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259DAY -修学旅行2日目『震災体験』vol.1-

 盛岡からしばらくバスに乗っていると、海が近くなったのか舟が多く見えるようになってきた。空は雲は多いものの晴天で、本当に幸運にも恵まれた修学旅行という気がする。バスから見える海はさぞかしきれいなんだろうと思いながら車窓の外を眺めると、一向に海が見えてこない。あるのは大きな建物だけである。なぜ海が見えないかと言うと、防潮堤が沿岸部に沿う様に建設されているためであり、それゆえバスから海を見ることはできない。

コンクリートの壁の向こうは海である

 12年前、ここに津波が襲い、町は全て浸水した。テレビで見たことがあるが、あれを目の当たりにした当時の人々がどう感じたのか。この防潮堤はその答えを一番暗示しているように感じる。そして申し訳程度に壁に空く穴が、この地域と海が切っても切り離せない関係にあることを物語る。

 二日目の予定はほとんどが震災学習ということになっていて、この「浄土ヶ浜」観光は数少ない純粋な自然とのふれあいとなる。潮風を、海の波を、肌で、目で、体で感じる。あたりには岩手県の「県の木」であるナンブアカマツが生え、そこからあふれ出る「和」が、日本人である我々の精神にがっしり食い込んでくる。緑が見え、緑が乗っかる岩々が見え、その先には青々とした水平線が見える。雄祐と空に浮かぶ白い雲が合わさることで、まるでここには自然を構成する基本的なすべてが存在しているように感じる。
 かつてここに来たある人が、「まるで極楽浄土の風景だ」と語ったことから「浄土ヶ浜」と名付けられたという。それはそう思うだろう。今より交通の便が無い時代、数多の坂をこえ、木々を抜け、草木をかき分けたその先にこんな風景が広がっていたら。確かに「極楽浄土」と感じるだろうから。

あふれ出る「和風」感。
これぞ「海」という感じがする。

 「浄土ヶ浜」を出ると、遂に震災学習に入る。東北の太平洋沿岸を走る「三陸鉄道」は、第三セクター鉄道としては日本最長を誇る電車で、海や山々などの雄大な自然を見ながら震災の遺構をも垣間見ることが出来る。「震災学習列車」としてインストラクターが同乗して震災の学習も行う東北が誇る活動の一つに参加した。

いつまでも乗っていたくなる、時間を忘れるような電車だった。


津波の遺構を感じる情景の一つ。車のサイズが津波の脅威を物語る。


12年前。確かに海が雄々しく、残酷になった。

 今日はここで終わる。あまり今日の記事はうまくいっていないと思うので、都度編集を行うかもしれない。しかし今回の記事に関しては、写真とそこから読み取れるメッセージのみを感じていただければ幸いです。

vol.2に続く。

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