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『日常と非日常を行き来する』参加者レポート(14)

レポート作成者: Gianometti

ワークショップ導入部のシアターゲームパートでは、自己紹介が印象に残っています。名前にプラスして、なにか一言だけ言うというルール。人に何かを伝えようと思うとついつい持てる情報をすべて放出して多く喋りがちになるけれど、案外ぐっと絞ったほうが相手に伝わりやすいのだとか。ごくわずかな情報だけを伝えられることにより、受け取った側(他の皆さんに対する私)の相手への姿勢の能動レベルがちょっと上がった気もした。謎が人を引き留める……コミュニケーションとはミステリである。といった面もあるかもなと思いました。

自己紹介の最後では、言うひとことを敢えて「嘘の内容」にするようにという指示が。これがまたおもしろく、嘘のつき方が人それぞれ。リアリティを持たせようとする人もいれば、ウソ感を強調する人もいました。なにかひとつ言うにしても個性ってあるよな、とそんな基本中の基本を改めて実感する機会となりました。こういうところでちょっと立ち止まって気づき直せるワークショップは本当にありがたいです。

本編は、ハイスピードで駆け抜けました。
俳優、脚本家、演出家の全役を短時間で体験するというプログラム!
まず、一部ワードが穴あき状態の短いテキストを配られ、3人組でその穴を埋めていきます。脚本家パートだ!
穴を埋めようと思うとテキストの構造などを確認しなくてはならず、短時間ながら早速脳がフル回転しました。
さあ、今度はそれを上演するのかな、と思いきや、他のグループと台本を交換。他のグループが穴を埋めた台本を発表することになりました。
当然ながら、我々が埋めた言葉と違う言葉がはまっている。一部は共通点もありながら、一部は全くさっきと違うもので……一度読んだはずのテキストなのに単語が違うとおもしろがれるポイントも変わっていたのが印象に残りました。

発表の段では、ふだんはなかなかできない体験もしました。自分が(ひと単語ではありますが)書いた言葉を他の人が演出するのを見る、という体験です。書いた時に思っていたのとはまた違う、でもおもしろいアプローチ。

いつも稽古場には演出家、役者など色んな立場の人がいますが、積極的に混ざり合って議論できれば、思いがけない突破につながることもありそうだ!とワクワクする時間でした。

最後のワークは、長めのテキスト(途中名穴も大きな箇所がある)を7人くらいのグループで案を出し合いやってみるというもの。はじめこそ、グループワーク序盤あるあるで皆さん様子を見ながら発言したりしていなかったりしていましたが、穴埋めが終わりに立ち稽古に入ってからは表情もほぐれてきて楽しい感じになっていきました。実際に動いて試してみることができるのも役者の楽しさのひとつだなあ、とこんなところでもちょっと立ち止まり再発見。
同時に、演出家には序盤の話し合いタイムをもっと楽しくしたりみんなに参加しやすくしたりする力も絶対に必要だなと思いました。

初対面の人同士、しかも割と大人数で意見を出し合って場面を作る……就活でやったらすごくしんどいワークだと思いますが、この日はとても楽しめました。というのも、ファシリテーターの大池さんがすごすぎてありがたすぎて……我々のトライを見て即座によいところを拾い上げて次につながるポイントをアドバイスくださったり、単純に褒めてくださったり。楽しいし勉強になるし多幸だし、なワークショップでした!!

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