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病院の綺麗さや新しさと医療の質は必ずしも比例しない

前回からのお話しに関連する話題を今日は考えてみます。


きれいな病院がみんな好き


これまで僕は
比較的都市部(人混みが苦手なので東京には行きませんでしたが)や
地方の様々な地域で、
大小いろいろな規模の病院で勤務してきました。
いわゆる"僻地"と呼ばれるところにも、短期間ですが赴任したこともあります。

その中で感じたのが、
"病院が綺麗になると
働きたいというコメディカル(医師以外の様々な医療職の方々)や
新規の患者さんが
明らかに(一時的であっても)増える"

ということです。

確かに、
清潔できれいな空間に人間はいたいものです。
僕も
管理の行き届いている綺麗なホテル と
あまり管理の行き届いていない築古のボロボロなホテル

どちらに泊まると言われれば
値段次第ですが、
当然、新しい綺麗なホテルに泊まるでしょう。

なので、
患者さんが
きれいな病院に行きたい!
と思うのは当然だと思いますし、
医療スタッフも新しく清潔な病院で働きたい!
と考えるのも理解できます。

ただ、
こと"患者として"病院に受診すると考えた場合
考えなければならない事として
実は
"病院が新しい or 古い"は
そんなに問題にならないことが多いのです。
(注:入院する場合はまた別です。"仮居住"という要素が加わるので ^^;)

それはなぜか?お話ししてみたいと思います。

病院の新しい/古いが大きな問題ではない理由


勘のよい方はもうお気づきでしょうが、
医療水準が高くなる要素の中で最も重要なのは、
ピカピカの外観でも
清潔できれいな内装でも
ホテルのロビーのような窓口でも
最新の設備でも
なく、
中にいる"スタッフの質"
だからです。

そして、既存の病院の建替えなどではない
"ピカピカの新しい病院"というのは
実は非常に慎重に判断した方が良い場合があります。
(この場合クリニックではなく病床を持った病院を想定しています)

ここから先に、
その理由について述べていきたいのですが、

僕個人の私的な意見であり
また
特定の医療機関を中傷する目的でもありませんので、
非特定多数の方に誤った誤解を生むのを避けるため
有料記事とさせていただきます。

(2023.1.16追記)
しばらく運用していて特に問題なかったので
オープンにしたいと思います(^^)

もし興味がありましたら、読んでやってください。

ピカピカの新病院がコワい理由


昨今は日本の人口も減少し、
また病床を持つ病院への診療報酬の引き下げなどの
締め付けも強くなり、
もはや大規模な病院
その巨体を維持するための
利益をあげ続けることは
ひと昔ほど容易ではなくなっています。

ましてや、
地域の中規模、小規模な病院などは
・有望な若手スタッフの都会への流出
・患者の高齢化、要介護レベルの急激な上昇によるスタッフ不足
・大病院思考による新規患者の減少

など経営的に非常に厳しい状況に立たされ続けています。

その結果、
病院同士が新たに統合
新しい病院として生まれ変わったりすることも
珍しくなくなってきました。
(ちょっと前聞いた高名な医療マーケターの方の話では、
今後どんどん増えていくだろうというお話しでした)

そしてつい先日も、
そのような病院統合の人事に関する話を
ウワサというには
あまりにも具体的なレベル
で聞いたのですが、

その内容を聞いて
”新しい病院はコワいなぁ。。。”
と正直思ってしまいました。

そのお話というのは
地域の基幹病院である
そこそこ大きな規模の
A病院(仮)とB病院(仮)が
統合してN病院(仮)になる、というウワサ

は数年前から耳にしていたのですが、
どういうわけか
なかなか進展がない様子でした。

しかしその後
ようやく行政レベルでの介入もあり
統合に向け話が進んでいったようなのですが、
なかなか医師が集まらず
大学病院や各方面へSOSが来ている

というお話しでした。

病院診療というのは決して医師だけで
成り立っているわけではありませんが、
病院の中での医師は
最終責任者であり現場監督でありメインプレーヤー

であることに疑う余地はありません。
医師がいる、というのは診療の最小単位ですから。

その医師がいない。
間違いなく非常事態です。

やむをえず、統合するN病院は
あちこちに話をしてどうにか医師を集めようとする。

結果、どうにか各科の医師は集まったようですが、、、

皆さん、どう思いますか?

派遣する大学病院も
優秀な人材は手元に当然置いておきたい。
そんな中、
病院に特になんの思い入れもなく
自ら志願したわけでもない病院に赴任してきた医師。

診療科間の連携も
ゼロからの構築であり
ましてや今まで文化の異なる
A病院とB病院のスタッフが
果たしてどれだけうまく連携していけるのか?

コメディカルのスタッフでもこれは同様です。
新規に大量に雇用した場合には特に
その習熟度は最初は低いと考えられます。

病院は
とても大きく立派で
ピッカピカで最新鋭の機器も充実していたため

オープン以来患者さんも
わんさか来られているようでしたが

僕だったら
少し様子を見て、該当の診療科の評判を確認してから
受診するかどうかを判断すると思います(^^;)

ボロボロの古い病院でも"いい病院"はある

僕がかつて働いていた病院のひとつで
いまでも心に残っている病院がありますが、
そこは外観はとてもボロボロ
毎朝通勤する際に、見ていて悲しくなるほどでした(笑)

でもスタッフは
長く勤務している方が医師もコメディカルも多く、
離職率もとても低くて
一度休職、離職したスタッフも
よく戻ってくる(出戻りというやつですね)
ところでした。
ひっきりなしに患者さんが訪れるので仕事は大変でしたが、
みんな笑顔で働いてたのが印象的でした。


診療科間の垣根も低く、
気軽に相談できるため

ある患者さんを巡って、医局で
外科と内科と循環器科の先生が
どうやって診断治療していこうかと
お昼の時間に相談する
なんてこともよくありました。

先生たちはみな勉強熱心で、
教育にも熱心だったため、

夜遅くまで医局で熱血指導されたのもいい思い出です(笑)
今の僕は
その先生方のおかげで一端の医師として食べていけている
と思っています。

古い病院なので
設備も当然なんでも揃っているわけではないですが、
必要な患者さんはすぐに
専門機関や大学病院などに紹介するなど
変なプライドは持たずに
より迅速に、より的確に
患者さんにとって最適な選択をとれるよう
みんな動いていました。

今でもたまに
その病院の診療レベルはとても高かったなぁ
と思い出します。

僕がもし病気になったらかかりたい病院
ともいえると思います。

結局は、、、


どんな分野でもそうかもしれませんが、
特に医療というのは"人"という
アナログな部分に依存するところが
まだまだ多いと思います。

病気の診断や画像診断、
治療の選択などのシーンで
AIが台頭していくのは
間違いありませんが、
結局はそれを使いこなす"人"による部分は
大きく残りそうだなと感じています。

みなさんには
病院という"箱"よりも"中身"を
よーく吟味して、
後悔のない選択をしていただきたいなと思います。

でも、この"中身"を見るのが
とーっても難しいんですよね。
なにかヒントになる記事を書いていけたらと思います。

それでは、また。

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