#7 石子と羽男-そんなコトで訴えます?(2022)-ラブコメじゃなくてホッとしたのは私だけ?
2022年度7-9月期のザテレビジョンドラマアカデミー賞において、最優秀作品賞、主演男優賞(中村倫也)、主演女優賞(有村架純)、助演男優賞(赤楚衛二)、監督賞(塚原あゆ子、山本剛義)を総なめにした人気ドラマを敢えて推している自分が実に気恥ずかしいのですが、今なお、ストーリーや展開ではなく、絶妙なキャスティングしか思い起こせないという風変わりなドラマでした。
まず、主演男優賞の中村倫也さんですが、私はこの人が醸し出す「ゆがんだ人格」が大好きです。ファンの方は格好いい姿を求められるかもしれませんが、私は「ハヤブサ消防団」「凪のお暇」「岸部露伴は動かない」の『イケてない中村さん』の演技にハマりました。
次に、主演女優賞の有村架純さんですが、私はこの人が醸し出す「どうにもならない不幸感」が大好きです。ファンの方は奇麗で快活な姿を求められるかもしれませんが、私は「コントが始まる」「中学聖日記」「前科者」の『救いようのない不憫さ』にハマりました。
このふたりが塚原演出によって、つかず、離れずを繰り返しながら、お互いをリスペクトするようになるプロセスに惹かれた方も多いのではないでしょうか?ドラマ終盤では、有村さんの行く末に対して、「このまま赤楚衛二とくっつくのか?」「それじゃあ、ただのラブコメじゃないか!」「だからと言って、中村倫也とくっつくのもいかがなものか?」と不安に感じていましたが、結局、3人とも心地よい距離感を保ちながら、新生活に踏み出すエンディングに救われました。読みが外れて助かりました(笑)。
さらに、娘想いのお父さんを「さだまさしさん」に、最後まで相手にされないおっちゃんを「おいでやす小田さん」に充てたスタッフの目利きも素晴らしかったと思います。実のところ、リーガル系のストーリーについては何ひとつ記憶に残っておらず、「いいなぁ、この家族感」という感覚だけが強く残る、風変わりなドラマでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?