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つらくても頑張ったフランケンシュタイン

前回は、術後ICUに入った時の様子を書きました。
今回はICUから一般病棟に戻ってからの私の人生の中で一番壮絶だった術後1週間の様子を書きます。

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特に術後3日目くらいまでは、ただ寝ているだけで、車椅子の移動が必要でした。

手術前に腫瘍を光らせるために飲んだ薬が48時間効力があり、明るいところに反応してしまう特性があるため、一般病棟に戻っても電気をつけずに過ごしました。寝ているだけだったので、特に何の影響もありませんでしたが・・・

主に下記の症状と闘っていました。

・吐き気
ステロイドの点滴をすることで副反応として体が反応。基本的に術後はデフォルトで気持ちが悪く、さらに悪化したため日に3回〜4回は吐き気どめを服用。

・右手指のしびれ、感覚がない
左前頭葉の手術だったため、影響が右側にでた。パジャマをひとりで着替えようと頑張っていたときに、突然右手の薬指と小指に感覚がなくなった。

・言葉が出ない
朝の回診で、「体調はどうですか?」と医師から尋ねられた。
「少しだけ食欲が戻ってきましたが、朝の吐き気はひどいです」
と伝えたかったが、言葉がでてこない。頭の中で言いたいことをはっきりとわかるのに、喉に何かがつまっているような変な感覚で、喉を触って力を入れても話せない。

パニックになった。怖かった。

すると、医師が、「私の指すものの名前を言ってください」と指示をくれた。
メガネを指して、「これはなんですか?」、ペンを指して「これは何ですか?」

1〜2分たつと、「メガネ」と言葉を発することができた。

脳の痙攣が起き、それの影響で手指の感覚がなくなり、言葉も出なくなっていたようです。術後は特に痙攣がでやすいため、驚かなくても良いですよ。

そんなこと言われても、こんな体験が初めてだったので、本当に怖くなってしまった。

このまま話せなくなるの?

手指の感覚がこのまま戻らなくなったらどうしよう?

パニックは続いた。その後は毎日病室の中のものを指して、ひとりで小さな声で、「本」「マスク」「タンブラー」「薬」など名前を言って症状を確認した。

看護師さんがきて、「怖かったね」と共感してくれたのには救われた。こう言う時コロナ禍で面会ができないため、まわりに家族がいないのが、すごく辛かった。

・食欲不振
術後数日は全く食べることができなかった。徐々にジョアなどの乳飲料、フルーツから食べられるようになる。パンやご飯を食べられるようになってからは、おかずを一口二口食べられた。

・頭の痛み
2種類の痛みがあった。

1.頭の中
脳がぴくぴく動くのを感じる。内側からゲンコツで外側に押されている感覚。こめかみではなく、左右前頭葉のどちらかが痛む。

2.頭皮
手術で切った傷口。ズキズキとした痛みは四六時中続く。痛み止めを服用しないと我慢ができない。頭の中に刺さっていたドレインチューブを抜く時&抜糸の時は、スカーフで口を押さえて悲鳴を抑えるくらい痛かった!!最終的にはフランケンシュタインのように50を超えるホチキスがとめられた姿になった・・・。
そんな状態でも、術後5日目くらいには自分でシャンプーできるようになり、おどろくことに、まったく水にはしみなかった!

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・貧血
手術で輸血が必要なくらい出血したため、ヘモグロビンが著しく減少。唇は真っ白で、顔色も悪い。


数日すると、言語聴覚士の方が様子を見にきてくれました。私の言葉の能力に問題がないかテストをし、術前と大きく変わりがないことを確かめてくれました。

今までで、こんなに長い覚醒下手術は初めてでした。若いからできたんですね〜本当にすごいです!

手術中3時間起きて課題をこなしていたいたことを、他の医療従事者の方にもたくさん褒めていただきました。(意識はもうろうとしていたので、実感はないですが・・・)

このような症状と闘いながら、長い長い1週間が終わりました。そして、待ちに待った家族との電話、そして退院が決まります。



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