ありのままで存在してもいい場所 とは
こんにちは 笑顔を愛するフリーランスナースのなつままです。
重度の障害を持った24歳の娘【なっちゃん】と夫と3人で暮らしています。
11月に入って初めてのnoteになります。
こんなに長い間何も書かなかったのは初めて…です(;^_^A
10月後半から11月にかけて、本当に本当に目まぐるしく様々な出来事があって、その現実を生き抜くので精一杯でした。
その時々の感情をひとつひとつ残したいと思いつつ、なかなか文字にする気力も持てないまま今日を迎えました。
その間にあったことは、これから少しずつ書いていこうと思いますが、まずは直近、11月22日にあった【娘のショートステイ施設見学】での出来事を記録しておこうと思います。
1.新しいショートステイ先を探すことになった理由
娘は幼いころから我々に何かあったときのためにショートステイ先で他者様のお世話になり、そこでちゃんと食べたり生活したり眠ることができたりするように、年に数回のお泊りを経験しています。
できるだけ同じ施設で、慣れた方に見ていただけるように、これまでは決まった施設を予約して利用してきました。
ところが、昨今の福祉利用率UPの影響もあり、その施設にたった一つしかない重度者用のベッドがほぼ利用できない事態が続いています。要するに、年末大掃除などの時は予約日予約開始時刻ジャストにお電話をかけて負けるのです…(泣)
その施設、おそらくショートステイ用のベッドはもう少しあるのですが、重度加算を取って受け入れることのできるベッドはたった一つなのです。
もう二年続けて負けており、12/29から休みとなる役人の夫と主に行う年末らしい大掃除ができていない我が家です。
ちょっと横道にそれますが、実はここ10年ほどで私は両親含む血縁者を三人亡くしており、それらの家財道具一切がまだ少し残っていたり、思い入れがあって捨てられなかったりしています。
そしてここ数年、私と同じくらいかもっと若い知人が大きな病気になって治療をしたり、中には亡くなった方もいて、私の年齢(50代)でも終活は全然遅すぎないな、むしろ元気なうちに始めないといけないな…と思うようになりました。
そのため腰を据えて納戸や倉庫・父や母の遺品や思い入れのあるものの遺し方などを考え、まずは整理を始めました。
そして、少しずつ物を減らしていったのです。
ただ、夫婦二人で物を動かし大掃除となるとまとまった時間も必要で、ましてや娘が一緒にいると危ないしかなり手を取られます。
年末だけはショートステイに行っててくれないかな…と、今年も3か月前の9時に電話チャレンジしましたがあえなく撃沈💦
そこで、相談支援専門員さんにどこかお願いできるところはないでしょうかと相談し紹介していただいたのが、今回のショートステイです。
全国に支援区分3〜6の重度障害者が暮らす【障害者グループホーム】をいくつか作っているとある大手企業のグループホームがひとつ隣市にできており(といっても、西隣市の西端なので車で小一時間掛かります)そこにショートステイのベッドがあるとのことで、10月に一度、私と夫で見学に行かせていただきました。
その際我々夫婦に説明し、施設をご案内くださったのは、他の同系列のグループホームでの経験が豊かでかつ物腰柔らかで表情もあたたかなサービス管理責任者(サビ管)の男性でした。(施設長はたまたま入居者さんのコロナ対応で私たちに会っていただけませんでした)
サビ管さんには、ここは重度者(障害支援区分6まで)が暮らせるようにと作っているグループホームだということで、さまざま配慮されていること、職員配置など丁寧にご説明いただきました。
その説明で夫と二人、とても希望が持て、ここならば娘の新たな支援の場になるかもしれない、いい出会いになるかもしれないと大いに期待し、今度は娘を連れてきますね、ということで11/22に娘と母親である私が二人で見学にお邪魔しました。
2.ショートステイの施設管理者との出会い
この日、夫は静岡への出張があり、どうしても予定が合わず、いつもなるべく私だけで娘を連れて外出はしないようにしているのですが、致し方なく娘と二人で出向きました。
訪問するとすぐに大柄な男性管理者が出迎えてくださり、まずは名刺をくださいました。
娘がスリッパに履き替える様子を舐めるように見ていたかと思うと、ホームエレベーターで二階に上がることを促し、自分たちは階段で上がりますのでともなんともお声掛けいただけぬまま私と娘は小さなエレベーターの箱の中に入れられました。
二階に上がると『まずお部屋を見ますか?』と促され、当然なんですがどなたも入っていないお部屋、ベッドや引き出しすらないがら~んとした空床の部屋を案内されました。
その際も娘にはほぼ声掛けもないまま。特に説明もなく。
私が娘に『広くて明るいお部屋やねぇ』と声をかけ、手を引いて娘の緊張を和らげます。
娘の表情は硬いまま。
そりゃそうです。
それでなくても初めての場所。
緊張しているのに、この男性は母にだけ喋って自分に話しかけてもくれないのですから。
落ち着かない娘は、別の方が休んでおられるテーブルに近づいたり、お部屋に入って行こうとしたり。
手が出そうになったので『優しくね!なっちゃん!』と私はすかさず声をかけ、なんとか叩いてしまったりつかんでしまったりという事態は阻止しました。
が、それは本当にたまたまの事。
彼女はテンションが上がると人を叩いたり抱きしめたり抓ったり、髪を引っ張ったりしてしまいます。
それが障がい特性であり、強度行動障害であり、これらは娘のせいなどではなく人格などでも決してなく、支援者がウォームハートとクールヘッド、知識と技術でもって先回りしつつ支援していただくことでうまく環境になじんでいくといった意味合いのことです。
娘のしてしまう行動には解剖生理学的・精神神経学的な原因も大いにありますし、そもそも複雑な障害・疾患を併せ持つ珍しい症候群なのです。
我々だって24年も一緒に暮らしていても対応については試行錯誤の日々なのです。
だから障害支援区分6(最重度)なんです。
(区分6ということはそれだけ手厚く関わるために人員を配置しなければならないですし、だからこそ報酬も多いはずなのです)
つまり、こういう強度行動障害をなくせ、と言われることは、娘にとっては【女の子に生まれた子に男の子になれ】【黒人に生まれた子に白人になれ】というくらいかなり無理難題なことです。
娘の様子を見ていた施設管理者。
私たちを奥のテーブルに促し、話を始めようとなさいます。
相変わらず娘は居ないかのように扱われ、母の私にショート希望の日程を質問。
私が『年末にお世話になりたくて』というと、『日程的にはまだ空いていてお受けできるとは思いますが・・・』と。
そして、思いますが・・・の後にこう続きました。
3.『他害行為があるようだと連れて帰っていただくこともありうるということをご承知おきくださいね』
『夜勤などは二人で全利用者を見ています。
全く目を離さないというのは無理だと思いますし、その間に事故があったらうんぬんかんぬん…。』
いや、それさ。
初対面でまず言う?
しかも、知的障害者の支援区分6まで受け入れていますっていう施設の管理者が、まずそれ言う?
何なら今日の娘は本当にまだまだずいぶんお利口ですけど!?
私と一緒に歩いて、座って、人にも優しく触れて…とってもお利口です。
どんなおとなしい利用者なら入れるの?ここ。
この管理者さん。
前回、感染された入居者さんとの濃厚接触者だったとかでコロナPCR検査後(陰性がわかって)ほんの一瞬会ってあいさつを交わしただけの施設長。
だからか、我々夫婦に会ったことも覚えていらっしゃらないご様子でした。
前回、素敵な物腰で我々夫婦に接してくださったサビ管さんとの出会いが粉々に砕け散るほどの衝撃。
ああ、この人、娘を連れてきたのが身長150センチほどの小柄な母親1人だから高圧的にこう来たか!?と思うくらい我々を舐めている横柄な態度に見えました。
と、母として精いっぱい娘を守ろうと、言いにくいことをたくさん問いかけました。
そして、
と私が言った瞬間、娘、真向かいに座している施設長さんの右手甲を流血するほど引っ搔きました。(爪はいつも深爪状態なのになぜにあんたは人を掻きむしることができるの!?)
4.終わったかもな…
なんだか万事休すな感じ・・・💧
もちろん必死で謝罪しました。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・
娘も叱りました。
ちゃんと謝ろうって言いました。
でもね、でもね。
この人に対し娘が行ったこの行為は、自分に話しかけもしないで自分を受け入れるよりもまず排除する可能性に言及する失礼な人に対しての彼女の言葉だったと思うんですよ。
めっちゃ嫌やったよね…なっちゃん。
お母さんもめっちゃ嫌やったわ。
そして、このあたりでようやく、私が看護師であり福祉の専門職であることを話しました。
そしてここは区分3〜6までを対象者とした重度者のためのグループホームかつショートステイであると謳っていることを再確認。
(ソフト面・ハード面で重度者のケアが難しい場合は、【うちは障害支援区分3までです】などと最初から区分を指定すればよいだけの話)
ということは、今施設長がおっしゃったことは、
・がんセンターが難しいがんだからと治療を断っているような感じ
・認知症対応型のグループホームが認知症の症状の酷さを理由に断っているようなものであり、
知的障害者施設が知的障害の重度さを理由にサービスを断わろうとしているということなのだと私は理解した、とお話しさせていただきました。
悔しいことに、そのあたりから少し施設長の態度が軟化。
娘はすべてわかっている、娘に話しかけないと私に指摘されたこと、私が専門職であると知ったことなどにぴくついたのが少しわかりました。
だから、普段はまず普通のお母さんとしてお出逢いするようにしているんですけどね。
私が福祉職であることや看護師であることを話すと、そこで大きな壁を作る人もいますし、逆にこうして態度を軟化してくる人もいるんです。
これが現実なんです。
今回なんて小さな女親だから、舐められたとさえ感じています。
私は別にプレッシャーを与えたいわけではありません。
ただ、福祉についてちゃんとした話をしなければならないなと感じたときは、専門職として私も正しい知識を持つように努めております、現実離れした話や無理難題を申し上げることは致しませんよという意味合いで自分の職種を明かします。
そして、そこからやっと、どうやって娘に慣れていただくか(いや、職員さんが娘に慣れるって話でしょうけど😓)なんて話に移行しました。
まず1泊じゃなくて、数時間娘だけが施設で過ごせる時間を作ってみるとか、ご飯だけ食べてもらうとか、ちょっと考えてみます。とおっしゃいました。
娘の相談支援専門員と話をする、と一見前向きな話をしてくださったかのように見えました。
ですが…
これは私の母の勘。
ここ、娘ちゃんには無理かもしれない…。
彼女はウェルカムじゃないことを見抜く。
愛されていないことを見抜く子です。
私だって全然ウェルカムじゃない温度をこんなに感じているのだから。
正直、うまく支援できないことや支援者が未熟な事なんてざらにあるでしょう。
不慣れなことや未熟な技術だけをどうこう言うつもりなんて私にもさらさらありません。
まずは『一緒に楽しもう!!』『ようこそ!!』とあたたかく迎え入れてくれて…そこからスタートして初めて知識や技術がものを言ってくるのであって、まず拒否られた彼女の心の傷を取ってつけた知識や技術でカバーできるとは思えません。
そんなの、障害者じゃなくっても同じでしょう?
誰だって自分がウェルカムじゃないってわかっているところに行きたいわけないですよね?
【〇〇できなければダメです】と、彼女を全人的に受け入れてはもらえない場所。
条件付きじゃないと表のドアが開かない場所。
娘が居てもいい場所じゃない気がします。
やっぱ。
今年の大掃除もなっちゃんに邪魔されながら、物の山の中に寝る場所や食べる場所を作りつつ、3人一緒のその時間を楽しむことにするかなぁ…(^^;
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