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MtG引退勢が《稲妻》を打つためにアリーナに復帰した話


MtG引退勢、年末に復帰する

Magic: the Gathering (MtG) は30年以上の歴史のあるカードゲームで、私にとっても2013~2019年頃までに間違いなく一番遊んだゲームでした。
週末にはプロツアー予選やグランプリに出て、夏季休暇は旅行のついでに海外のグランプリに出たりもしたのは今でも良い思い出です。

世界最古のTCG (写真は公式ページより:https://magic.wizards.com/ja/product-guide)

ただ、ここしばらくはゲームからだいぶ遠ざかっていました。

「モダンホライゾン」辺りからのゲームがどうしても肌に合わなかったり、コロナ禍で対面のトーナメントが無くなったりといった頃に他のゲームに軸足を移して自然と離れていきました。
カードも売っちゃいましたしね。

それが昨年の12月23日に「MTGアリーナ」を再インストールして、そこから一週間ひたすらプレイしてブロンズ4からミシックランクまで到達し、続けて今月も再びミシックランクになりました。

現役時代は「MTGアリーナ」よりも「マジックオンライン」派だったため、今回初めてミシックになりました。

MtGは歴史が長いゲームなので引退勢が復帰するのも珍しくないゲームですが、私の場合の復帰に至るまでの経緯や久々に遊んだ感想などを書いてみたいと思います。

タイムレスとの出会い

「MTGアリーナ」で2023年の12月14日に新フォーマットの「タイムレス」が導入されました。
ローテーションなしのいわゆるエターナルフォーマットで、特筆すべきは禁止カードなし
MTGアリーナに存在する全てのカードを使って最強のデッキを組めるというルールです。

いわば「MTGアリーナ版のヴィンテージ」といったフォーマット

《稲妻/Lightning Bolt》《対抗呪文/Counterspell》《暗黒の儀式/Dark Ritual》といった代表どころの呪文は「ストリクスヘイヴン」のボーナスシートに収録されているため使用可能。
それどころか、レガシー禁止の《悪魔の教示者/Demonic Tutor》《ネクロポーテンス/Necropotence》ですら使えてしまいます。

「タイムレス」を刺激的なフォーマットにしてくれるボーナスシートのカード達(悪魔の教示者は1枚制限)。

私は競技プレイをやめてから友人との統率者戦以外では一切MtGに触れない生活になっていたのですが、昨年の12月に遊んだ時に友人からタイムレスの存在を教えられました。
「ヒストリックと何が違うのかな?」と思って調べてみると、上記のように非常に刺激的なフォーマットであるように感じられました。
私は元々モダンやレガシーが好きで、タイムレスはそれに近いゲーム感覚が得られそうと思い、プレイしてみることにしました。

久々のMtGに思い切りハマってしまう

最初に使ったデッキは自分の得意アーキタイプかつ比較的安価に組めた「赤黒バーン」でした。
軽いクリーチャーと火力で相手のライフをひたすら削って勝つ、古代からあるデッキです。

初期環境の攻略はアグロと相場が決まっている(?)

バーンは「早い・安い・強い」でパワーカードというよりは速度で勝負するデッキと思われるでしょうが、ここは魔境タイムレス。
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を採用しているのでバーンのくせに持久力があり、侮れないデッキです。

パイオニア、モダン、レガシーで禁止の三冠王。ちなみに、ライバルの《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》はタイムレスではほとんど見かけません。

デッキを組んでいざプレイしてみると、相手のデッキもすごい。
3~4ターン目に《原始のタイタン/Primeval Titan》を出して《死者の原野/Field of the Dead》を並べてくるデッキとか、1ターン目に《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》が出てくるデッキとか、3~4ターン目に勝つのが当たり前のコンボデッキとか。

《死者の原野/Field of the Dead》のおかげで、画面を見るのも嫌になるほど大量のゾンビが……

お互いに強力なカードを詰め込んでいるため、1ターン目から緊張感のあるゲームができるのはエターナルフォーマットの魅力かなと思います。
また「レガシー禁止カードも使えるけどデュアルランドやピッチスペルは収録されていない」という独特なカードプールのため、序盤に自分の行動を押し付ける側が強い点も特徴的ですね。
BO1(メイン戦のみ)でやると1ゲームはだいたい5分以内に決着します。

そんなこんなでやり始めたら予想外にハマってしまい、12月23日から始めて一週間後の30日にちょうど200戦目でミシックランクに到達しました。
途中で2~3日くらい「タルキール覇王譚」ドラフトに寄り道していたりもしたので、実質的にタイムレスをやったのは4~5日くらい。
毎日5~6時間MTGアリーナをプレイしていたわけで、自分で思っていた以上に復帰したMtGは楽しかったようです。

私の12月のランク推移 (untapped.ggのサイトより)。一週間でランクに17時間50分、ドラフトも別途20時間ほどプレイしていました。タルキールドラフトも昔を思い出して楽しかったですね。

BO1も悪くない

ランク戦は資産の関係でBO1をプレイしていましたが、BO1を楽しめたのも昔との違いかなと思います。
昔の自分だったら「BO1なんか本当のマジックじゃない」みたいなことを思っていたでしょうし、実際それはある部分で正しいかもしれません。
ただ、今の自分は特に大会に出る気もないのでそういう立場だとBO1は気楽に遊べて楽しかったですね。
3~5分くらいで勝負が終わって、また次に戦って……という感じでサクサク遊べるので、カジュアルにやるならこの遊び方も悪くないなと感じました。

余談ですが、私の趣味のチェスでも似たようなことがあり、対面でやるなら持ち時間を多め(15~30分)にして、ネットでは早指し戦(3~5分)をやることが多いです。
リアルでやるならじっくりやる方が楽しいけど、ネットで気軽にやるなら短時間で終わるゲームもまた楽しいという感じですね。

懐かしいカードとの再会

1対1のMtGは久々だったので、久々に見た懐かしいカードも多くあります。

たとえば、《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》は「タルキール覇王譚」以降スタンダード、モダン、レガシーのいずれのフォーマットでもよく見たカードです。
《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》が使えた頃のスタンダードでは私も赤単のアグロデッキで使用していた記憶があります。
タイムレスでも相変わらず強く、「今でも現役のカードなんだなぁ」としみじみ思ったり。

1マナ速攻かつスペルがあれば2/3や3/4の規格外スペックに。
相手の除去が2点火力だった場合、使用タイミングを制限できるのも強い。

そして赤といえばやはり《稲妻/Lightning Bolt》。
幾度となく撃ち、相手にも撃たれたカードです。

言わずと知れた赤の代名詞。

私は「マジックらしさ」をこういう古くからあるカードに感じるので、エターナルフォーマットでの基礎的な呪文が使えるのは非常に有難いですね。
私がタイムレスをやり始めたら統率者仲間の友人も5人ほどやり始めたのですが、彼らも多分似たようなことを思っていたのではないかと思います。

現代のカードとの対面

MtGでは、「クリーチャーの性能がインフレしていて、スペルは昔のものが強い」とよく言われます。
実際、タイムレスで使われるクリーチャーは最近のカードがほとんど。

最もよく見るのが「指輪物語」の《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》。
パッと見強さがわかりにくいですが、実際に使うと強すぎて眩暈がするカードです。

MtG版「指輪物語」の主人公はコイツに違いない。
統率者戦でもめちゃくちゃ強いです。

タイムレスでは黒に強力なカードが多いこと、さらに相手の《オークの弓使い》を一番うまく処理する方法が自分も《オークの弓使い》を使うことなため、非常によく見ます。

ダイヤ~ミシック帯の対戦では少なく見ても過半数、おそらく7割くらいは《オークの弓使い》が入っているデッキと当たっているはず。
そう言う私自身、デッキに常に《オークの弓使い》が4枚入っているのですが……

極論を言えば、タイムレスのデッキは《オークの弓使い》を上手く使うか、それを無視して勝てる手段を採用するかの二択と言えるでしょう。

他には《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》も使えます。

エルドレインの王権で登場した最強PW

タイムレスでは周りも強いので最強というほどでもないのですが、「自分が辞めた後に話題になっていたぶっ壊れカード」に出会えるというのは楽しいですね。
勿論、対処できないタイミングで出てくると普通に詰みます。

タイムレスのデッキ紹介

もう少し具体的に見ていくため、現環境(タルキール覇王譚まで)で私が使ったデッキを2つ紹介します。

1.     赤黒ブリーチ

《死の国からの脱出/Underworld Breach》を中心とした墓地利用コンボで勝利するデッキですが、その速度と安定性の高さから非常に強力です。

レガシー禁止カードの巣窟。

「脱出」以外のコンボパーツは《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《縫い師への供給者/Stitcher's Supplier》、《悪魔の意図/Diabolic Intent》。
これらでマナと墓地を増やしながらストームを稼ぎ、《苦悶の触手/Tendrils of Agony》で勝利します。
上手く回ればキルターンは4~5ターン目くらいで、除去ハンデスも豊富なので相手への干渉能力も高い。

私もそのデッキパワーに屈し、1月のランク戦でダイヤ1からミシックまでの最後の一押しに使用しました。

コンボしないで飛行3点で殴り切ることもあります

弱点を一つ挙げるなら、強すぎて対策されやすいことくらいでしょうか。
このデッキとドレッジのせいで、BO1でも墓地対策を入れられる場合があります。

2.     黒単コントロール

私が1月のランク戦で主に使っていたデッキです。
最近一番お気に入りのデッキ。

コントロールと言いつつ圧倒的なカードアドバンテージで押し潰す力技のデッキ

黒単を象徴するのが《ネクロポーテンス/Necropotence》。
先行1ターン目の《暗黒の儀式/Dark Ritual》からの《ネクロポーテンス》設置はまさに暴力。
アリーナに《意志の力/Force of Will》が実装されていないので防ぐ手段はありません。

1対1の対戦で初めて使いました。さすがに強い。

《ネクロポーテンス》は消耗戦に入ってからトップデッキしても強い。
一方的にカードを7枚獲得して相手の心が折れること間違いなし。

デッキ内に小技的なシナジーが色々用意されているのも気に入っています。
たとえば、《ネクロポーテンス》でカードを10枚くらい手札に入れたまま優先権を保持し、そこで《不憫な悲哀の行進/March of Wretched Sorrow》を使用するのが強い。

除去しながら《ネクロポーテンス/Necropotence》のためのライフ(≒カード)を供給してくれるいぶし銀のカード

ルール上、《ネクロポーテンス》は手札に加えてから手札を7枚になるように残りを捨てる必要がありますが、加えてから捨てる前に呪文を打つタイミングがあるんですね。
その時に《不憫な悲哀の行進》を使うことで本来ディスカードされるカードが1枚2点分のライフに変換でき、将来の《ネクロポーテンス》の起動回数を増やすことができます。

他には、《鏡に願いを/Beseech the Mirror》で《ネクロポーテンス》や重荷カウンターのたまった《一つの指輪/The One Ring》を生贄にして《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》を出すとか。
ライフを詰めて勝つプランで来た相手の計算を崩すことができて、マジックが上手い気分に浸れます。

最後に

タイムレス実装をきっかけに期せずしてMtGを再びプレイすることになり、新鮮なような懐かしいような不思議な気持ちになりました。

タイムレスは私のようなエターナル環境が好きなプレイヤーにとっては楽しめるフォーマットかと思います。
実際、マジックオンラインをやっている海外の配信者も最近はアリーナでタイムレスを配信している場面を見かけたりしますね。

今後もボーナスシートやゲスト枠での古いカードの再録などがあるとタイムレスでのデッキの幅が広がると思いますので、統率者以外の楽しみが一つ増えた点も良かったです。
引き続き、自分なりにゆるく遊べたら良いかなと思っています。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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