見出し画像

279DAY -2023奥多摩見聞録 其の8−

 朝五時、起床する。というよりしてしまう。体が奥多摩でどうするかを覚えているかのようだ。生活リズムが奥多摩モードに切り替わると、まるで僕に別の人格が宿っていて、そいつが僕を叩き起こしているように感じる。

 ウルトラマンを鳴らすと、参加者がのそのそと動き始める。集団生活ならではの光景だろう。まだ薄暗い古民家の中で、単なる床に寝そべっているだけの存在に命が吹き込まれる。

 朝食を食べ、瞑想を済ますと、早速作業に取り掛かる。霧雨が降り、目の前の山肌を白雲がさすり、通り過ぎてゆく。山の向こう側は霧がかかっていてよく見えない。それがより、古民家を秘境のようにたらしめる。

皆さん。ここ、東京都です。

 昼に入ってからは、よりおかしな天候が続く。雨が降っては晴れるの繰り返し。天気が誰かに弄ばれているようである。しかし昼頃になると暑くなってきたので、今日も川に行くことにした。

 川に飛びこむ時ほど、生を実感するものは少ない。全身が強い衝撃を受けると、其の直後には冷え切った水が体に染み込んでゆく。気泡が体を包み、足裏を砂利がくすぐる。浮上して息継ぎをすると、川に差し込む日光が見えた。すると顔面に感じる温かみが、体を貫くように浸透する。

多摩川。

 そして毎度の如くご飯が美味しい。10年合宿を支えてきた前田先生、最近南アジアから帰還した原先生、最近食品衛生責任者になった大澤先生がそれを実現させる。何年もの合宿の集大成を一番感じるのが食事である。

昼食のあんかけ焼きそば。美味すぎて2回おかわりした。
夕飯のガパオ、ジャガイモペーストとカレーの揚げ物。
鍋スープ。
美味すぎて2回おかわりした。

夜になると、日中雨が降っていたのが嘘のように、空には月が見えた。星も燦々としていて、地上にいるというのがなんだか寂しくなる。

月を眺めながら一服する教師陣。
夜の太鼓セッション。夜のしじまに軽やかな音色が響き渡る。

 後期2日目終了。まだ2日目と思っていると、後で後悔するだろう?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?