇声もあげられないや。でもね、確かに僕は驚いている。世界は広いんだなーって。
一番驚いたのは「こんなに楽しそうな母がいるんだ」って。僕を産んだときと、僕と遊ぶときと、僕がたくさん離乳食を食べたときと、ちょっと違う顔。
母よ、たまにはいいね、旅行。
また連れて行ってよ。また一緒に行こうよ。
僕は今回、思い出でお腹いっぱいにするよ!
つづく
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