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海外留学(大学院)に使える奨学金

留学でいちばんのネックになるのは、おそらくお金だと思います。海外の大学だと、留学生(つまりその国の外から来た学生)に対しては、自国出身の学生よりもずっと割高な授業料がかかります(アメリカだと違う州から来た学生に対しても割高なOut-of-state 授業料が課せられます)。

例えば、Univeristy of California, Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)だと、博士課程1年あたりの学費は、$37,023.5(2024/6/13現在で約580万円)。Univerisity of Cambridge(ケンブリッジ大学)では、£37,458(2024/6/13現在で約750万円) と、とんでもない金額になっています。

私が留学した2014年ごろは、どちらかというと円高(1USドルが約80円)で、授業料も現在より15%くらい低かったので、上記の金額よりも若干お得ではあったものの、やはり普通の家庭の子供が簡単に手に入れられる額ではありませんでした。

そこで、なんとか奨学金を手に入れて少しでも留学への金銭的負担を減らすことを考えたわけですが、この記事では、私が当時利用させていただいていた奨学金や、私が留学先で知り合った人たちが貰っていた奨学金について、簡単に情報共有できればと思います。

主な奨学金

日本学生支援機構(JASSO)

留学ではかなりメジャーな奨学金です。私もJASSOの奨学金をいただいてイギリスの大学に留学していました。

当時の支給内容は、確か(授業料最大250万円/年+生活費約11万円/月)×3年でした。生活費は、留学先の都市のサイズによって若干変わります。現在も支給内容にそれほど変化はないようです。

採用人数は、確か50人以上(100人だったかな?)と他の財団と比べて比較的大人数になっています。やはり、国の財源でやっているので、支援できる規模は大きいようです。

採用過程は、私の場合は、学校を通じて応募して、書類審査1回、書類に通れば面接1回、という感じでした。面接は、理事長が真ん中に座って、両脇に2人の計3人による面接で、両脇の2人のうちの1人が圧迫系の質問担当という感じでした。聞かれたことはあまり覚えていませんが、最後に理事長が、3年と言わず2年くらいで学位取っちゃいなよ、みたいな激励(?)をおっしゃってくださったことは覚えています。

中島記念国際交流財団

略して中島財団の奨学金です。イギリスの留学先で仲の良かった友人が、この財団の奨学金を貰っていました。

支給内容は、(授業料最大300万円/年+生活費30万円/月)×2年のようです。

JASSOよりも年あたりの支給額は大きいですが、支援期間は2年となっており、少し短めな印象です。

船井情報科学振興財団

こちらも比較的メジャーな奨学金です。

上のURLを辿っていくと、これまでの留学生にどんな人たちが採用されたかがまとめてあるページがあるので、確認してみると面白いかもしれません。なんとなく、東大率が高めな財団な気がします。

平和中島財団

前に紹介した中島財団とは別の財団ですが、どちらも設立者は、パチンコ事業で財を成した中島健吉氏です。

私も当時応募した財団ですが、確か書類が通らなかった記憶があります。

支給内容は、生活費30万円/月×2年のようです。

孫正義育英財団

最近だと、孫正義財団の奨学金もあるようです。詳細はあまりよくわかりません(すみません)。

村田海外留学奨学会

この奨学金は、私の留学先の先生(日本人の先生で、アメリカに留学して博士号をとって、イギリスの大学で教授になった後、アメリカの大学に引っこ抜かれた)が昔留学したときにもらっていたという名誉ある奨学金です。研究の世界で大成されている先生が貰っていた奨学金だけあって、授業料及びその他費用が満額支給される破格の待遇のようですが、狭き門のようです。

支給期間が短くないか?

上で紹介した奨学金は、最大で3年間又は2年間のみ支給されるものばかりです。3年のものであれば、研究がとても順調にいけば、支給期限内で学位を取得することも可能かもしれませんが、ほとんどの場合では、学位取得まで3年よりも長い期間を必要とします。私は4.5年かかりました。アメリカの大学だと、5年以上かかることが多いみたいです。

では、日本の奨学金が途中で切れたらどうするのか?という疑問が生まれると思いますが、そのあとは留学先大学の奨学金をもらうか、所属する研究室のボスからお金をもらうしかありません。

留学先の奨学金は、私の場合は、留学の願書を出すときに同時に申し込みました。小さな学会で優秀発表者賞をもらったことがあるというアピールをして、£10,000/年の奨学金をもらえました。面接とかは特になく、学業成績(GPA)や論文・賞などの実績に基づいて採用者が決まるみたいです。日本の奨学金をもらえるスペックであれば、留学先の大学からも何らかの奨学金をもらえる可能性が高いと思います。

アメリカの場合は、大学というより学科からティーチング・アシスタント(TA)として先生の授業の補助をする代わりにお給料をもらうような形が多いと思います(イギリスの大学でもTAをしてお金をもらうことが可能です)。

研究室のボスからお金を貰う場合は、そもそも日本の奨学金を持っていると言えば、では残りの費用は面倒を見ましょう、みたいな合意のもとで合格通知が来ることが多いと思うので、日本の奨学金を交渉の材料として使って合格+資金援助の約束をしてもらうという感じになります。大学の先生としても、自分で奨学金を持っている学生というのは、すでに財団によって優秀であるという審査がなされた安全パイである可能性が高く、おまけに自分でお金まで持ってきてくれるので、ありがたい存在なのです。

以上のことから、日本の奨学金の支給期間が短くても、多くの場合は問題にはなりません。ただし、財団によっては、他の奨学金との併給を認めていないところが(全くもって意味不明ですが)あるので、そのような場合は、例えば、留学先からの奨学金を「授業料免除」という名目に変えてもらったりすることで、切り抜ける必要があります。お金の問題はシビアなので、単に併給不可というだけで諦めないで、そこを何とかしてもらえないか、みたいな粘りの交渉や抜け道の発見を、逞しく行なっていく必要があります。

日本の奨学金に合格するには?

兎にも角にも、まず日本の奨学金を手に入れたいところですが、では奨学金の選考では何が重視されるのか?大事な点は、主に以下の点だと思います。

  • 出身大学

  • 留学先大学のネームバリュー

  • 学業成績(GPA)

  • 実績・受賞歴

出身大学

東大や慶應大学など、名のある大学出身者がやはり強いです。私の留学先でも、多くの日本人留学生が、東大、京大、慶應、早稲田あたりの有名大学出身でした。

留学先大学のネームバリュー

留学先の研究室や教授のネームバリューではなく、あくまで留学先大学のネームバリューが大事なようです(財団の宣伝になるため)。

学業成績(GPA)

学業成績は、GPAという数値によって計れれます。最大4点中3.5点くらいあると良いかもしれません。

実績・受賞歴

科学雑誌(ジャーナル)に論文を発表(Publish)したことがあるか、学会発表で何か賞をもらったことがあるか、デザインコンペなどで入賞したことがあるか、などが主に評価の対象になります。

無理ゲーではないか?

以上を読んでみると、では有名大学出身でない人間はどう頑張っても無理なのか?なんの実績や受賞歴もないと無理なのか?など、理不尽な現実を見せられた気分になるかもしれません。

しかし、なぜこのような(一見理不尽な)選ばれ方がされるかを考えてみると、いくつか解決策が浮かんできます。

まず、なぜこんなにも理不尽に偏るのかについては、財団としては年間合計で何千万円というお金を留学生に投資していることを考えると理解できます。

もしあなたが財団の理事長であったら、中堅クラスの大学出身で学業が普通(GPA3.0くらい)だけど論文を一本出している学生と、東大出身で学業優秀(GPA3.8とか)だけどまだ論文は出していない学生とでは、どちらに対して安心してお金を出資できますか?おそらく、後者ではないでしょうか?

財団としては、せっかく大金を(タダで)出すのだから、留学先でちゃんと勉強をして学位を取得して、社会に何らかの貢献をしてもらって、我が財団にはこんなに活躍している奨学生がいる(のだから我々の投資は間違っていなかった)と、誇りに思えるような投資がしたいのだと思います。

つまり、財団に対する安心材料を多く持っている人の方が、お金を出してもらいやすいということになります。もしも、先ほどの比較で、あまり学業優秀でなかった方にお金を出して、その人が、留学先で遊ぶことにお金を使って、まともに勉強せずに、結局学位が取れずに留学中止になったら、せっかくの大金が水の泡です。大金を気前よくタダで出すのだから、ああこの人にお金を出して良かったな、と気持ちよく思えるような人にお金を出したいのだと思います。皆さんも、財団の理事長だったら、そう思いませんか?

なので、安心材料を一つでも多く作っておくことが大切だと思います。仮に、大学受験で上位の大学に入れなかったとしても、その大学で学業と研究に打ち込んで、高いGPAを獲得して、論文も一本かそれ以上持っていたとしたら、大きな安心材料になると思います。勉強と研究が好きで、すでに結果(論文)も出しているわけですから、財団としては、この人にお金を出したら、海外できっと多くを学んでさらなる結果を出して、一回り大きく成長してくれるだろう、そのためならお金を出してもいいか、と思ってくれるはずです。

以上のような観点から、財団を安心させられるようなパラメータを一つずつ高めていけば、きっと奨学金はもらえると思います。以上のことは、主に現在学生の方向けの話ですが、すでに社会人の方向けの奨学金も、数は比較的少ないにせよあるので、調べてみてください。

今回の記事は以上になります。お読みいただきありがとうございました。


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