#22 天国と地獄~サイコな2人(2021)-入れ替わりドラマでは最高傑作
コロナ禍以降のTBS日曜劇場のラインナップの中では、最も芸術性の高いドラマであったように思います。展開の凄みなら「マイファミリー」も負けてはいないのですが、究極の演技力を魅せつけられたという点で、このドラマを超える作品は不世出ではないかと思うのです。
最高のスタッフ
脚本・森下佳子、演出・平川雄一郎、音楽・横山克によるTBSドラマと言えば、「JIN」や「義母と娘のブルース」がお馴染みです。いずれも、ドキドキ、ワクワク、ハラハラと感動が共存する名作ですが、主演がすべて綾瀬はるかさんというのが興味深いですね。綾瀬さんの良さを極限まで引き出せるスタッフだと言っても過言ではないでしょう。
究極に巧すぎる2人
これまでも「入れ替わりドラマ(映画)」はたくさんありましたが、綾瀬はるか&高橋一生の入れ替わりはもはや芸術的なレベルに達していました。身体は入れ替わっているのに、しゃべり方等のクセが瓜ふたつだったので、入れ替わっているように見えませんでした。巧い役者同士が組んだからと言って、ここまで相乗効果を生み出せることはないと思います。
味のある脇役
主演ふたりを力強く支えたのが、北村一輝さん、溝端淳平さん、迫田孝也さんでした。北村さん演じる「ライバルと見せかけて窮状を救う孤高の刑事」、溝端さん演じる「ドジで間抜けだがパートナを支えるバディ」、迫田さん演じる「薄幸の人生を背負いきれず罪を犯した兄」、すべてに味がありました。バイプレーヤー迫田孝也さんを陽の当たる場所に牽引したという点でも、じゅうぶん賞賛に値すると思います。
不満があるとすれば…
最近の日曜劇場では、最終回直前まで謎を引っ張って、最終回になると「実は…」という感じで、登場人物による回想で謎を回収してしまうパターンが増えているように感じます。「天国と地獄」「マイファミリー」「テセウスの船」然り、最後のツメの甘さが気になりました。「JINシーズン2」の最終回が良すぎたせいかもしれませんが。