見出し画像

『プリズム』参加者レポート⑦

レポート作成者:匿名

今回WSのテーマとなっていた、“観客と空気を共有すること”の難しさを感じました。まず最初に2人1組になりコントをしたのですが、初めてお話しする相手なのでまず相手に集中がいってしまいました。どんな人なんだろう、どんな質問をすれば話が続くだろうと話の内容と相手に夢中で観客のことなんて考えられませんでした。すこし、体の向きを変えるだけでも観客に向かって話しているような感じになりそうだなと思ってやってみたりもしましたが、また少し違う感覚。難しかったです。次に5人組になり実際にエンニュイで使用された居酒屋のシーンをやりました。ここでは相手との会話に集中してどんなリアクションを取るかで盛り上がりが変わると考え、私がもらった役のキャラクター的にもとにかく場を盛り上げることに徹してみました。これはどのように見えていたのか、参加者に聞いておけばよかったです。見え方はさておき、その時舞台上にいた私は嘘の私ではなく紛れもなく本当の私でした。役と自分のいいとこ取りの私。セリフ、といってもテーマが決まったエチュードのような状態になっており、素の自分で話すことができました。また、初めてお会いした方々にも関わらず頼ったり甘えたり、時には助けたいと思ったりなど、心を開いて会話できたように思います。とても不思議な感覚でした。シーン練習は2回ずつ行われました。1回目、このシーンで沈黙はダメだ、と思った時に無理矢理盛り上がろうとして失敗してしまいました。ですが、2回目は自然と相手からエネルギーをもらったり、そのエネルギーをやりとりすることでさらに大きくしたりできました。実際のお芝居の現場でも、無理矢理テンションを上げて望んでいたところもあったのですが、場に集中して、その場の空気を感じて相手を感じてエネルギーのやり取りをすれば簡単に場は盛り上がったり下がったりできるのだと思いました。また、場を盛り上げるのには体の向きや声量を変えてみたり、声質を変えてみてみんなに驚きを与えることも大事だと思いました。ずっと同じ場面、ずっと同じ喋り方で話しかけていても飽きてしまうだけだと。これは子供に対しても同じだなと思います。所詮大人も子供も人間であるのだからその原理は同じであると思います。つまんないなぁ、と飽きてしまっても我慢して自分で工夫して楽しくしたりするのが大人なので、それを舞台上でやってあげればいいのだと思いました。
この気づきは初歩的なものであると思います。舞台上で見られているという立場であれば、自然と考えていることだと思います。ですが、改めて気づけたことによって何か自分がお芝居の時に迷ってしまったらまず何を変えてみたらいいか、の根本にこれはあると思います。このことに気づける体験をすることは、普段の台本を使ったWSでは叶わないと思うのでとても貴重な体験をしたのだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?