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#170 利家とまつ(2002)ー唐沢&松嶋&反町を支えた脇役の哀愁こそ高評価の源泉

NHKオンデマンド紹介文

平成14年(2002)、唐沢寿明、松嶋菜々子の主演により放送した大河ドラマ第41作です。激動の戦国時代を生き抜き、織田信長、豊臣秀吉、二人の天下人から男の中の男と賞され、加賀百万石の礎を築いた藩祖・前田利家。その利家を支え続けた妻・まつ。夫婦の愛の物語と戦国武将のサクセスストーリーです。疾風怒濤の時代を生きた人々を壮大なスケールで描きます。

大河ドラマ復権を確立した名作

1980年代後半の「独眼竜正宗」「武田信玄」以降、社会現象レベルの作品からやや見放された感のあったNHK大河ドラマの復権を位置付けた名作。まつ(松嶋菜々子)の「お任せください」や信長(反町隆史)の「~である」といった流行語に加え、利家(唐沢寿明)、信長(反町隆史)、秀吉(香川照之)による舞い、GTOを経てご結婚された反町さんと松島さんの共演など、話題にはこと欠きませんでした。

嫁さん(松嶋菜々子)を睨みつける旦那(反町隆史

骨の髄まで刺さった不幸キャラ3連発

私見ですが、このドラマが感銘を集めた核には「悲劇の連鎖」があったと思います。では順に紹介します。

利家の弟・佐脇良之(竹野内豊)

幼くして前田家から佐脇家に養子に出されるが、前田家の行く末を案じ、献身的に兄をバックアップするクールで聡明な弟を竹野内豊が演じ、落ち着いた物腰に加え、低音の魅力で視聴者のハートを鷲掴みにしました。秀吉(香川照之)に嫌われ、やむを得ず家康側につくも、三方ヶ原で戦死。壮絶な最期を迎えながらも、身寄りのない赤子を救う姿に涙したファンは数知れず。まぎれもなく前半部の影の主役。

カッケー、竹野内豊

悲運の武将・佐々成政(山口祐一郎)

利家(唐沢寿明)、秀吉(香川照之)の幼馴染で、信長(反町隆史)の指導のもとで頭角を現すが、信長の死後、政権を継いだ秀吉とそりが合わず、何度も造反・反省を繰り返す。最後は利家の尽力及ばず、秀吉から切腹を命じられ、雪の降る武家屋敷で絶命する。見事な死にざまであったが、融通の利かない生真面目さ、秀吉による度重なる嫌がらせ、息子の討ち死になど、不幸を一身に背負った代表だった。

見るからに気難しそう…

佐々成政の正室・はる(天海祐希)

このドラマのもうひとつの見どころが武将のママ友。利家の正室(松嶋菜々子)、秀吉の正室(酒井法子)、佐々成政の正室(天海祐希)の3人。この中で、ひとりですべての不幸を背負ったのが、成政の正室・はるを演じた天海祐希。戦さで息子ふたりを亡くし、秀吉に夫の人生をかき乱され、国替えのために峠を越えようとして雪崩に遭って死亡等々、碌なことのない人生を笑顔で乗り切ろうとする姿が切なかった。死亡後、うりふたつの女性役で再登場したときは「えっ?」となった(笑)。

左から、酒井法子、松嶋菜々子、天海祐希

「加賀百万石」を想起させる荘厳なBGM

noteにすべて書ききるのは難しく、上記のほかにも、若き日の利家の葛藤、まつの不遇な幼少期、利家を見守る誠実な兄(三浦友和)、政略結婚、利家の側室騒ぎ、天下を目前にした利家の死去など、見どころ満載の大河でした。視聴者の評価だけを見れば、大河史上1位の人気ドラマだったかもしれません。(私の中では1位は「篤姫」ですが)


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