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The Fourth Way – Werwolf (1970)

 Coleman HawkinやYusef Lateefといった大御所プレイヤーのサポートで知られていたキーボード奏者Mike Nockが、当時サイケデリック・ロックが席巻していたサンフランシスコに拠点を移して結成したのが、エレクトリック・グループThe Fourth Wayだ。Ron McClureとEddie Marshallが生み出す重たく跳ねるようなグルーヴに、Nockの放つスペーシーで攻撃的なサウンドが絡む演奏は非常に前衛的で、緊張感がほどける隙などは一切ない。
 こうした西海岸のムーブメントに触発されたアドリブの応酬を、さらに個性的なものに仕立て上げているのは、ほかでもないMichael Whiteによる電子フィドルの怪しい音色だ。並みのバンドのリード・ギターをたやすく凌駕する強烈な存在感である。
 『Werwolf』は1970年のスイスで行われたジャズ・フェスでの演奏を納めたアルバムだ。圧倒的で息つく暇もない「Colours」や「Spacefunk」といったフリー・ジャズのほか、明快なビートがひときわクールな「Brown Rice」のようなファンク・ナンバーを聴かせる。タイトル・トラックとなった「Werewolf」は、Miles Davisの「Freedom Jazz Dance」を思わせるメロディが印象的だが、NockとWhiteの火花が散るようなインプロヴィゼーション、演奏の高ぶりが爆弾のようにさく裂するラストの展開はこれでしか聴くことができない。
 プログレッシブ・ロックが産声をあげていたこの時代において、The Fourth Wayのやっていたことは実に先進的といえるものだ。グループは本作をもって解散してしまうが、後にNockは自身のリーダー作でジャズ・ロックを追求し、Whiteはインパルス!系フリー・ジャズの発展に貢献している。