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美容医療:医療広告規制について考える。インスタの症例写真の説明、大丈夫ですか


最近、インスタグラムなどのSNSで美容外科や美容皮膚科で働く医師のアカウントを見るのが趣味です。


たくさんの症例写真を見られるのは、同じ形成外科の身からは楽しいのですが、執刀件数No.1や経験症例数〇〇〇件などの表記を見ると、これは大丈夫かな?と心配になります。(手術件数におけるデータの内訳や対象期間を明示し詳細に示した表現は可(*1:参照)ですが、期間が書いてなかったり、延べ数を書いてあるものもあるからです。)

自分の知り合いの医師も美容外科でアルバイトをしている方もいて、SNSをフォローしていますが、時々これは医療広告規制にアウトでは?と思う投稿もあります。

私の身の回りで、SNSの投稿内容に関して取り締まりうけたという話は聞きませんが、
医療トラブルが増えると、そういった医療広告規制を準拠していない医師は身を危険に晒しているようにも見えます。

本日は、医療広告規制について考えたいと思います。
こちらの内容を参考にしています。↓

厚生労働省ホームページより
*1 : 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 (第4版)

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001235202.pdf

(2024/8/24検索)



ビフォーアフター写真


省令禁止事項として、

ビフォーアフター写真において治療等の効果又は内容に ついて患者等に誤認を与えるおそれがある表現

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001235202.pdf

事例① 写真のみ
ビフォーアフター写真のみが掲 載され、説明が一切ない

事例② 説明が不十分
通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項 の情報が十分でなく、また、 期間・回数、リスク・副作用 等の情報が付されていない

事例③ クリックしなければ説明が表示されない
画像等をクリックしなければ詳細な説明が表示されない

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001235202.pdf

上記の内容の広告は不適切とされています。
ざっと美容外科医師のSNSを見ると、治療内容・リスク・値段については書かれていることが多いですが、時々どれかの表記が抜けていたり、値段はホームページを参照くださいと書いてあるものもありました。
リンクを代わりに示したりして、広告を示したページ内に値段の表記がないのはアウトです。

SNSのアカウントが医師個人管理なのか、クリニック管理なのかは、私もわかりません。
医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 (第4版)には分かりやすくダメな例が書いてあるので、それすら理解せずにSNSを運営している可能性があります。

また、複数の患者さんの写真をまとめて1枚の図で、SNSに掲載している広告もみかけました。これは、省令禁止事項の以下に当たる可能性があります。

複数のビフォーアフター写真(省令禁止事項)

複数のビフォーアフター写真について、まとめて詳細な説明が 付された表現

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001235202.pdf

1つ1つの症例に対し、治療内容・リスク・値段についてそれぞれ書く必要があります。

費用を強調した広告

広告するにあたって注意が必要な事例
(32)費用を強調した広告
事例③ 症例モニターとして治療を受ける際の価格として、 費用の割引を強調した広告

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001235202.pdf

この例に示されているのが
元の値段→キャンペーン後の値段 ○%割引
といった表記です。
正直言うと、このような費用を強調する表記をしたSNSの美容医療の投稿をよく目にします。
どうして、医療広告規制があるのにこのような表記をしているのか、不思議でなりません。

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