自分で、起き上がる
寝転がる 吾子のとつぜん 座りたる
わあと叫ぶ我 誇らしげなきみ
息子・おもちが、寝たまままわる。
暗いベッドの中で、くるくるまわる。
寝返り、ブリッジ、くるくるまわる。
枕を蹴飛ばし、ベッドの横の棚を物色しながら、
くるくるくるくるまわる。
そして、いつの間にか寝息を立て始める。
夜、とにかく寝付きの良いおもちくんの、いつもの寝かしつけである。
その日も、いつものように暗い部屋で、おもちをベビーベッドの中で寝ころばせていた。
私のベッドはおもちのベビーベッドの横に繋げて置いてあるので、おもちを眺めながら自分も横になっていた。
急にベビーベッドの中で、むくりと起き上がる気配がした。
ふとみると、おもちが座っている。
非常に誇り高き笑みをたたえて、こちらを見下ろしている。
『ぎゃっ!!』
自力で座るはずがない、と信じていた息子が、急に自分で座ったもので、私はしこたま驚いてしまった。
人間、予想していなかった動きをされると、悲鳴を上げるほどの恐怖を感じるらしい。
息子の思わぬ発達に、じわじわと喜びが込み上げてきたものの、やはりまだどきどきしている。
真夏の、丑三つ時にはまだはやいが、赤ちゃんが寝る時間としてはとても遅い、夜半すこし前のこと。
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