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わんとワンの物語 18

かなしくなるとここへ来る。
この島が嫌いになるたびにいつもこの丘へ来る。

ミナミから車を走らせこの丘の入口に来て、そこから北へ向かってゆっくりと歩いてゆく。あの日 君が創ったこのミチを、逆に辿ってあの丘をめざす。道すがらの緑を見ながら木の実を愛でながらクモの巣に掛かった落葉を拾いながら。背の高く眩しい樹には真っ赤な鳥がとまり足元の小さいイノチにはさらに小さな血が宿っている。

やがて辿りついた丘には皺だらけの石碑が立っていた。この皺に500年のかなしみが刻まれている。いや、もっと古代のこの島が産まれたときからのかなしみが刻まれている。あの日、君はなぜこの島を創った時に最後の感情をあの子たちに託したのか、今ならわかる気がする。

5つの感情がこの丘に降っている。

すべてはこの丘から始まった。
そして、またすべてはこの丘から始まる。


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とうとぅがなし。



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