初夏の試練 【体温調節】
今年も暑くなってきました。
生物としての人間(日本人)は、毎年3月〜5月は、気温が上がり湿度が増していくことに少しずつ体が慣れて夏に対応できるようになっていく時期ですが、今年は多くの方が巣篭もりで家にいることが多かったため、気温の変化に慣れる大事な時に気温湿度を体で感じることができなかったので熱中症になる危険が例年より高いそうです。
アンジェルマン症候群の特徴に、[暑さに弱く体温調節が上手にできない]という症状があります。特に、ちゃんと汗がかけるようになるまでの初夏の間が一番高体温になりやすいです。
なっちも、2歳くらいまでは、朝起きてきたら39度超えで家族びっくり(O_O)ってことが続いていました。熱があっても比較的元気で食欲もあるのですが、機嫌はさすがにあまりよくないです。そして、これは今もですが、この時期は鼻血が出ることも多くなります。
アンジェルマン症候群とわかるまではなんの熱なのかを調べるために検査を重ねたりもしましたが、検査では特に異常は見られず、結局体温調節がうまく出来ていないんでしょうという結論に至りました。
空調を整え、たくさんの水分を取らせ、背部や腋窩、手足など体表面積の広い部分を清拭して熱を下げてから1日を始められるように工夫してきました。
今は亡き私の父(なっちの祖父)は障害児のなっちにどう接したらいいかわからない不器用な人でしたが、とっても愛情深くマメな人でした。毎朝、高体温のなっちに出来るだけ多くの水分を飲ませるためにスイカを切って絞り、ガーゼでこして哺乳瓶に入れて用意してくれるのは、いつのまにか祖父の仕事になっていました。
祖父の愛情たっぷりのスイカ水を飲み、体を拭いてもらって、保育園に出かける頃には36度台に下がる。初夏にはそんな日々が続きました。
大きくなるにつれて体温調節のしにくさは少しずつ改善し、39度なんてことはなくなりましたが、今でも初夏には熱がこもり少し体温が高くなります。
そして、今は水分もスイカ水ではなくなり、麦茶やポカリスエットになりました。ストローで自分で飲めるようになってからは哺乳瓶もストローボトルに切り替わりました。
こちら、【イノアックリビング】さんというメーカーさんから発売されていた【モテモテくん】といいます。振り回して持ち歩くなっちがこぼさないよう、長年(今も)これに入れて飲ませています。
このボトル、なっちが小学生くらいの時に発売中止になってしまったのですがイノアックリビングさんに事情を説明し問い合わせると、本体のみならずシリコンのパッキンやストローなど、在庫がある限りお分けしますよと言ってその後数年に渡って購入させてくださり、家に届けてくださいました。
去年、さすがにもうないかしら、と思って久しぶりに問い合わせてみましたら、当時担当者だった方の自宅の倉庫に保管してあったモテモテくんの在庫全てをどうぞと無償でお送りくださり、これで最後です、お役立てくださいと丁寧なお手紙を添えてくださいました。そして今、最後の在庫は我が家に大切に保管してあります。
こうしてなっちは、幼児期からたくさんの人たちのあたたかなお気持ちや愛情に支えられて毎年体温調節のしにくさを超えてきました。
そしてなっち21歳の初夏。今年もこの季節が巡ってきて朝には体温上昇と鼻血がダブルでやってきます。
時は【コロナ禍】。毎日の体温測定は欠かせません。体温がちょっと高いと用心のために通所施設に行きづらかったりもします。
不慣れな施設さんから杓子定規に『37度を超えたら来ないでくださいね』と言われてしまうとどこにもいけなくなっちゃうなっちなのですが、いつも行き慣れた生活介護の方々やヘルパーさんたちは総合的判断で細やかに見て手厚く支援してくださるので、感染症の熱といつもの高体温を見間違うというようなことはほとんど起きません。
優しさ、細やかさ、知識、技術、そして愛情を込めてなっちを見つめ支えてくださる方々、本当にいつもいつもありがとうございます。
みなさまも熱中症にはくれぐれもお気をつけてお過ごしくださいね。
笑顔が増えるための活動をしています。 いただいたサポートは、稀少疾患であるアンジェルマン症候群の啓蒙活動、赤ちゃんから高齢者まで住み慣れた地域で1人でも多くの方が笑顔になるための地域活動の資金として大切に使わせていただきます(^^)