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草津温泉と多読

今年の夏は特に旅行の予定はないのですが、近場でのんびりできる所があれば行ってみたいと思います。たとえば、草津温泉観光協会のウェブサイトには、温泉の効用について記載があります。それを以下に引用すると

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節の強張り、打ち身、挫き、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、動脈硬化症、切り傷、火傷、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病・高血圧症

こんなに並べなくても良いのではないかと思いますが(苦笑)。ところで、数ヵ月ほど草津温泉に通って入浴すると、糖尿病の検査値(空腹時血糖やヘモグロビンA1C)が統計学的有意に改善するという医学データがあるのでしょうか?

あるわけ無いですよね(笑)。まぁ、温泉というのは入浴して「サッパリした」と感じたら、それで良いでしょう。風呂上りにクーラーが効いた広間でのんびりして「生きてて良かった」などと言って笑顔になれば、それで良いのです。

「3ヵ月も温泉療法を続けたのに俺の高血圧と糖尿病が全然良くならない。入浴料を返してくれ!」などとクレームをつける人もいないと思います。健康に問題があれば、かかりつけ医を受診して適切な治療を受けましょう。

話は変わりますが、多読は読んで字の如し、多量の英文を読む行為ですから、その効果はリーディング技能の向上ですよね。それなのに、多読がスピーキングにも効果ありと主張する人がいます。温泉の効用みたいだな~。

そこで、人工知能Perplexity AIに「Is there any direct evidence that extensive reading helps EFL learners increase TOEFL speaking scores?」と尋ねてみました。すると、「Based on the search results provided, there is no direct evidence specifically showing that extensive reading helps EFL learners increase TOEFL speaking scores.」という答えが返ってきました。TOEFLをIELTSに変えて質問しても、同様の結果でした。そりゃそうでしょう。

どういうわけか、多読の愛好者やインストラクターは大風呂敷を広げる傾向があります。スピーキング技能を向上させたかったら、英語のハノンや英文暗唱やオンライン英会話に取り組めば良いでしょう。何でもかんでも多読で間に合わせようとしなくても


多読はリーディングに確実な効果があれば、それで十分です。それ以上のことまで望みません。最後に「多読の効果を高めるには―読書傾向の考察から」という論文PDFを紹介します。大学1年生199名を対象に多読授業を実施しました。その評価として、4月と1月にIP-TOEICを受験しました。その結果、TOEIC平均点は318から323に変化しました。199人の調査ですから、信頼性は非常に高いです。ここでコケているようじゃ、全然ダメじゃん。スピーキングに効果?

ちなみに、英単語暗記はスピーキングに効果があるかもしれません。単語を1000個しか知らなかった人がAnkiやmikanを使って2000語暗記すれば、以前は話せなかったトピックを話せるようになる可能性があります。でも、mikanやAnkiはスピーキングに効果ありとわざわざ主張しなくても良いと思うのです。あくまで間接的な効果ですから。

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