冬土用の過ごし方
旧暦では四季の間の移行期に『土用』が置かれている。
各季節が72日過ぎると、18日間の土用になり、1年間で見ると各季節も土用も同じ72日分のボリューム。カレンダーだと、夏の土用の丑の日のうなぎ!くらいしか気にしないけれど、これはもっと活用したいところ。
陰陽五行でみる四季と土用
物事の性質を、陰陽と木火土金水で表す『陰陽五行』で四季をみると、春は木(もく)、夏は火(か)、秋は金(きん)、冬は水(すい)で、土用は土(ど)となる。
Wikipediaによると、各季節を象徴する性質は以下のようになる。
春を象徴する『木(もく )』は、木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。
夏を象徴する『火(か)』は、光り煇く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。
秋を象徴する『金(きん)』は、土中に光り煇く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。
冬を象徴する『水(すい)』は、泉から涌き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。
土用を象徴する『土(ど)』は、植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。
春夏秋冬と呼ぶように春はスタートの季節だけれど、目に見えないスタートは冬の中にある。次々にカタチを変えていく春が明らかに感じられるより前に、命のカタチが凝縮された種の中でそっと初根発芽の準備をするように、目に見える活動の前には、目に見えない準備が必要だ。人でいうならば、それは健康づくりであり、心づもりということだろう。
冬土用の過ごし方
冬土用は最も寒く乾燥している時期だから、暖かくしっとりを補うのが肝要。あとは、十分に寝て、機嫌よく笑って暮らして、回復力を高めること。
これは土用に限ったことではないけれど...。(笑)
寒いと体は緊張するから、しっかり緩めて温める。
首、肩、手首、脚の付け根、ひざ、足首を動かすと血行が良くなる。耳や手のひら足の裏のマッサージも効果的。
おすすめは気功のスワイショウ。両腕を前後に大きくぶらぶらと振ったり、上半身を左右に順にねじって、両腕の力を抜いてでんでん太鼓のように自然にふりまわすもの。
もっと省スペースで温まるなら、両手の指さきを肩において、肘が円を描くように回す。肩甲骨がしっかり動いて、肩こりにも効果的。仕事の合間のリフレッシュにもおすすめ。
さらに人知れず!?温まりたいなら、足首回し。椅子に座って、つま先を上下左右に動かし、グルグル回す。ふくらはぎの下腿三頭筋は第二の心臓と呼ばれるほど、ポンプの役割が大きいから、冷え性やむくみの解消にも効果的。
手のひら、足裏、耳にはツボがたくさんあるから、あまり難しく考えずに、こすったり、押したりするといい。腕や足なども,よしよしと撫でてこすると、ポカポカして気持ちも落ち着く。気持ちよさを感じることに集中すると、あれこれ余計なことを考えなくてすむ。全面的に自分を受け入れる、この瞑想みたいな状態がストレスケアにもなる。短時間でもぜひ試してみてほしい。足が冷えてなかなか寝付けない時にもおすすめ。
体を冷やさないこと、湿度を保つことは、風邪やインフルエンザの予防方法にもつながる。うがいも保湿になるし、殺菌作用があるカテキンを含む緑茶をちょこちょこ20~30分おきに飲んでのどを潤すのも効果があるそう。手を洗ったら、保湿も心掛けよう。
体の中に老廃物がたまると免疫力も低下してしまうから、腎臓や膀胱にも優しく過ごしたい。お腹をこわすと脱水症状を起こして、腎臓にも負担をかけるから、お腹は温かく、消化の良い滋養のあるものをよく噛んで食べよう。冷たいもの、水分の取り過ぎにも注意。トイレも我慢しないこと!
冬土用の食べもの
昔から冬土用には、夏の性質である「ひ」の付くものや「赤」いものを未(ひつじ)の日に食べるといいと言われる。旬のヒラメ、ひっつみ汁(すいとんのような団子を入れた汁)、ひね生姜、太陽をいっぱい浴びた柑橘類やリンゴはビタミンも摂れてよさそう。
夏土用でメジャーな鰻は、滋養が高いし、この時期の方が脂がのって美味しいから、ひつまぶしもあり。
煮込み、鍋物、蒸し物など、冬の定番料理は体を温める調理法。
寒いところ寒い時期に取れるものは、体を温めてくれるから旬のものを食べるのが〇。醤油、みそ、日本酒、酒かすなどの発酵食品や、生姜、唐辛子、胡椒、シナモン、クローブなど血液循環をよくするスパイスもうまくとりいれたい。
体が冷えてぞくぞくするようなときは、ショウガで作る「飴湯」や「チャイ」、飲む点滴ともいわれる発酵飲料「甘酒」、身近な漢方スープ「参鶏湯」がおすすめ。
あとは、首、手首、足首を冷やさないようにしたり、カイロをおへその下、腰、肩甲骨の間に貼ると強力。
背筋を伸ばして、呼吸に意識を向けてみよう。
冬土用の過ごし方
土用の養生に心掛けたいのは、自分の心身へのゴキゲン伺い。
快適? 寒くない? 痛くない? 何が必要? どうしたい?
土用の期間だけでも、意識して1日に何度も自分に尋ねる。
で、できるだけ要望に応じて、食べたり休んだりも大事にする。
がんばる!が当たり前になって、無理してることに気が付くのは、とっても大事なことだ。無理しなくちゃならないとしても、心身の要望に耳を傾けること自体が、大切な自分・大切にされる・大切にできる自分を実感できて、安心にもつながるからだ。いわゆるインナーチャイルドのケアにもなりそう。
機嫌よくいられると、本来の活力が発揮できるし、ちょっとゆとりも出来て、周りの人ともいい感じで付き合える。こうなれば、したい気持ちも起きてきて、しよう!と春に向かえるだろう。
焦らず、無理せず、味わう『土用』を楽しもう!
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