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可愛いミーナ

前回のKくんとの続き!


金曜日の午後22時に梅田に到着。

梅田まで送ってすぐにバイバイしようと思っていたが、なんか乾杯をしようという事になり…地下街を彷徨って閉店間際の店に無事に着席。

福岡から来たばかりKくんは意外に元気だった。

二人で地ビールを注文。初めての乾杯。しかし、ガヤガヤと周りが煩くて、あまり話も入ってこない。

というより話が盛り上がらない…。

事前に電話もいっぱいしてたのに、いざ会ってみるとこんなにも違うのか…。なんだかなーと思いながら2杯のビールを飲んで、40分程で店を出た。


Kくんは23時から誰かと待ち合わせをしているらしく、東梅田の駅で別れた。

反応の悪さから、もしかしたら月曜日はキャンセルになるかもしれない…そんな思いで、Kくんと別れたのだった。

せめて、ダラダラしないようにと俺は彼からすぐ離れた。

月曜日どうする?
月曜日楽しみだね!
月曜日は何時にする?

なんて聞いても、Kくんの中では月曜日はキャンセルなんだよ!って思われてたら嫌だったから、じゃあまた!って感じでKくんを残して去っていったのだ。


しかし…別れた後もKくんからはLINEがあった。しかも、月曜日に会う事もキャンセルになっていなかった…なんとも不思議な…不思議な反応だ。いまいち掴みどころがなく、彼の事がよく分からない。



【月曜日】

俺は予め職場に午後休の申請を出していた。ただ、月曜日という事もあり、内視鏡検査が午前だけで14件も入っていた。

Kくんとの待ち合わせは13時。

これは絶望的…と思ったら、あの女好きの先輩が交代してくれた。

普段は仕事が大嫌いな先輩だが、とにかく女の事になると世話を焼きたいみたいだ。というより、女の話と恋愛話が大好きなのだ。デートの内容を後で詳しく報告しろよ!と退勤間際に釘を刺された。

先輩…ごめん、女じゃなくて男だけど…ちゃんと報告しますからね!




予想以上に早く退勤できた事により、当初の予定より15分早い12時45分には梅田に到着する事ができた。

Kくんとは梅田のおしゃれなガレット屋さんか、牡蛎の店でランチを食べようと計画していた。

しかし…Kくんは既に梅田のエビスバーでビールを飲んでいるとの事…。

なんか、飲まないとやってられないことでもあるのか❔

とにかく、もう飲んでるという事は計算外だ…仕方ない、昼呑みにシフトして、さっさと家に連れて行ってシャンパンでも飲むしかない!

という事で、ランチはすっ飛ばす事に。

牡蛎のランチでノロウイルスに関して、ガレットのランチだったらルノワールに関しての知識を披露したかったのに…


早速、堂山食堂という居酒屋に行き、マツコもおすすめのハムカツとマーボー豆腐で乾杯!

酒が入ってくると話も進むじゃないか!しかも、店でかかってるBGMが33歳には刺さりまくって、この曲あれだよね、この曲は?という話題で会話も弾む。

最初に感じたあの盛り上がりのなさはなんだったのか?

普段からそこそこ酒を飲む俺は同年代の友達が欲しかったのかもしれない。

今時の研修医に、この曲は浜崎あゆみだ!!と言っても、あーお母さんが聞いてましたと言われる始末。。。しかし、同年代ともなればやはり話が通じる。やっぱり付き合う人とは共通の話題が欲しい。何を言っても、何それ❔では話にならないから。


そんな飲み会も1時間程度で切り上げて…家に…

まだ行かない。

そっからおすすめの激安立ち飲みへ移動。駅前ビルの地下ということもあり、行き交うサラリーマンを見ながら飲む酒は格別だから、俺はここの立ち飲みが大好きだ。

そこにKくんを案内したかった。

第四ビルに到着。単価も激安のため、瓶ビールにレモンサワーにチューハイに…飲んで食べて。行き交うサラリーマンの品評をして…

さらに、違うビルの地下にある人気の寿司屋へ移動。レモンサワーとお造りを注文して一杯。さらに16時開店の別の立ち飲みへ。

1時間程度飲んで、気づいたらもうフラフラ…。

腕を組んで梅田の地下を歩き、なんとか家に帰宅。


この頃にはシャンパンを飲むなんてもう不可能なまでの泥酔具合…。

Kくんは家に着くとベランダに飛び出し、クローゼットを開けて、さらに置いてたエロDVDを発掘してやりたい放題。


でも、それより何より俺の気分が…

気分が悪い…

分かる…医師として言える。

これは…吐く。

家に着いてしばらくしたあたりから唾液の分泌が異常に多い…そう人間は吐く前の準備として食道を守るために、唾液を多量に分泌するのだ…


しかし…初対面のKくんに吐くからちょっと待っててなんて死んでも言えない。

仕方なくKくんに抱きつき床に押し倒す。さぁ、寝なさい。

Kくんに枕を当てがい、エアコンを入れて部屋の空気を暖かくして、抱きしめるようにホールドして寝かしつける。

そして、いい感じに眠たそうにしてる雰囲気だったので、ちょっとトイレ行ってくるね…と言って離脱。

しばらくして、キッチンから様子を伺うと…

寝てる…かなりぐっすり寝てる。寝息を立ててがっつり寝てる!!

よしよし、これで全ての準備は整った。後は静かに…音も立てないように…サイレントリバースするだけ。消化器内科医をなめるな!!!!!

〜15分後〜

いやー、吐くってこんなに凄いんですね。体力一気に使いました。トイレから出た時にはげっそり…。

しかも、悲しい性なのか…吐瀉物を5分ほど観察してしまった。食べてからの時間と吐いた時間を思わずメモに残してしまうほどに興味深かった。

いやいや…そんなことをしてる場合じゃなかった…Kくんの所に戻らなければ…。フラフラしながら部屋に戻るとKくんはぐっすり寝ていた。

もうダメだ…こっちももうダメだ…

とりあえず、少しだけ寝よう。

Kくんの新幹線の時間は19時50分発。家から新大阪までは歩いて10分。少し寝るだけなら大丈夫だろう…体力の回復を計らなければ。



なんか床が痛い…

そう思い目が覚めると…19時15分。

意識が途切れる…


ん❔

気づいたら19時25分。Kくんはまだ横で寝ている。まずい、マズすぎる…とにかくKくんに起きてもらう。

早く出ないとKくんが新幹線乗り遅れちゃう…

急いでください!!とKくんを急かして、急いで上着を着て家を出る。どさくさに紛れて一応ほっぺにキスするけど…もう何がなんだか分からない。

もう一回、せめて唇に!!

玄関で別れのキスをしようと思い出がけを狙うが、Kくんは靴を履くと早々に玄関を出てしまった。早業すぎる。

新大阪まで少し早足で歩き、新幹線発車の10分ほど前に到着。ホームに着いた時に新幹線も入線。えっ、こんなに展開早いの❔何を言っていいか分からない…また会いたいと一応言ってみる。その後はひたすらライブ終了間際のカナやんのようにありがとうを繰り返した。


まさにこの状態で、新幹線のKくんにありがとうを繰り返した。

今日はありがとう!!

またね!!ありがとう!!

本当にありがとう!!

とにかく、ありがとうを繰り返した。他に言うべきこともあっただろうけど…そして、それを言っているうちに涙も少し出てきた。

自分のふがいなさに少し悲しい気持ちになって涙してしまった。情緒不安定すぎるくらいに、笑顔と涙でありがとうを繰り返し、そして…新幹線は行ってしまった。

一人ホームに残された俺は号泣してしまった。

何かぽっかり心に穴が空いてしまったように、なんかすごい寂しい気持ちになったのだ。

ホームにいた駅員さんもドン引きなくらい号泣してしまった。

さっきは二人で歩いて来た道を一人で帰っていく…すごく虚しくなる時間だ。

桑田さんが言ってた、ロマンティックが終わる時…独りぼっちの夜が来る。とはこういうことだったのか…。


俺は家に帰ってから即寝してしまった。さっきまでココにKくんがいたのに、もういない…本当に別れた後ってこんなに寂しい気持ちになるんだと久しぶりに実感した。

気づいたら22時。KくんからのLINEで目が覚めた。少し電話をして少し元気になったが、次の日も早いし、風呂も入らずに寝てしまった。

たった一日しか一緒に過ごせてないけど、こんなに寂しい気持ちになるんだ…。

そんなことを思いながら枕が濡れそうになった。

そして…俺は気づいた。

なんか唾液の分泌が異常に多い…

その後、深夜に2回吐いた。もちろん吐瀉物と時間と状況をメモして眠りについた。


後日、先輩にKくんのことを話した。酒豪の博多女と一緒に飲んで酔い潰れたことを話したら、その博多女に一服盛られたんじゃないか!?と推理していた。そして『その女は博多の峰不二子や!!』と勝手にKくんにニックネームを付けた。


でも、そんな博多の峰不二子にまた会いたい。





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