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30過ぎてから将棋を始めた友人と、飲み屋の常連たち

「藤井聡太ブーム」が世間を賑わせ始めたころ、いつも飲みに行くお店で飲んでいると、友人が将棋をしたいと言ってきた。

元々ボードゲーム全般が好きなやつだが、将棋を指すのは小学校以来で、棋力は完全に初心者。

一応強くなる気はあるらしい。

それ以来、会ったら酒を飲みつつ将棋を指す日々が始まった。

ちなみに、友人は店員として仕事中である。

1.真剣勝負と「待った」

そのお店にはマグネットの将棋セットがあったので、さっそく指そっかと言って並べ始める。

飲みながらとはいえ、やるからにはお互いに真剣に指したほうがいい。日頃バカ言い合っている相手に手加減されることほど、腹立たしいこともあるまい。

友人は文句を言っていた気がするが、自分は玉と金と歩だけで指すことにした。「8枚落ち」である。

ハンデはこれで十分な気もしたが、これだけ棋力が離れていると、友人が致命的なミスをしていきなり勝負が決まってしまう可能性もある。

これじゃあ、初心者は楽しくない。とはいえ、大人同士なので手加減をしてもバレて白けるだけ。

それらを解決するために「待った」を回数制限付きで許可することにしてみた。

「待った」は3回まで。

将棋の根幹を揺るがすルールだけど、今思うとこれがとてもいいルールだった。

上手(自分)は、相手を3回4回間違えさせないといけないし、下手(友人)は2回間違えると、もう後がない。

「待った」制度は、緊迫感を演出する有能ルールなのだ!

2.お酒を飲みながら延々将棋を指す客たち

その8枚落ちの結末は覚えていないが、それからもその店で将棋を指すようになった。

そのうち、他の常連とも将棋を指すようになった。

今まで知らなかっただけで、常連に初段近い棋力の人が3人もいたのはびっくりした。

指す環境がないだけで、指せる人間は意外といるもんである。

そうなってくると盛り上がるし、気付いたら3時間くらいたってしまうこともしばしばになった。

友人も接客そっちのけで将棋をしていたりするが、いろいろフリーダムな店なので、なんだかんだで、「飲み屋で延々将棋をする」というスタイルが成立してしまった。


しばらくすると、マグネットの盤駒は、ゴム盤とプラスチックの駒に変わった。

自分は、相変わらず徐々に将棋は弱くなっている。

そして友人は、1年半くらいで初段になった。

もう2枚落ちではほとんど勝てないし、今は普通に平手で指している。

(べろべろに酔っ払った状態で1回負けた)

友人は自分とは違って、一切本は読まないのでほぼ実戦のみだが、それでも初段にはなれるのである。

3.将棋を教える上で気を付けたこと

友人は、一応自分のことを「師匠」だとは言うが、何かを教えたりしたことはあまりない。

例えば、自分は振り飛車しか指せないのに、友人は今やゴリゴリの居飛車党である。

それでも、気を付けたことはいくつかある。

1番気を付けたのは、将棋が嫌いにならないようにすること。

長いこと将棋をやってきてつくづく思うのが、将棋を辞めるのは簡単なこと。

将棋で関わってきた人のうち、恐らく8割はもう将棋から離れている。

逆に、初段くらいの常連のように再開する人もいるけど、圧倒的に辞めていく人が多い。

だから、友人が友人なりに将棋ライフを今も楽しんでくれているのが、何よりもうれしいのだ。


初段になるまでの詳しい話は、また今度。では。

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