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キントキ、家に帰ろう 【第一章:緊急入院】

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #猫 #猫好き #猫のいる風景 #猫の想い出 #闘病日記

■4月4日 救急病院へ

夜、家に帰ったら、いつも玄関に出てくるはずの相棒がいなかった。寝てるのかなと思い、ベッドを見てもいなかった。
呼んでも来ない。

電気がついていないリビングの、ベランダ寄りの窓のそばのクッションの上にいた。ここで寝ていたんだろうか?いつもと違う風景の気がした。
少し胸騒ぎがした。

昨日、トイレの前の砂よけマットの上にオシッコをしていたので片付けたのだが、今度はその床の上にこぼしていた。

相棒の名は「キントキ」、ロシアンブルー(オス)の14歳。ボケてきたのかな?と抱き上げて、ソファに座って顔を見た。少し変だなと思った。身体がぐにゃっとして目の焦点が少し合ってないような、、ご飯を食べるかなと床に降ろしたとき、少しよろけた。

実はここ2、3日ほとんどご飯を残すので、かかりつけの病院に明日連れて行く予定だった。
でも今、寄ってくる足がよろけてうまく歩けない、スプーンに口を寄せるけど食べない。座り方も心もとない。おかしい…。意識が朦朧としている?

確信したとたん、慌てた。

かかりつけの病院に電話したけど、もう救急病院への自動案内だった。救急病院の先生に様子を話したら、すぐに連れてきてくださいと言われて、電話を切ったとたん、現実になってパニックになった。

初めて事の重大さに気がついて、泣きながら支度をした。

相棒キントキはカーゴに入れられるのをいつものように少し嫌がったけど、その力は弱々しかった。
緊急なんですと言ったのに、のんびりとしたタクシーの運転手に早く、早くと、、、病院の階段を上がったときには顔がぐちゃぐちゃだった。

待合室で検査結果を待つ間、何でもありませんように、とただただ祈ったけど、深刻な顔をした医師が「原因がわかりました。危険な状態です。」と、どんな病気なのか、どんな状態なのか説明を聞いたけど、よくわからなかった。

というか、パニックになって、脳が理解しようとしていなかった。

しばらくして、落ち着いて聞くように、先生が紙に書いて状態を説明してくれた。膵炎、腸炎、胆管炎を起こしていて、たぶん今まで食ムラ、吐き気があったはず。膵炎のためインシュリンが出ず、高血糖状態に。

高血糖値682ケトアシドーシス=危険な状態
ケトン体 +1
白血球25400 (普通は4500〜5000)

糖尿病が決定的かどうかは、ケトンの推移を見ないとまだわからない。膵臓が腫れている。

食欲がなくなってご飯が食べれなくなる

脂肪を一気にエネルギーに使おうとする

肝臓に一気に脂肪がたまる

肝機能低下で肝リピドーシス=危険な状態

脱水症状もひどくてたぶん本人は意識が朦朧としていて、トイレもわからなかったはず、と。

「今日連れてきてよかったです。あと少し遅かったら大変なことになっていました」
そう言った医師に、一番聞きたくないことを思い切って聞いた。

「わかりません、今は危険な状態で何とも言えません」

それからは、ただ「どうしてもっと早く病院に連れていかなかったのか」という自責の念だけが、頭の中をぐるぐるして、ただ馬鹿みたいに泣くばかりだった。

キントキは点滴の管が刺さったまま、ぐったりしていた。お願いだから、頑張ってと祈るしかなかった。何かあったら連絡できるように、電話をそばに置いておくようにということで一時帰宅し、翌朝7時に来るように言われた。

外に出てもタクシーはなかなかつかまらなくて、寒い中夜道を泣きながら歩いた。家に帰って、ほんとうにこんなに声を上げて泣いたことはないってくらい泣いた。

自分が悪いのと、キントキがかわいそうなのと、やり場のない悲しみでわんわん馬鹿みたいに泣いた。

泣いてもどうしようもないのに。


■4月5日 救急病院からかかりつけの病院へ

朝、迎えにいったらキントキが少し頭を上げた。「頭が少ししっかりしてきましたよ」と医師。
名前を呼ぶと少しわたしを見た。よろよろと立ち上がろうとさえした。
血糖値が朝には514に少し下がった。それでも200以下にはほど遠い状態。

救急の医師と少し話をした。 どうしてこうなったのか?避けられなかったのか?自分が悪いとわかっているけれど、知りたかった。

前から気がついたことはなかったか?食欲が落ちるとか、お水をよく飲むようになったとか、おしっこの量が増えたとか?
咎められているような気がした。

言われたら思い当たることはあった。でもどれもつい最近のことだ。食欲が確かに減ってきた。でもドライフードは残すけどツナ缶だけ食べていたから、歯の問題かと思ってかかりつけの病院に電話していた。

「歯が痛いのかもしれませんね」と言われたので、ドライフードをお湯でふやかして、ペースト状にしてあげたら完食したので、少し安心した。

毛玉を吐くような音を出す事が多くなった。でも液体だけした吐かなかったので、病院から毛玉除去ペーストを送ってもらって飲ませたら、大きめのウンチが出た。

ちょうどトイレをシステムトイレに変えたところだった。今まで固まる砂の量でおしっこがの量がわかったのが、下のシーツに落ちる形式になって、量がわからなかった。ただ、1週間に一度替えるというシーツは、途中で見たら、けっこう吸っていたので、週2回あるゴミ捨ての度に替えようと思った。それが、量が多くなっている証拠だったのに。

お水ももともとよく飲むほうだと思っていた。ちょうどファウンテンという給水器を買ったら、流れる水が好きだから喜んで飲んでいた。

こんなことひとつひとつは、病気を前提に気をつけていたら、シグナルだったのではないかと思う。今更ながらに自分のうかつさが悔やまれた。

キントキは朝9時にかかりつけの病院に移った。院長は、泣きながら来たわたしに少し驚いて、「大丈夫ですよ」と励ますように言った。
ひとまずインシュリンの点滴をしながら、2時間おきに血液検査をして経過を見るのだという。
点滴と尿管にカテーテルが差し込まれたキントキの身体はぐったりしていて、見ているだけで辛かった。

夕方6時半頃、様子を見にいって院長と話した。
血糖値が朝514⇒251に(去年9月は145だった)、ケトン体はまだ+1、血尿がでている(救急ではなかったので膀胱穿刺のせいかも)、インシュリンの点滴をしているから血糖値は上がったり下がったりするという状態。

飛行機に乗せるのはストレスで血糖値があがるから、今後はもう無理ですよと言われた。3.11の震災のときから預けるのが怖くて、飛行機に乗せて実家に帰るようになっていたことが、かえってストレスで血糖値=糖尿病の誘発に繋がったりしたのかな?何でも悪い方向に考えてしまう。

ケトンが出ていて、これだけの血糖値だからもうこれはもう糖尿病ということだった。
糖尿病は急性ではないので、少しずつ少しずつなっていったのでは?去年9月の血液検査では異常がなかった。最初は元気で食欲もあるのでわかりにくい病気なんだという。
体重は去年9月も今年1月も5.5キロ。⇒今日は4.98キロ (食事をしなかったのと、脂肪を使って減った?)だから、それ以降ここ何ヶ月かで進行したと思われる。

糖尿病だと、今後、退院して家に帰ったとしても、毎日決まった時間に2回のインシュリンの注射と尿検査が必要になるということだった。低血糖になったりする危険もあり、人間よりもコントロールが難しいらしい。

これからが、本当の闘病なのだと悟った。

しっかりしなくちゃいけないと思ったけど、ぐったりしているキントキを見たら、後悔でめそめそ泣くしかなかった。

今まで家では相棒キントキといつも一緒で、話して顔を見てわかった気になっていた。本当は痛くても辛くても、言葉が話せない動物なんだっていう当たり前の事を、軽視していた。ご飯を少しくらい食べなくっても、土曜日に病院に行くからいいやと思っていた。
もっと慎重に受け止めるべきシグナルはいくつもあったのに。。

木曜日の夜は仕事の打ち上げで外食して浮かれて帰宅したんだった。その夜もきっと具合が悪かったに違いないのに、、
金曜の朝、オシッコをトイレの前にこぼしていたとき、もっと注意して見るんだった。。

わたしは自分のことばかりかまけていて、大馬鹿者だと、悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。

こんな姿で苦しんでるキントキに心から謝りたい。

■4月6日 入院2日目

相棒がいつ帰ってきてもいいように、トイレやベッドを掃除した。ベッド以外に身体を伸ばして休めるクッションが必要かも。

夕方、病院へ。キントキは昨日よりぐったりしているように見えた。
呼んでも反応もない。頭を変に壁にもたれて寝ているので、頭にタオルの枕をしてもらった。
ケトン変わらず+1。減るのに1週間以上かかるかも(早いと2〜3日で減る)。

血糖値 朝389⇒231

ケトン代謝から糖代謝へする治療を続ける。脂肪代謝にならないよう、肝臓のために、無理やりでも食べ物でとらないといけない。
朝、ドライを2、3粒食べた。

ビリルビン2.9にあがっている ✴︎救急では0.9だった

肝臓が腫れてる状態=肝リピドーシスに関しては、治るのに1ヶ月くらいかかるという。脱水症状もまだある。

今の短期インシュリン治療を長期インシュリン治療(朝夜2回のインシュリン注射)にして安定するまで退院できない。ケトンが減らないことが心配。肝機能も低下したままで、まったく安心できない。

わたしはもっとしっかりしなければならない。

今まで怖くてしなかった、猫の糖尿病について勉強するために検索した。
相棒が帰ってきて、安心して暮らせるように、準備しなくちゃならない。
糖尿病で猫を亡くした人のブログも勇気を出して読んだ。

糖尿病には、飼い主の努力がいる。決まった時間に尿検査をして、1日2回注射をしなければならない。生活時間も制限されるし、お金もかかる。時々入院させて検査もする。少しの間違いが低血糖を起こしたりする。

できるだろうか、わたしに、でもやらなきゃならない。

会社に業務の変更を申請しなくちゃいけない。

■4月7日 入院3日目

病院に行くと、今日は顔が見れた。というか、こっちを向いて寝ていただけなんだけど。相変わらずぐったりしていたが、目はしっかり開いていた。
いつも食べているツナ缶を持っていってあげたけど、口にしなかった。朝は30gほどのペースト状の食べ物を口に無理に入れたらしい。

院長とゆっくり話せた。
腎機能が4日に救急で計った値85に比べて61と下がってはいるけど、まだ悪い状態。脱水状態が続いているせい。

昨日の最終検査でケトンがマイナスになった!と思ったら、今朝は+2に増えてしまい、いま+1で元の状態になった。なので、今日はインシュリンの量を今までの1時間に20cc⇒25ccに増やしている。

とにかくケトン体を消すための治療を続ける。

昨日の結果については、総ビリルビンが上がっているのは、血流が悪いせいで、これも脱水症状によるものと考えられる。(ケトアシドーシスのせい)
救急病院からこっちにきたとき、歯茎が乾いてガビガビになっていたらしい。

肝機能は、GOT(壊れた肝細胞からでる数値)4日の303⇒6日180に減って、GPT(腫れた肝細胞の数だけ出る)254⇒272に増えている。

よく言えば、これ以上壊れていないので、時間はかかるが腫れた肝臓はよくなってくる。

今後、家に帰ったときのことを話した。
ストレスを与えないこと⇒血糖値があがるから。
ドライご飯を糖尿病用に変更。ツナ缶は少し混ぜてもいい。
朝夜2回、尿をリトマス紙で尿検査してGlu(血糖値)がプラスだったらインシュリンの注射をする。

①Gluを250を境にプラスとマイナスに分ける⇒マイナスでもご飯を食べなかったら低血糖かも⇒ガムシロップを舐めさせて、15分〜20分して元気が出たら低血糖だったことになる。

②ケトンが常にマイナスであるように気をつけて見る⇒ケトンがプラスになっていたらすぐ病院に!

③Gluもケトンもマイナスだったらインシュリンの注射はその時はしなくてよい。打つと低血糖になって死亡する危険!

…なんだかその判断に自信がない。。。

■4月7日 入院3日目の夜

夕方病院に行ったら、院長がうれしそうにケトンがマイナスになったと。やった!と叫ぶ。とにかく血中からケトン体が消えることが大事。
キントキは相変わらずだるそうに寝ていたけど、何度も呼んで耳をなでてるうちにこっちを向くようになった。ご飯は相変わらず自分からは食べない。

夕方18時の検査でケトンがマイナスに!この調子でマイナスが続いてくれればいい。Glu(血糖値)はプラスになってもいいけど、ケトンは常にマイナスでなくてはならない。

明日の朝もマイナスだったら、インシュリン投与を点滴ではなく、2時間おきの注射に切り替える。そしてGlu(血糖値)の数値の変動を見る。(規則的な波線になればいい)

今日は、Gluがどんどん下がってきた。インシュリンを増やしたせいもあるかもしれない。

朝328⇒夕方81になり、これ以上下がると低血糖になってしまうので、糖を入れた。19時半の段階で195に。

こうやって少しずつ調整して行く作業は大変だ。
2時間おきに採血。1時間ごとに尿からケトンを調べる。
この調子でケトンがマイナス状態が続いたら、注射の練習をしましょうと言われた。

朝夜2回の尿検査で(システムトイレでどうやってとるかが問題に)
・糖がプラス、ケトンがマイナス⇒インシュリン投与
・糖がマイナス、ケトンがマイナス⇒インシュリン投与しない
・ケトンがプラスになったら⇒すぐ病院へ

■4月8日 入院4日目

そもそもどうして糖尿病になったのか?
・膵炎からインシュリンが出なくなって糖尿病になったのか?
・糖尿病が先だったのか?

でも、うちではオヤツも滅多にあげないし、食事は腎臓対策食のドライフードとチャオのカツオ缶詰と、量もきっちり決まっていた。
院長の見解は、救急の先生の見解と違って後者だ。膵炎から糖尿病になったのではなく、糖尿病が徐々に進行し、ケトアシドーシスになって(脱水し)二次的に膵炎と胆管炎になった、という見解。

昨年の9月の血液検査で、糖尿病の兆候はなく、体重は5.5kg、今年1月にワクチン接種で来院したときも体重は5.5kgなので、糖尿病の兆候は、そのとき密かに始まっていたか、その後進行したと考えている。

糖尿病初期は元気だし食欲もあるからわからない。そのうち、インシュリンの糖代謝ができなくなり、脂肪を代謝し始めるとそのカスがケトン体となって出てくる。膵炎はその後ではないか?膵炎と胆管炎はどちらが先に発症したかはわからない。

救急病院ではアミラーゼは測っておらず、超音波で膵臓が腫れていたため、膵炎と推測。かかりつけの病院でも測っていない。なぜなら、膵炎は点滴と抗生物質で治すのだが、すでに今の点滴にそれが入っているから。

今日は朝の血糖値が400と高く、ケトンも+だったことから、注射によるインシュリン投与治療には移行できなかった。ケトンは15時以降マイナスになっている。これは、朝8g×2種類のご飯を食べたことも影響しているかも。

自力で食べない時は強制給餌でペースト状のご飯を無理矢理口の中に入れている。

糖で代謝すると、ケトンも減る。糖で代謝できないと、脂肪で代謝するようになって、肝臓に負担がかかり、肝機能が低下する。(肝リピドーシスになる)

夕方には血糖値も175まで減って(なのでインシュリンを25cc⇒15ccに減らした)、最終値は341。

腎機能を測る尿素窒素4日の85⇒6日は61⇒8日に33と減った。

肝機能GPTは226、GOTは237と高め。総ビリルビンは6日の2.9⇒8日は2.2 これはGPT(肝臓の腫れ)が減らないと下がらない。

朝に血糖値があがるのは、夜中のインシュリンが少ないから仕方のないことらしい。今夜は増やしてみるそうだ。

わたしが会社帰りに寄ったときには、とにかくまだぐったりして、ご飯が入った皿に顔を突っ伏していた。
しばらくして院長が別のご飯をお皿に入れて持ってきて、顔の前で動かしたらなんと!自力で一生懸命最初は舐める⇒少しずつだけど口に入れて噛むようになった!

突っ伏してるのか食べてるのか?

エラいぞ相棒!その調子だ。
食べないと帰れないぞ!

その後、カテーテルから出る尿を検査紙につけて15秒後、30秒後を測る尿検査の練習をした。

■4月9日 入院5日目

「打倒ケトン!」これが院長とわたしの闘魂の叫びだ。

昨夜ケトンがマイナスになった。だけど、いつも朝にはケトンがプラスになる。ケトンのマイナスが続かなければ、インシュリンを注射治療に変えられない。1日2回の注射治療でケトンをマイナスに保ち、血糖値を安定させることができたら、退院できる。

今朝、病院に行ったら院長が、「実はけさ、、、」と。
院長の顔は喜んでる時と深刻な時の顔の区別がつかないので、わたしは何か悪いことが起こったのかと「え?」と後ずさったら…
「ケトンが消えたんですよ!」と言うではないか!院長、頼むからいい知らせはちゃんと笑ってください。

ただし、血糖値はなんと560。

でもこれで今日から注射でインシュリンを打てる。ケトンが一日以上消えたことがとにもかくにも大事なんだから。点滴にはブドウ糖と肝臓の薬が入ってるとのこと。

そして、さらにうれしいのは、夜中にキントキがドライを少し食べたこと。自分から食べる、こんな当たり前のことが、すごく大事。(これって、人間にも言えることだ。)夜もケトンはマイナスをキープしている。

今日は一日で缶詰め20gを3種類、ドライkd(腎臓用)を18g、を食べたらしい。

インシュリン注射に変えてから、血糖値は朝560、夜で656。一番低い時で289。

高低差が300くらいなら問題ないとのこと。本来血糖値は250以下だが、インシュリン注射管理する場合、少し高めに量を設定しないと、標準の数値では、飼い主が注射管理の判断を誤って、低血糖になるリスクが怖いのだそうだ。

朝起きても、家に帰っても、つい、キントキがトイレをしてないか見るクセがついていて、空っぽのトイレを見るハメになる。

早く帰ってこい相棒。


■4月10日 入院6日目

ケトンがマイナス状態で続いており、いよいよ退院に向けてのカウントダウンが始まった。今日は、食欲もあり、朝からツナ缶60g、ドライ17gと十分。

会社帰りに寄って、ちょうど夜ご飯を食べるのを見ていたら、ものすごくガツガツと今まで見たことのない姿に目が潤み、というか、なんだか身体が薄汚れててかわいそう。。
血液検査の時は、ヴヴっと唸って怒っていたので、怒る元気があるならよしっ。

インシュリン注射のコントロールは量が難しく、昨日は単位1で、よかったものの、今日は血糖値の推移を見ると、朝が639、だが15時半ころに137まで下がり、下がり過ぎとのこと。

夜は、0.75に単位を減らし、わたしが自分でインシュリン注射を打つ練習を兼ねてやることに。。(怖い)
まず、生理食塩水で練習。実際にキントキに打つこと2回。まず容器の口を消毒、注射器のメモリを確かめながら、口のゴムに針を差し込み、容器から生理食塩水を抜く。3のメモリが0.75単位。その時、空気が入る場合があるので、注射器を指ではじき、空気を抜く。溶液は入れ戻してもOK。

背中の肩甲骨の間より下の皮膚を地肌が見えるように消毒し、引っ張って、斜め直角に1㎝ほどの細い針を差し込む。一度針を差し込んでから、次に溶液を押し入れること。(同時にやらない)

本番は本当にインシュリンを入れた。今はキントキは借りてきた猫みたいに大人しくしてるけど、家ではこううまくいくとは限らない。

なんだか自信ない。。

明日、血液検査で腎臓や肝臓の数値を見てから、血糖値の推移を15時過ぎの段階で判定、インシュリン0.75単位でいいのか判断、もろもろ問題なければ夜には退院!という段取りだ。

退院してもまた病院に検査に行かなければならないし、尿検査でケトンがプラスになれば即病院なので、慣れるためにも退院は早い方がいいという。
自力でご飯を食べるようになり、退院に喜んだのもつかの間、夜、家に帰って猫の糖尿病についての記述や体験者のブログを読んで、また落ち込む。

やはりこの病気は人間より容易ならないことなのだ。

■4月10日の夜 猫の糖尿病について調べる

糖尿病について知っておかなければならないことを調べる。

犬猫の糖尿病の発生率は、200頭に1頭くらいの割合で、特に猫は、最近増加しているらしい。

猫の糖尿病は深く静かに進行してなかなか正体を現さない病気で、膵臓の働きが悪くないか?よく水を飲まないか?最近痩せてきてないか?など、常日頃から注意する必要がある。

また、猫の糖尿病にはインスリンを必要としない場合もあるらしい。

タイプⅠの糖尿病→インスリン依存性糖尿病(IDDM)でインスリンが必要な糖尿病。

②タイプⅡの糖尿病→インスリン非依存性塘尿病(NIDDM)でインスリンが不必要な糖尿病。食事療法や血糖降下剤でコントロールできることがある。インスリンを打つと低血糖症になりやすい。

タイプⅢの糖尿病→耐糖性障害(IGT)でホルモン誘発性の糖尿病

深く静かに進行してなかなか正体を現わさない糖尿病でも、急性タイプの糖尿病性ケトアシドーシスもあるらしく、何だか調べれば調べるほど、ややこしいので獣医にとっても厄介な病気であることが容易に想像できる。

糖尿病になったら、毎日記録をつけなくちゃいけない。インスリンの投与時間や投与量、排便や排尿、食事や水をどれだけ飲んだかなど、内容を事細かく記しておく必要がある。

低血糖になったら大変なので、その対応も知っておかなくちゃならない。
低血糖症、つまり血糖が70mg/dlを下回ると動けなくなったり震えや昏睡の症状が出て、早く処理をしないと死亡することもあるという。
蜂蜜やシロップを口の中の粘膜に塗りつけて、すぐに病院に連絡すること!ブドウ糖を日頃から準備しておくと良い。

日頃から糖尿病にならないように、肥満に気をつけたり、運動をしたり、食べ物では繊維質を取るのもありだが、もし痩せているのに糖尿病になった猫はカロリーを必要とするので高線維質の食事は避けた方がいいらしい。

とにかく、病院でも定期検診は必至。糖尿病の2大合併症は、尿路感染と膵炎らしいので、満遍なく調べてもらう必要がある。

なんだか本当に厄介そうだ!

■4月11日 いよいよ退院

血糖値は高いが、ケトンがマイナス状態をキープしているので、インシュリン注射を0.75に設定して一日2回、家でやってみることになった。

家でコントロールする場合、低くなりすぎて低血糖になるほうが怖いので、高めのコントロールでいいそうだが、血糖値が救急病院に行った時と同じくらいって本当に大丈夫なんだろうか?

夜、院長と退院についてじっくり話す。
今日の血糖値は一番低い時で292
夜の血糖値の最終値は554
腎機能を測る尿素窒素は4日85⇒6日61⇒8日33⇒11日43と少し増えた。
肝機能GPTは226⇒175、GOTは237⇒75とそれでもまだ少し高め。
総ビリルビンは6日の2.9⇒8日は2.2⇒11日は1.2

肝臓の薬を経口で飲ませたいところだが、ストレスになってはいけないのでそれはせずに、とにかくご飯を食べることを優先する。

膵臓は、ケトン体が消え、食欲があれば、膵炎ではもうないと思う。

念のため、リパーゼを検査に出した結果は酵素リパーゼ64(正常値は〜45)猫アミロイドAが132.3(正常値は〜2.5)でかなり高いが、これは身体全体の炎症マーカーで、膀胱炎(おしっこに糖が出ると膀胱炎になりやすい)などの炎症があると思われる。

今まで食べていた腎臓対応食kdはそのまま続けてよいが、糖尿病対応のmdがいいというので、交互にあげてみることにした。

ドライフード、インシュリン、注射器がたくさん入った箱、尿検査試験紙、消毒アルコールを含ませた脱脂綿、低血糖対策のガムシロップ、、、たくさんの荷物、とキントキを載せたカーゴを抱えて帰宅。

玄関を閉めてキントキのカーゴを開けたとたん、今まで張り詰めていたテンションが切れて、泣きながら玄関に座りこんでしまった。
と思ったのも束の間、え?キントキが歩けない??

慌てて院長に電話すると、脚が弱ってるのは入院と糖尿病のせいだと言われた。確かに高血糖が続くと足に神経症状が出る?というのを何かの記事で読んだことがある。治るんだろうか?

ヨロヨロ千鳥足で、でもツナ缶はしっかり食べるが、mdはあまりたべなかった。ツナ缶40gとドライ20gが一回の量。これって、今までうちであげてた量より多いよね。

ご飯を食べたら綺麗に整えたベッドに、、あれ?出てきたと思ったら、ベッドにウンチが、、、うまく歩けないからトイレに行けなかったんだね。よしよし、いいんだよ。

頭痛と耳鳴りと目眩に加え、胃がぎゅうっと収縮、なぜか身体のあちこちが攣りまくったこの一週間、自分を叱咤しながらキントキの無事帰還を祈り続けた。

無事、とは言えないがキントキが帰ってこれたことにまずは安心、助けてくれた先生方や、励ましてくれた友人達に感謝。

院長が夜心配して電話をくれた。
院長は教科書通りの治療はしない。
獣医に大切なのは経験と愛情だと思う。

一時は家のそばの病院の方が楽だからと変えようと思ったこともあったが、そこは犬には強いけど、たぶん猫はあまり扱ってない感じがすぐわかったのでやめた。

病院を退院するとき、院長に
「わたし、実はⅡ型の糖尿病、つまり、だんだんインシュリンがいらなくなるようになるんじゃないかって希望を捨ててないんですよ」と言ったら、稀にはあるけど、、と院長は少し困ったような顔をしながら、「そうなるといいですね」と言った。

これからが大変だけど、とにかくがんばろう。
だけど、これから始まる本当の大変さを後に知る事になる…

※第二章へ続く


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