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ゲーム制作での『多関節』と呼ばれる方法

2Dのゲームにおいて『多関節』という言葉を聞いたことがある人は居るかもしれない。
あくまで素人による感想だが、制作した時の感想も含めてここに述べる。

『多関節』とは

文字だけで説明するなら『関節部位にAIを入れて多数を連動させて動かす』という表現になるだろう。

この話だけを切り抜くと3Dのゲームを作ってる人からすれば非常に当たり前の話だ。何故なら3Dのモデルにボーンを組み込んで、そのボーンに動作を組み込んで連動させる為だ。

しかし2Dの場合は組み込む必要性が無いことが多い。その理由も単純に直接絵で表現すれば良いのである。つまり絵で表現できれば関節なんて要らないのである。

でも『多関節』という技術が語られるが、やはりできると有利になるのだ。

多関節のメリット

1.ダイナミックにかつ、滑らかに動かせる

ドット絵の枚数を稼ぐ以上にダイナミックにかつ、滑らかに動かせるのがまず多関節を組み込む事へのメリットだろう。

もしゲーム内に何かしらキャラを用意して動かす時、1枚1枚ドット絵だったとした場合は非常にものすごい作業量が問われてしまう。
更に大きな絵だった場合は1枚1枚をきれいに重ねないとぎこちない動きになってしまうだろう。

昔描いてみたけど作業に対して割に合わなすぎて諦めた例

しかし、多関節を使えば一気に解消してしまう。

一番最近同じキャラを動かした時のアニメ

先程のぎこちない動きもなく、ものすごく滑らかにダイナミックに全ての足が動いてることが分かるだろう。

ただしこのフローを分解するとパーツごとお互いのAIを認識しているわけではなく、タイミングとフローや変数などの条件を合わせて連動させるという、関節っぽいものになっている。つまり3Dモデルでいうボーンとは異なるのだ。

でもこれを使うことで絵単体では簡単にできない、パーツごとにAIを組み込んでダイナミックに動かすことが可能になる。これが『多関節』といっても他言ではないかもしれない。

2.絵の量を減らせる

先程挙げた絵は待機モーションを想定したコマとしている。
もし更に歩くモーションと攻撃モーションの絵を考えた場合、相当な作業量が想像できるだろう。まだこれだけでも最低限なので、拘れば際限なく増えていく。

さて、ゲーム中のアニメで使われた絵についてはどうだろうか。なんと1枚絵ばかりで構成されている。

パーツごとのアニメコマは一切ない

その為、膨大なアニメの想定をしなくても良くなるのだ。これは絵を描くよりもAIを組み込むほうが好きな人からすれば非常においしい話である。

3.部位ごとの調整がしやすい

絵に直接描いてAIを組み込む場合に対して、部位ごとにAIを組み込む都合により、部位ごとの調整がしやすい。これは巨大なキャラを動かす際に優位になることが多い。
具体的には以下だろう。

  • 特定の部位から攻撃を出しやすい

  • 特定の部位だけを弱点にする構造ができる

  • 特定の部位だけを分離させることができる

勿論1枚絵でも可能だが、あくまでやりやすい例である。あるゲームで言う部位破壊というような事をしたい場合、一枚絵でやるのは愚行だろう。この際に部位ごとに分かれていることによる利便性も高い。

多関節のデメリット

1.絵とAIの照らし合わせが必要になる

要するにどこを動かすかというデザインの感性が必要な点だろう。キャラを用意した後に計画する必要が出てくる。また動かす際に違和感になりやすい部分も出てきたりするが、その辺をどう埋めるのかも問われる。

当然、絵を動かす際のAIの力量も問われる。ダイナミックに動かすにもAIをある程度動かせる知識が無いと、多関節にすらたどり着けない事もしばしば。

通常の1体キャラとは異なるAIの組み方となるので難しい。具体的には以下だろう。また動かす以上に「連動して体力を認識」「連動して倒れる」というルーチンも重要になってくる。

つまり体力が0になったら全部のパーツがなくなる、というようなAIを全パーツに組み込む所からスタートになるだろう。これが最初に出来て初めて、ようやく次の基本モーションに続くはずだ。

2.作業量の天秤

要は絵とAIの作業量のどちらが重いかを考える必要がある。多関節にすればAIの作業量が重くなるし、単体絵で進めると絵の作業量が重くなる。
その天秤をかけて選択する必要がある。

もし全部を全部多関節化したキャラにしてしまうと、AIの作成にすごい作業量を必要とするし、その逆もしかり。

まとめ

多関節は知っていると魅力的である。しかし同時に力量も問われるので安易に組み込みづらいのもあるのだ。

もし2Dアクションゲームを制作していて挑戦したことがないなら、試してみても良いかもしれない。自分のAIやデザイン性を磨くことにもなる起点にもなるからだ。

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