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スモビジメンター試論

去年から「これからの街の社交場を作る」をミッションに掲げ、スナック・バーに特化した事業承継を行う株式会社水中はじめ、2つの会社でメンターをしている。メンタリングという営みの精度を上げるための断片的な記録。

1、問題意識

ⅰ. 自分がメンターをするようになったので、実践していることを形式化してメンタリングのクオリティ向上を図りたい。

ⅱ. メンターの存在は大事だと思うが、自分自身にメンターがいない。一方で、なんちゃってメンター、アドバイザーも多いように感じる。メンタリングのクオリティが上がってスモビジのエコシステムが少しでも活性化したら嬉しい。

2、プリンシパル(原理)

ⅰ. all for business
メンタリングは分類するなら経営企画の1ファンクションで、ミッションはメンタリングを通して事業成長に貢献すること。なので、事業成長に貢献するならアプローチはなんでもよく、ストリートファイト、総合格闘技的であるべき。「コンサル」「コーチング」「〇〇思考で」みたいな手段切りは意味がない。事業家の満足度にフォーカスしがちで、強くレトリック的な「向き合う」「寄り添う」「壁打ち」「伴走する」なども不十分。

ⅱ. 1session,2way
対事業家と対事業の違いを意識してコミュニケーション
する。事業家とコミュニケーションする時、何に対してアプローチするか、あえて2つに切り分けると精度が上がる。

事業家:自分自身の経験、成功体験や失敗経験、哲学、考え方などを、細かい事例や具体的なエピソードを通して伝える。まなぶよりまねろの精神。事業家の思考様式の拡張をサポートする。身体性重視。

事業:事業課題を解決するために直接的に課題のヒアリング、構造化、解決のためのアイデアを提示する。外科・西洋医学的。

ⅲ. reduce information
情報を減らす。事業家は日々の仕事や直近起こった事件、その時のメンタルに引っ張れるもの。そのような定常的なカオスの中で、いかに情報を減らしてシンプルにできるか。五月雨的に出てくる課題に対し、一問一答的だとバリューが低い。情報の減少量がセッションのKPI。関係しそうな情報や思いつきの打ち手を壁打ちと称してなんでもかんでも共有するのは悪手。提供した情報量ではなく、事業へのインパクトがKPIであるべき。

ⅳ. anti essentialism
アンチそもそも論。情報を減らすに関連するが、短時間でゼロベースでの思考やそもそも論を話しても、1-2時間で今までの蓄積より優れた経営方針を導出できる期待値は高くないと思っている。メンターは経営コンサルタントではないので、経営状況を網羅的にリサーチできる時間がないし、事業家に多くの資料をだせるのもタイパが悪い。事業家がその時に感じている主要な経営課題の相関や因果を、あえてその範囲で即興的に構造化して整理するのが大事。ロジックや机上の空論だけでやるとおそらく使い物にならないレベルに精度が落ちるので、自分の経営経験にどれだけ厚みがあるかが大事。

ⅴ. continuity consious
連続性の中で考える。不定期ではなく月1程度で定期的にセッションすることで、メンター側も事業がどの段階なのか、事業家の課題の質や量、テーマがどのように変化していくかを把握できて、より長期の視点からアドバイスができるようになる。山に対して何合目かを伝えることができるようになるイメージ。未来予測とそれに対応するアイデア共有的なこともできるようになる。事業の幹を感じるイメージ

3、アプローチ(解法)

ⅰ. consulting 
課題のヒアリングとその周辺情の最新情報(財務状況や組織のコンディション、1-2年先の経営目標など)を入手した上で、事業家が直近で問題だと感じている事象の構造化と解決策の方法を提案する。戦略と戦術の中間程度のイメージ。連続性の中で考える、の通り、同じ課題が変奏されて継時的に出現するケースがあり、そうするとそのあたりにイシューがありそうだと帰納的に判断できる。前から課題を認識できているが実行ができてない、というケースもあるので、そういう時はあえて事業家に寄り添わず「そういう事あるよね、大変だよね」みたいな)、「いいからやれよ」って体育会的なアドバイスをする事もある。

ⅱ. coaching
事業家の言語化を手伝う。語られる事業課題に対して「なぜそう思う?」「どこが特に問題?」「10段階でリスクは何段階?」「それって比喩でいいったこういうこと?」などなど、言語化を促して、現状と目標の差分の解像度を上げていく。課題の明確化と、事業家内部の思考を活性化させることによる腹落ち感が大事になる。どれだけスッキリさせられたかがKPI。それが事業課題と格闘する精神力を生む。

ⅲ. workshop/visualisation
やるべきこと、やりたいこと、できることなどが混在している場合、付箋を使った簡単なワークショップを行う。考えていることを全て視覚的に並べ、グルーピングし、構造化し、優先順位をつける。コンサルティングとコーチングをミックスさせたようなアウトプットのイメージ。事業家にも手を動かしてもらう、一緒に作る感が出ることで、話していて大整理が必要だな、という時に有効。A4一枚になる位しっかり単純化した図は事業家に刺さるケースが多く、メンタリング後の実行するパワーを生む。

ⅳ. summoning(召喚)
自分の社会関係資本を活かして、事業課題の解決策をコンサルできそうな人、インスピレーションを与えられそうな人をつなぐ。テーマは多店舗展開、人事採用、ベンチマークにしている人・企業の中の人など様々。単純に課題解決のヒントなりそうな情報をもっていそうかではなく、トンマナやヴァイブスが合いそうかも含めてつなげるか判断する。すぐに気持ち良く時間をいただけるよう、様々な方に対して信頼資産を積み上げておくのも大事。

発展途上なのでここから変わっていくけど、GOZENが行う新興企業のM&Aについては、特にセルサイドへの提案とメンタリングは相性がいいと思っているので、これからも解像度を上げていく。

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