見出し画像

秋名の琉球石垣 @2

国指定の重要無形民俗文化財の「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」が行われる地として知られる秋名。でも、秋名の隠れた名所として僕が大好きなのがこの琉球石垣だ。

麻福演志という旧家の屋敷で、1852年(嘉永5年)に造られたもので珊瑚石で出来ている。これだけの量の珊瑚石、秋名周辺だけではなくたぶん奄美中からかき集めてきたのだろう。そしてわざわざ沖縄から石工を呼んで積み上げられたそうだ。ペリーが来航したのが1853年、詳しい時代背景は分からないが麻福演志という人、かなりの財力と権力があったはずだ。

奄美でよく見る珊瑚石垣は野積みで平に積み重ねるものだが、この琉球石垣は亀甲みだれ積みといって、珊瑚石を多角形に加工し互いにからませ、そして隙間をつくらずに積み上げていく工法。これだけ巨大で見事な石垣は、奄美のみならず沖縄でも珍しく貴重なものだと思う。

画像1

石垣の前で空をあおぎ目をとじる。はるか彼方からトントントン、ガッガッガッ、と音が聞こえてきた。あの音は琉球の職人たちが珊瑚石を削り、そして積み上げていく音だ。少しづつ積んでは休憩し、汗をぬぐいながらこの空を見上げていたのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?