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令和胸毛合戦フサフサ〜胸毛抜く?抜かない?〜


本作は胸毛男児の一晩の苦悩を描いた、一大スペクタクルコラムである。もしくはブラジリアンワックス使用レポ


初夏の胸毛と南米脱毛剤

私は甚だ毛が濃い。

腕や足はもちろん胸、腹、しり、指先に至るまで密林が如くムダ毛がひしめいている。1平方cmあたりのムダ毛密度は、インドのそれを優に超え、小池都知事が私の体を見かけたら、「密です!!」と声を荒げること受けあいだ。

そんな私だが、今宵は人生で初めての脱毛に挑んでいこうと思う。先日アマゾンで購入したブラジリアンワックス(1980円)が到着した。本日のターゲットは胸毛。俺の胸を頼んでもないのに守ろうとしてくれている、お節介焼きのあいつらだ。

レンジでワックスを温める。だいたい人肌に温まったら、木ベラを使用し胸部に塗りたくる。ヌッラヌラおじさん、爆誕。ちなみにワックスの主原料は蜂蜜のため、このヌッラヌラおじさんからはとても美味しそうな香りがする。

専用のシートを貼り付け、後は一思いに剥がすだけ。さらばだ胸毛。二度と生えるな。来世は髪の毛だといいね。シートをえいっと剥がそうとした瞬間、ある先輩の言葉が脳裏をよぎる!!!


「私は、胸毛濃い人好きだけどな」


そうだ。思い出した。大学のサークルにそういってくれる心優しい先輩がいたことを・・・。

絶賛彼女募集中(できればメガネボブ)の私にとって、胸毛を抜くという行為は著しく雄の魅力を削ぐことに他ならないのではないか?

いや、そんなわけあるか。胸毛はない方がモテるだろ。テレビで言ってた。待て、テレビほど信用がおけないメディアがこの世にあるだろうか、いやない。(反語)。じゃあ、俺が抱えていたコンプレックスは、メディアが作り出した幻想?

やばい。分からなくなってきた。

胸毛は抜くべきか抜かざるべきか。こんな曖昧な気持ちで息の根を止められてしまえば、胸毛も浮かばれないであろう。よし、今宵は胸毛のことを徹底的に考察し、検証しよう。長い人生、一晩ぐらい胸毛について思考する日があってもいいのだ。

題して

「徹底討論!朝まで胸毛レビ!!~抜くべきか抜かざるべきか~」


胸毛とニッチ戦略

決意が固まったところで、本題である。                最初に、一般的に女性は胸毛好むのか、好まないのか、考えていこう。  まずはアンケート

Q.あなたは、男性の胸毛って好き?
好き……7.1%  嫌い……92.9%
マイナビウーマン調べ 有効回答数210件(22~34歳の働く女性)​

このアンケートの信頼性について言及すると話が遅々として進まないため、今回は放っておくが、マイナビが脱毛サロンと大々的なコラボ記事を載せていたことは先に述べておく。

大方の予想通り、胸毛が嫌いな人が大部分を占めている。        一般的には脱毛した方がモテやすいということが言えるであろう。

しかし、忘れてはならない。今回の議題は「私が」脱毛した方がモテるのかどうかである。ここまで読み進めてくれた賢明な読者諸君にはもはや自明であろうが、私という人間は、知性に溢れ、理性的な人間である。異論は認めない。そんな私にとっての「モテモテ」とは1人の魅力的な女性と生涯を添い遂げることである。

純愛、これこそ人間に許された唯一の美徳だ

妻を取っ替え引っ替えするような、太宰とは違うのだ。将来的にはネジネジストールをつけながら、「シノ」と連呼するのが夢である。

つまり私のモテモテとは「多くの人に愛されること」ではなく、「一個人に深く愛されること」と捉えることができる。

そのように考えると、ある一つの選択肢が候補に上がる         マイケル・ポーターが提唱した「ニッチ戦略」だ。

簡単に言えば、多くの人に薄く愛してもらうよりも、少ない人に深く愛してもらうことを念頭に置いた経済戦略のことである。まさに、唯一無二の生涯伴侶を求める私にうってつけの戦略であろう。時代はセブンイレブンよりセイコーマート。マジョリティよりマイノリティ。

もし、胸毛付きの私を将来の花嫁が愛してくれた場合、浮気率はぐっと減る。世には胸毛が生えていない男性の方が多いのだから。素晴らしきかな「ニッチ戦略」

この経済戦略を胸毛市場に置き換え、論を進めていく

まず、必要なデータを揃えていこう

男性の胸毛率 
「胸毛が生えている」と答えた人は、21.1% 
ニュースサイトしらベェ全国20~60代男性669名「胸毛について」の調査を実施
脱毛をしている人数(胸毛単体のアンケートを発見できず)
脱毛サロンを経験したことがある 10.6% 
HoNote通信 中学生を除く15歳~39歳の男女2,000名を対象
現在日本における、20代の男女の人口
男性 641万人 女性657万人
総務省統計局

必要なデータは全て揃った。

上記のデータをもとに、胸毛市場に置いて「胸毛を抜く」よりも「胸毛を誇る」方が圧倒的に、成婚率が高いことを読者諸君に証明しよう。     個性は伸ばすもの。胸毛も伸ばすもの。恐れ慄け、無毛男児!!!!!!!

ペンタゴンもびっくりの計算力を誇る私の頭脳が瞬時に計算を始める。 (千以下切り捨て)

男総人口×無毛割合+(男総人口×有毛割合×脱毛割合)=現無毛男子総数
6,410,000×0.79+(6410000×0.21×0.106)=5200000
女総人口×無毛好割合=無毛好女総数
6570000×0.929=6100000

上記のデータから導き出される、無毛男子が無毛好き女性と付き合える確率は(女性は胸毛の有無だけでパートナーを判別する世界の場合)

なんと・・・・118%

めちゃくちゃ高いじゃねーか!                    あれ、おかしいな?ニッチ戦略が歯が立たないだと?

一応、胸毛男子が、胸毛好き女子と付き合える確率も出しておこう。

470000÷1210000=0.39
胸毛男子が女性と付き合える確率 39%

めちゃくちゃ低いじゃねぇか!!!

胸毛生えているせいで、6割ほど付き合えないだと。ふざけるな。何がニッチ戦略。マイケル・ポーター土下座で謝れ。結局王道の方が強いんだよ!バクマン、読め。

胸毛と自己肯定

私は、胸についたブラジリアンワックス付きシートを無造作に剥がしていく。飛び散る胸毛、塗りたくれワックス、いでよ私の柔肌。

めちゃくちゃ痛かったが、ツルツルな胸板を手に入れた。想像よりも、爽快な気分に驚きを隠せない。

はたと気がつく。私がモテなかった理由は、胸毛が理由ではなく、胸毛を気にして自分に自信が持てなかったからではないのか。

自分を愛せない人間を他人が愛してくれるだろうか。

まず、私に必要だったのは自分を当然のように愛すること。ただそれだけ。ありがとう、胸毛。大切なことに気づけたよ。


胸毛とエピローグ

ちなみに・・・

全ての毛にはヘアサイクルという寿命が存在し、胸毛は大体3〜4ヶ月ほどで脱毛前とほぼ同じ毛量になることを付け加えておきたい。

毛は抜こうが抜くまいが、すぐに元の状態に戻るのだ。

まさしく、今晩の議論は不毛であった。


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