わんとワンの物語 10
ぼくたちはこの丘から南へ創造の旅にでる。「シニレク、あなたは赤を創って。わたしは青を創る」アマミコが言った。
ぼくは赤をイメージする。燃えるティダ、照らすティキ。この島の象徴は赤にしよう。いつかこの地に流れるだろう沢山の血をすべてこのティダに集約するために。どこまでも赤く ただ赤く すべてのカナシミを燃え尽くすように。でも忘れてはならぬそのイタミを燦々とこの地に降らせよう。 いつかこの地に溢れるだろう沢山の祈りをすべてこのティキに集約するために。どこまでも輝く ただ輝く すべての祈りが届くように。闇を照らすツヨサになるように。
アマミコのイメージした青は紺碧の空だった。それを反射した海だった。ぼくはその空と海のあいだに今 創ったばかりのティダを置く。青が闇に溶けたとき、闇と海のあいだにティキを置く。イタミから生れたツヨサがいつもこの地を包むように。いつかこの島がウツクシクなるように。
ぼくとアマミコは、ふたりでいちばん最初に創った大きな岩を伝って、もういちどイメージの丘に戻る。そして、産まれたばかりの天とティダと海を見る。闇のティキを見る。
傍らの犬は孕んでいた。
ぼくたちは生まれいづる新たな命のために、大きな岩の横にもうひとつの岩を置いた。ふたりと一匹は丘の上から祈る。そして、ぼくたちの立つイメージの丘はようやくひとつの形になった。
すべてはこの地 アマンディから始まる。
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