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白露(はくろ)White Dew

太陽を基準にする二十四節気で立春から15番目の節気。
天球上の太陽の通り道である太陽黄経0度「春分点」から165度です。
大気が冷えて露ができ始める頃で、秋の気配が次第に濃くなってきます。

陽射しが弱まって気温が下がってくると、地面近くの空気の層が上昇しにくくなり、大気中の水蒸気も減ってくるので、空の青さは濃く、澄んで見えるようになり、月もくっきりと見えます。
春には、冬から徐々に気温が上がり、大気中の水蒸気が増え、地面近くの塵や花粉などを含んだ空気も上昇しやすくなり、「おぼろ月」「花ぐもり」といわれるように、ぼんやりとした空になるのと対照的です。

きらきらと光る露を白露と呼ぶのは、秋の日差しの柔らかさもありますが、
陰陽五行で秋は白(春は青、夏は赤、冬は黒、土用は黄)に対応していることも関係しているようです。
実りの季節は、役目を終えた葉が枯れ落ちる季節でもあり、種の季節でもあります。リセットして再生へ向かう、神聖なイメージも重なります。


白露@七十二侯

初侯 | 第43候 草露白(くさのつゆしろし)
草に降りた露が白く光る頃

夜に気温が下がると、空気中の水蒸気が結露して、早朝に草木に朝露が見られます。一方、台風が多いシーズンでもあり、天候、気温の変化が大きくなるので、体調も崩しやすい時期です。

朝露

次侯 | 第44候 鶺鴒鳴(せきれいなく)
鶺鴒(せきれい)が鳴き始める頃

鶺鴒(せきれい)は、河、海岸、田んぼなどの水辺に好んで棲む、雀よりもやや大きい体長20㎝前後の、黒白(または黄と黒)の尾の長い鳥です。
セキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイなどの総称です。
作物につく害虫を取って食べてくれる益鳥として大切にされてきました。
尾羽を上下(または左右)に振りながら歩く習性があり、伊弉諾尊 (いざなぎのみこと) と伊弉冉尊 (いざなみのみこと) の二神がこの動作から男女交合を知ったという神話から「嫁ぎ教え鳥」「恋教え鳥」とも呼ばれました。
実際、雄雌つがいでいることが多く、仲睦まじい夫婦の手本とされたり、神の鳥として大事にされたり、各地に伝承があり、親しまれてきた鳥です。

種類によっても少し異なりますが、「チチッ、チチチッ」と鳴きます。
繁殖期は春なので、秋に鳴き声が特に変わるということもなさそうです。
ハクセキレイは、秋から冬にかけては集団でねぐらをつくるので、その声が目立つのかもしれませんね。

ハクセキレイ

末侯 | 第45候 玄鳥去(つばめさる)
燕が南へ帰って行く頃

清明 初侯 第13侯 玄鳥来(つばめきたる)と対応して、
4月の初めころ、暖かな南方(フィリピン、べトナム、マレーシア、インドネシア、台湾、オーストラリアなど)から渡ってきて、子育てを終えた燕たちが、冬を越すために、1日に300km以上も海を渡って戻っていきます。

巣立った雛鳥たちは集団生活のなかで、海を渡って行くのに十分になるまで育っていきます。親鳥グループが先に旅立ち、力をつけた若鳥グループがそれを追いかけていきます。

燕は害虫を食べてくれるので、益鳥として親しまれてきました。
軒下に巣が作られた家は繁栄すると言われ、商売繁盛の印として、巣立った後の巣を残しておく風習もあります。


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